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税務調査の税理士費用はいくら?依頼するメリットや注意点を解説

税務調査の通知が来たら、誰しもが不安になると思います。 もし、通知が来てしまったら、どのような手続きでどう対応したらいいか分からない方がほとんどではないでしょうか。また、手続きの流れが分かっても、膨大な時間と手間がかかり、精神的な負担もかかります。 そこで、税金やその手続きに詳しい税理士に立会を依頼するケースもあります。しかし、税理士に依頼するには、当然、費用がかかります。 この記事では、税務調査を税理士にする場合の費用、依頼するメリットや注意点を解説します。ぜひ、最後までご覧ください。 税務調査とは そもそも税務調査とは、徴税機関が我々納税者の申告内容に誤りがあった場合に、訂正を求める調査のことを言います。この調査は主に、国税庁及びその地方支局である国税局、国税事務所、税務署などにより行われています。法人のイメージが強いかもしれませんが、個人事業主でも税務調査を受けることがあります。 確定申告は自ら申告するので、その内容や税金の金額を間違えてしまう場合もあります。中には、悪質な納税者によるウソの申告により、不当に納税を免れようとする場合もあります。そこで、納税者の間で不公平が生じないように、納税の義務が果たされていないとされる納税者に対して、誤りを正す為に、税務調査が行われます。 税務調査の税理士費用は? 税務調査を税理士に依頼するとき、気になるのが依頼にかかる費用です。 費用(報酬)は主に、以下の3つに分類されます。 ・事前準備の対応 ・税務調査当日の立会い ・修正申告になってしまった場合の代行 それぞれ解説していきます。 まず、事前の準備にかかる費用で4〜6万円ほど必要になります。 また、税務調査の立会いに必要な費用は、日当制で約3〜5万円×調査日数で算出されるのが相場とされています。調査日数は平均で、1〜2日とされています。 さらに、税務調査後に修正申告が必要になり、その手続きも依頼される場合は、プラスで10〜20万円ほどが必要になる場合があります。 遠方から依頼の場合、税理士に現場まで直接足を運んでいただくケースもありますが、その場合は、必要に応じて交通費や宿泊費も負担しなければなりません。また、内容や企業の規模によっては、準備に数日かかることもあり、費用がかさむ場合があるので注意が必要です。 ただし、これはあくまで相場になります。料金は税理士によって異なりますので、依頼するときは事前に見積りをすることをおすすめします。 税理士に依頼するメリット 税務調査において、調査の対象者には細かく説明が求められます。会計、税務に詳しくないと、伝え方があやふやになってしまったり、調査官に事情がうまく伝えられないことがあるでしょう。そのことが原因で、修正申告をしなければならない可能性もあります。 そこで、調査官と対等に話ができる税理士に依頼することを考えるのです。ここでは、税理士に依頼した際のメリットについて3つご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。 ①調査が長引かない 納税者自身で対応した場合、調査官との話し合いのなかで意見が折り合わず、調査が長期化してしまうことがあります。そのため、税理士に立会いを依頼することで、意見の食い違いにならないように交渉してもらうことができるほか、書類の不備を指摘された場合に、速やかに対応できるため調査が長引くことがなくなります。 ②不要な追徴課税を避けれれる 税務調査の立会いを税理士に依頼することにより、不要な追徴課税がなくなる可能性があります。例えば、経費の内容についての詳細を聞かれた際、正しく書類を記入していても、根拠を明確にすることができなかったり、焦ってしまい曖昧な回答をしてしまうと、経費計上を否認されてしまうことがあります。そうなってしまうと最悪な場合、本来納める税金に追加で加算税などを納めなければならなくなります。これが、追徴課税です。 ですが、税理士であれば調査官とのやり取りに慣れていますので、税法に沿った具体的な根拠をきちんと説明することができます。経費の計上や申告した内容が否認される可能性を低くすることができ、不要な追徴課税を回避することができるでしょう。 ③税務調査官とのやり取りを任せられる 顧問税理士がいる場合は、通常税務調査の前に税理士に連絡がいくことになります。調査後の日程調整や、調査当日の調査官とのやり取りを税理士の方が行うため、依頼者である納税者の負担は大きく減らすことができます。対応にかかる時間の削減だけでなく、納税者の心理的な負担も軽くなります。 税理士を選ぶ際の注意点 ここまでは、税務調査を税理士に依頼するメリットをご紹介してきました。ここからは、税理士を選ぶ際の注意点を3つご紹介します。是非、参考にしてみてください。 税理士事務所の所在地 注意点の1つとして、依頼しようとしている税理士事務所の所在地の確認があります。税理士事務所が近所であれば、速やかに顔をあわせて相談することができます。顧問契約を結ぶ場合は、お互いのオフィスや、自宅から距離が近いと定期的に打合せをすることができるでしょう。 一方で、遠方の税理士事務所に依頼してしまうと、費用の相場の部分でも説明したように、税理士の方から現場に足を運んでもらった場合に、交通費や宿泊費等を負担しなければいけない場合があったり、納税者の方が税理士事務所に訪問することになったときにも、自身の交通費と宿泊費が発生する為、税理士事務所の選定には注意が必要です。 税理士の得意分野の見極め 税務調査で税理士を依頼しようと思っても、下調べなしに依頼することはとてもリスキーです。税理士にも得意・不得意な分野があります。どの税理士も税務調査に強いというわけではありません。しっかりと対応してもらうためには、税務調査に強く、実績のある税理士を選ぶ必要があります。 万一、税務調査の経験や実績がない税理士に依頼してしまうと、調査官とのやり取りがうまくいかなかったり、書類に不備があっても気づくことができない場合がありますので、事務所のホームページを見て、しっかりと見極めることが大切です。 納税者の立場になって対応ができるか 税務調査の多くは、強制ではなく、納税者の任意に基づいて行われています。ですが、実際のところ税務調査は断ることができないに等しいです。とはいえ、任意調査である以上、納税者の意思を無視して行うことはできません。 実際、調査官の中には威圧的な態度をとったり、税務調査に直接関係のないプライベートに関する資料の開示を求める方も少なくありません。 そのような調査官にあたった場合でも、納税者の立場になって意見・反論してくれる税理士であれば安心して調査を終えることができるでしょう。 税理士とのやり取りの段階で、この税理士は親身になって対応してくれるかを見極めることが大切になってきます。 費用だけでなく、自身に合った顧問税理士を見つけよう このように、税務調査に対する税理士の依頼費用は、税理士によって異なります。ですが、人が動いているため決して安価なものではないので、しっかりと見積りをとって比較することをおすすめします。そのうえで、自身に合った税理士を見極めることが大切になります。 また、税務調査は物理的な負担と精神的な負担がとても大きいので、苦手意識のある方は、迷わず相談しましょう。ですが、税務調査を得意とする税理士のなかでも、しっかりと対応してくれる税理士を選ばないと、修正申告の対象となったり、追徴課税を作ってしまう場合もあるので、見積りの段階や、相談の際の税理士の人柄をきちんと見て、自身の希望に応えてくれる税理士を選びましょう。 税理士法人プロゲートは、税務調査相談や立会い、税務書類の作成・税務申告・相談を承っております。仙台市近辺の方や、宮城・山形県内の方でもご相談を受け付けております。 税務調査対策として記帳代行をお願いしたい方や、税務申告書のタックスプランニングをしてほしい方、初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。


会社設立に必要なこと
会社設立

【まとめ】会社設立に必要なこと!手順や必要書類について解説

会社設立を考える人の中には「何から始めたらいいの?」「手続きの方法は?」と悩まれている方も多いでしょう。まずは、設立に必要な基本的なステップを理解し、順番に進めることが大切です。 この記事では、「会社設立に必要なこと」をまとめていきます。法人化のメリット・デメリットについても紹介していますので、起業する際の参考にしてください。また、各種手続きには専門的な知識が必要ですので、わからない点があれば専門家に相談するのも良いでしょう。 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 会社を設立する為にやるべきこと 会社を設立するには、準備が必要です。まず会社を設立するにあたって、「どのような目的で会社を設立するのか?」を決める必要があります。その後、目的を決めた上で、開業前に事業計画を作ることが重要です。 会社を設立する目的を決める 会社を設立するにあたって最も重要なことは、「会社を設立する目的」です。目的が定まっていないと、開業したとしても「何のために事業をするのか?」「目指すべき事業の道筋」などが明確にならないからです。目的が明確にならないと、今後の事業展開にも影響が出てきます。 また、定款を作成する際には、あらかじめ事業目的が決まっていないと作成できません。 これらの点からも、まず、会社設立の目的を考えることから始めてみてください。また、会社法は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社という4つの形態を認めています。いずれかを選ぶ必要がありますが、株式会社や合同会社が選ばれるケースが多いです。 事業計画書を作成する 会社を設立するにあたって事業計画書の作成は必須事項ではありませんが、事業展開を進めていく上で重要になってきます。また、金融機関からの融資を受ける際でも必要になります。金融機関の立場からすると、事業計画が曖昧な会社に融資しようとは思いません。 外部からの信頼を得るという点でも、自分自身の考えを整理するという点でも事業計画書の作成が望ましいのです。 会社設立を判断するポイント 会社を設立するには、それなりの手間と費用がかかります。個人事業主ではなく、法人化して会社を経営するには、いくつかのポイントがあります。これから紹介するポイントをよく考えて判断しましょう。 事業の拡大を検討 事業の拡大を考えている場合は、法人化し会社を設立すると良いでしょう。理由としては、法人化することで社会的信用を得やすくなるからです。このことは、今後の事業展開にも繋がります。 人材を雇用したい場合 事業拡大を図る際には、新たな人材(従業員)の雇用が必要です。人材を雇用する時にも、個人事業主より信頼性の高い法人の方が、採用活動を円滑に進められます。 資金調達を考えている 自己資金が足りないときや新たな事業を展開するには、外部から資金調達しなければなりません。個人事業主でも銀行融資を受けることは可能ですが、株式会社などの会社形態であれば、銀行融資以外にも投資家から出資を受けたりなど資金調達の幅が広がります。 会社設立をする6つのメリット 法人化することで、さまざまなメリットがあります。この項では、6つのメリットとして、以下に紹介していきます。 ①社会的な信用を得られる 前述の通り、会社を設立することで、社会的信用を得られます。また、取引する際にも、法人のほうが有利になるでしょう。企業によっては、法人以外とは取引しない場合もあります。さらに、人材を雇用する際にも、法人の方が信頼されるので有利です。 ②法人口座やクレジットカードが作れる 法人として口座を持つことで、会社の資金管理がしやすくなります。また、法人の方がクレジットカードの利用限度額が高く設定されていたり、金利面でも優遇措置などがあるので便利です。取引先からの支払いも専用の口座から行えるため、会社の資金管理が簡単になります。 ③資金調達で有利 法人として会社を設立することで、銀行や投資家からの信頼性も高まります。信頼性が高まることで、銀行や投資家から融資や投資など資金調達が期待できるでしょう。 ④決算月を設定できる 個人事業主の場合、事業年度は1月〜12月までと決まっています。一方で、法人の場合は自由に決算月を決めることが可能です。そのことで自社の繁忙期を避けたりもできるでしょう。 また、決算処理には税理士が関与することがほとんどなので、税理士の繁忙期を避けることで、税理士も決算処理に余裕をもち取り組んでくれるでしょう。 ⑤社会保険に加入できる 法人として会社を設立することで、社会保険への加入が可能です。健康保険や厚生年金、労災保険などの加入もできるので、福利厚生が充実します。福利厚生が充実することで、新たな人材の雇用の面でも有利になるでしょう。 ⑥節税面で有効 個人事業主と法人では、課税される税金の仕組みが違います。個人事業主は所得税、法人は法人税が課せられます。個人事業主の税率は累進課税なので、所得が増えると税金も高くなり最大45%の税率となります。 一方で法人の税率は、資本金1億円以下所得が800万円以上の税率が23.20%、800万円以下なら15%以下です。所得が増えても最大の税率に違いがあるので、会社設立による節税効果が期待できます。 会社を設立すると、給料は役員報酬として受け取るので、経費と見なされ法人税の対象外となります。さらに法人の場合は経費の幅も広く、青色申告書を提出することで赤字を10年間繰越できる点も、節税面で有効です。 国税庁|所得税の税率 国税庁|法人税の税率 会社設立をする3つのデメリット 前項で会社設立のメリットをご紹介しましたが、当然デメリットもございます。ここでは、会社を設立することによるデメリットを3つ挙げます。 ①会社設立には費用や手続きなどコストがかかる 会社設立には、さまざまな費用や手続きが必要です。認証手数料や定款に必要な収入印紙代、登記時に登録免許税など法定費用がかかります。会社設立にかかる費用は以下のようになります。 株式会社:245,800円~ 合同会社:103,500円~ ※書類定款認証の場合。 株式会社合同会社定款認証手数料約5万円(紙、電子同一)※資本金によって異なる。定款印紙代4万円(紙)※電子定款の場合0円4万円(紙)※電子定款の場合0円定款の謄本手数料約2,000円(紙、電子同一)登録免許税15万円~(※資本金額×0.7%、または15万円のどちらか高い方)6万円~(※資本金額×0.7%、または6万円のどちらか高い方)実印の作成費約3,000円~約3,000円~印鑑証明書300円×枚数登記事項証明書500円×枚数500円×枚数資本金1円~1円~専門家への費用約2~5万円約2~5万円 ②事務作業の負担が増える 会社を設立すると、個人事業主よりも会計や税務に関する作業が増えます。また、法人税の申告は確定申告とは違い複雑なので、専門家に委託するとなるとその費用も必要です。 ③赤字でも法人住民税がかかる 個人事業主の場合は、決算が赤字で所得が一定以下だと住民税は非課税です。しかし、法人の場合決算が赤字でも、最低7万円の法人住民税の納税が必要となります。 総務省|法人住民税 押さえておくべき会社設立後の注意点! ここまでの内容で法人化すべきタイミングやメリット、デメリットについてはご理解頂けたかと思います。しかし、会社設立はゴールではありません。ここでは、設立後の注意点を紹介していきます。 会社と個人の資金を区別する 会社設立後は、会社の資金と個人の資金の区別を明確にしましょう。個人事業主の場合は、事業で得た収益は事業主の自由です。しかし、会社では私的な理由で会社のお金を使うことはできません。 会社経営ではお金の管理は重要です。会社の信用にも関わる問題なので、それぞれの資金を十分把握し、徹底した管理を行いましょう。 会社解散時にも費用が必要 会社設立には費用が必要ですが、会社を解散する際にも費用がかかります。具体的には、解散・清算人選任登記や清算終了登記になります。設立時点でここまで調べる人もいないと思いますが、知っておいて損は無いでしょう。 独立開業への主な流れと概要 実際に会社設立を行う場合は、どのような流れになるのでしょうか。会社設立にはさまざまな手続きや書類の準備が必要です。そのため、スケジュールを決めて計画的に取り組むことが重要です。会社設立の流れとしては、以下の6つのステップがあります。これからそれぞれについて説明しますので、参考にしてください。 ステップ① 会社の基本概要を決める ステップ② 会社用の印鑑を作成する ステップ③ 定款を作成する ステップ④ 公証役場で定款の認証をする ステップ⑤ 資本金の払い込みをする ステップ⑥ 登記申請をする ステップ① 会社の基本概要を決める 会社設立に必要な基礎情報として、以下の7項目があります。これらの項目について説明しますので、参考にしてください。 ・商号 ・事業目的 ・本店所在地 ・資本金 ・会社設立日 ・会計年度 ・役員・株主の構成 商号 商号とは会社の名称(名前)となり、会社名となります。設立後に会社名を変更することも可能ですが、変更登記の手続きが必要なので、その点には注意が必要です。 商号を決める際に注意する点として、「他社に似た会社名にしない」ようにしましょう。紛らわしい名称(名前)や類似した社名のケースでは、最悪の場合、損害賠償を求められることもあるので注意してください。 類似した会社名を避けるためにも、法務局や登記情報提供サービスなどで、事前によく確認することをおすすめします。また、会社名が商標登録されているケースもあるので、その点にも注意が必要です。 事業目的 会社がどのような事業をするのかを定めたものです。事業目的は、定款に記載される重要事項なので、定款に記載されていない事業は、原則として行えません。 事業目的を記載する際に、記載する数に制限はありません。しかし、あまりにも多くの事業を記載すると、何をしている会社かわからなくなります。 何をしている会社かわからないと、社会的信用にも影響が出てきます。その点をよく考えて、事業目的を決める必要があります。 本店所在地 会社やオフィスの所在地となる住所で、法人登記する際に必要です。本店所在地はどこにでも設定できますので、自宅でも問題ありません。ただし、移転などで所在地を変更する際には、変更登記が必要です。会社本拠地となる法的な拠点でもありますので、よく考えて決める必要があります。 本店所在地をどのような場所・物件にするかで、取引先や金融機関などの信頼にも関わるので、その点を十分考慮して決めましょう。近年では、バーチャルオフィスの住所も本店所在地として設定できるようです。 資本金 事業を運営していくための資金であり運転資金となります。資本金は1円からでも設定可能ですが、資本金は社会的信用にも影響があります。資本金が少ないと安定して事業を進められない場合もあるので、無理のない金額を設定する必要があります。 株式会社の場合は、株主や投資家などの出資者から調達した資金が資本金になりますが、創業時は出資者が居ないケースが多く出資を受けることが難しいでしょう。そのため、経営者(発起人)の個人資金から捻出されるので起業する際には、資本金準備も必要です。 会社設立日 会社設立の法人登記申請をした日です。希望の日付けにしたい場合は、法人登記申請する日から逆算して準備しましょう。 会計年度 会計期間は、決算書を作成する上で対象となる期間です。会計期間で計算した損益を元に、納める税を算出します。その区切りとして、会計年度があります。会計年度は自由に設定できますが、一般的には4月1日〜3月31日の期間を定めるケースが多いです。 役員・株主の構成 株式会社を設立する場合は、役員の人数や株主の構成を決めないといけません。また、株式会社では最低1名の取締役と監査役が必要とされています。ただし、中小企業などの株式譲渡制限会社や取締役会を設置しない場合、監査役は必要ありません。 ステップ② 会社用の印鑑を作成する 会社設立には、法務局で商業登記する必要があります。法人登記の際に実印が必要です。印鑑は重要な書類に押印する実印になるので、印鑑の管理には十分注意しなければなりません。また、実印の作成は、専門の業者に依頼し作成してもらいます。 ステップ③ 定款を作成する 定款とは、事業内容や本店の所在地などを記した書類です。定款は重要な書類なので、記載する内容や書式に細かなルールが決められており定款の作成は複雑な作業です。 定款の記載内容に不備があった場合は、定款が無効になってしまうので、司法書士に相談・依頼することをおすすめします。 ステップ④ 公証役場で定款の認証する 株式会社の場合は、作成した定款を公証役場で認証を受けなければなりません。一方、合同会社設立の場合は、公証役場での定款の認証は必要ありません。 認証手続きは予約制になっているので、本店所在地の公証役場に連絡し、事前に日時を決める必要があります。定款の認証手続きに必要な書類は、以下の通りです。 ・定款3部 ・発起人全員の印鑑証明(3ヶ月以内に発行されたもの) ・発起人全員の実印 ・謄本代 ・収入印紙 ・実質的な支配者になる人の申告書 ・委任状(代理人が申請する場合) ステップ⑤ 資本金の払い込みをする 資本金の払い込みは、発起人個人の銀行口座です。発起人が複数名いる場合は、発起人総代の銀行口座に払い込みます。銀行口座の種類は、普通預金口座で問題ありません。 関連記事:会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説 ステップ⑥ 登記申請をする 会社設立に必要な書類を準備し、登記申請を行います。登記申請の方法と、登記申請に必要な書類について説明します。 登記申請の方法 提出場所は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。提出方法として、以下の方法があります。 窓口に持参 郵送 オンライン申請 法人設立ワンストップサービス 登記申請は、申請書類に不備がなければ10日程度で完了します。不備があった場合は、法務局から連絡がありますが、登記完了の連絡はないので注意してください。 会社設立時に必要な書類 株式会社と合同会社では、設立時に必要となる書類にいくつかの違いがあります。「必要な書類」と「場合により必要な書類」の一覧を以下表にまとめましたので参考にしてください。 株式会社合同会社必要な書類・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・設立時取締役就任承諾書・資本金の払込を証明する書面・印鑑届出書・本人確認証明書・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・資本金の払込を証明できる書面・印鑑届出書場合により必要な書類・発起人の同意書・設立時代表取締役就任承諾書・設立時監査役就任承諾書・設立時取締役・監査役の調査報告書・資本金額の計上に関する証明書委任状・代表社員の就任承諾書・登記事項証明書・職務執行者の選任の書面・職務執行者の就任承諾書・資本金に関する代表者社員の証明書委任状 必要な書類 登記申請書 法務局に登記申請する際に必要な書類です。内容に不備があった場合、登記拒否の対象にもなるので正確な情報を記入するよう注意してください。 登記事項を記載した書類 登記簿に記載されている内容を記載した書類です。データでも提出できるので、その場合はCD-RまたはDVD-Rにファイルを記録して提出します。オンライン申請の場合はデータを提出します。 定款 会社の基本的なルールを明記しています。「会社の憲法」とも呼ばれている会社を設立する上で重要な書類になります。定款がなければ会社を設立することができません。また、許認可が必要な事業を行う場合は、定款に記載されていない事業を行うことができません。 定款で記載する内容事項は大きく3つに分けられます。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」それぞれの内容をよく理解して定款を作成することが非常に重要です。 設立時取締役就任承諾書 取締役として選任された人が、取締役に就くことを承諾した意思を証明する書面となります。設立時取締役承諾書には、選任された日付、役職名、就任を承諾する旨、作成日、選任された人の氏名、住所が記載されます。 資本金の払込を証明できる書面 資本金の払込を証明する書面になります。金銭での出資の場合は銀行口座の名義人と、全ての払込の日付・金額が確認できる通帳のページを印刷・コピーして添付します。 印鑑届出書 会社で使用する印鑑は印鑑登録しないといけません。印鑑届出書は、会社で使用する印鑑を法務局に届け出る際に必要な書類です。法務局で登録することで、印鑑証明書の交付申請ができます。 本人確認証明書 住民票記載事項証明書(住民票の写し)、運転免許書などの本人確認証明書になります。 場合により必要な書類 発起人の同意書 定款に、発起人が割り当てられる株式数や払込む金額、株式発行や発行可能株式総数などが定められていない場合に必要です。 設立時代表取締役就任証明書 代表取締役を選任する場合に、代表取締役となる人が就任する事を承諾したことを証明する書類です。 設立時監査役就任証明書 監査役を置く場合に、就任する人が就任を承諾した事を証明する書類になります。 設立時取締役・監査役の調査報告書 現物出資がある場合には、特別な手続きが必要となります。現物出資とは、金銭以外の財産を出資することです。株式会社の場合、出資した金額に応じて公正・平等に株式を受け取ることになってます。現物出資の場合、金額がはっきりしないため、トラブルになる可能性があります。そのリスクを避けるためには、調査報告書が必要です。 資本金額の計上に関する証明書 資本金額が正しく計上されていることを証明するために、登記申請などの手続きの際に法務局に提出する書類です。資本準備金の計上や現物出資をする際に必要となります。 委任状 代理人による登記申請をする場合に、手続きの代行を委任する為の書類です。 代表社員の就任承諾書 定款に代表社員を明記しない場合などに必要になります。代表社員となる人が、代表に就任することに同意していることを証明する書類になります。代表社員を複数名置く場合には、その人数分を用意する必要があります。 登記事項証明書 代表社員が法人である場合に必要な書類になります。 職務執行者の選任の書面 代表社員が法人であった場合に、業務執行の決定期間で選任したことが証明された書類を添付すした書類です。 職務執行者の就任承諾書 代表社員が法人であった場合、就任を承諾したことを証明する書類です。 関連記事:合同会社の設立期間は?株式会社との比較や設立の手順も解説 会社設立後に必要な各所での手続き 税務署 会社を設立したら、税金を納めるために税務署に法人設立届出書を提出しなければなりません。法人設立届出書を提出することで、会社を設立したことを税務署に知らせられます。この書類は会社設立時に必ず提出する必要があるため、忘れないよう注意しましょう。下記で紹介するその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 青色申告の承認申請書 給与支払事務所等の開設届出書 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書 各都道府県税事務所・市町村役場 法人設立届出書は、税務署だけでなく、各都道府県の税事務所や市町村役場にも提出する必要があります。その他、以下の書類を必要に応じて提出しなければなりません。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 定款のコピー 登記事項証明書 年金事務所 健康保険や厚生年金などの社会保険に加入するためには、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を必ず提出しなければなりません。この届出は、1人だけの会社でも加入義務があるため、事実発生から5日以内に提出する必要がありますので注意してください。下記に記載のその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 <場合によって必要> 健康保険被扶養者(異動)届 労働基準監督署 従業員を雇う際には、労働保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 労働保険の保険関係成立届 労働保険の概算保険料申告書 就業規則(変更)届 適用事業報告書 ハローワーク 従業員を雇う際には、雇用保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格届 スムーズな会社設立には専門家に相談を! いかがでしたでしょうか。 ご自身で会社設立をされるという方に、本記事が参考になれば幸いです。 ただ、会社設立には、定款の作成や登記申請などさまざまな手続きが必要で「自分でやるには面倒」「自信がないので相談したい」と思われた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。当然、スムーズで不備のない会社設立を進めるには専門的な知識も必要です。 税理士法人プロゲートでは、仙台市内を中心に「会社設立支援200社以上の実績」がございます。それぞれの事業計画に沿った会社設立、税務サポートを行っておりますので、少しでも気になる方は、是非お気軽にご相談ください。 関連記事:サラリーマンが在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介!


社会保険手続き
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【解説】社会保険はいつまでに手続きをしたらよいのか?

会社を設立してから多くの手続きがありますが、社会保険の加入手続きの作業もその内の1つです。 手続きをしない場合、本来よりも多くの社会保険料を払ってしまったり、罰金が発生してしまったり、会社の社会的信用を落としてしまう可能性もあります。 また、従業員を採用したときに行う手続きの中には期限が決められているものもあり、期限までに手続きを終えないと、社員の労働環境や生活に支障をきたす場合もあるので、より迅速な対応が求められます。 しかし、「原則手続きはどの時期に行えばいいのか」「何の手続きをしたらよいのか」「手続きには何が必要なのか」と思う方も多いでしょう。 この記事では、社会保険とは何なのか、加入する理由や加入する条件などの詳細を解説します。 社会保険は危機に備える公的な保険 社会保険とは、病気やケガ・失業など、生活する上での危機に備える公的な保険のことです。 以下の5種類はまとめて広義の社会保険と呼ばれることが多く、健康保険・厚生年金保険・介護保険を狭義の社会保険、雇用保険・労災保険は労働保険と呼びます。 健康保険(医療保険):民間企業に勤めている人、その民間企業に勤めている人の家族が加入する医療制度 厚生年金保険(年金保険):厚生年金保険が適用される企業の会社員や公務員が加入する公的な年金制度 介護保険:介護が必要な人が給付金やサービスを受けられる公的な社会保険 雇用保険:失業時や就労継続困難の際に給付金やサポートを受けられる保険 労災保険(労働者災害補償保険):業務や通勤中のけがや病気、死亡などに対して補償を受けられる保険 社会保険の加入義務がある事業所 社会保険の加入には、加入の義務がある強制適用事業所とそうでない事業所があります。 強制適用事業所に該当する事業所は、被保険者となる従業員を必ず社会保険に加入させなければなりません。 強制適用事業所にあたる事業所とは、被保険者が1人以上いる法人事業所、また常に5人以上を雇用している個人事業所です。ただし、5人以上の雇用をしている個人事業所でもサービス業の一部や農林水産業、畜産業などは強制適用事業所には含まれません。また、学校法人事業所の場合は、社会保険ではなく私立学校教職員共済制度に加入します。 強制適用事業所に当てはまらない事業所でも任意適用事業所として、社会保険に加入するという方法もあります。 社会保険の適用を除外されるのは、日雇い、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される人、所在地が安定しない勤務先に勤める人、4ヶ月以内の季節的業務に雇用される人、6ヶ月以内の臨時的事業に雇用される人などが該当します。 ただし、日雇いや2ヶ月以内の契約、季節的業務、臨時的事業に就いている人でも、継続して雇用される見込みがある場合には被保険者となります。 このように、一部の業種と短時間労働者を除き、継続的に事業所に雇われている人のほとんどは社会保険に強制加入になるといえるでしょう。 社会保険に加入しないとどうなるの? 社会保険に加入すべき事業所が加入しないまま放置していると、思わぬリスクを負うことになってしまうことも少なくはありません。 会社設立後には早急に社会保険への加入手続きをするべきですが、万が一、遅れた場合だと次のようなリスクが挙げられます。 ・国や地方自治体の助成金を受給できない場合がある・最大で過去2年分の保険料を追徴される・損害賠償を請求される可能性がある 国や地方自治体の助成金を受給できない場合がある 社会保険に加入していない場合、国や地方自治体の助成金を受給できない場合があります。 さらに、社会保険の適用事業者にもかかわらず、加入していない場合、健康保険法第208条によって罰金の支払いの義務が科される恐れがあります。このように関係法令を遵守していないと、助成金の申請条件を満たしません。 助成金の受給を検討しているのであれば、社会保険の加入手続きはきちんと済ませておきましょう。 最大で過去2年分の保険料を追徴される 社会保険の適用事業者なのに加入していない場合、年金事務所の調査によって未加入であると発覚することがあります。その場合、最大で過去2年分の社会保険料が追徴されます。 その間に退職した従業員がいれば、会社が全額負担しなければならなくなるので、本来よりも負担額が増えるでしょう。 また、健康保険法第208条によれば、加入義務があるにもかかわらず社会保険に加入していない場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されると記載されています。 これらのリスクを踏まえると、適用事業者であれば会社設立後は速やかに社会保険に加入すべきだと言えるでしょう。 損害賠償を請求される可能性がある 社会保険に未加入である場合、従業員から損害賠償を請求されるケースが見られます。 例えば、厚生年金保険料を支払っていなかったら、従業員が将来もらえる年金額は減少します。会社に社会保険への加入義務があった場合、会社側の過失となってもおかしくありません。 社会保険に未加入の状態は、従業員にとって不利に働くことも多々あります。損害賠償を請求されると、会社の社会的信用も危うくなってしまいます。 社会保険に加入するときの条件 従業員は、週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ1ヶ月の所定労働日数が常に雇用されている従業員の4分の3以上である場合は、社会保険に加入しなければいけません。 すべての法人の事業所は、国が法律で定めた保険に加入しなければならず、事業所ごとに保険が適用されます。 適用事業所という社会保険の適用対象となる事業所があり、強制適用事務所および任意適用事業所の2種類に分けられます。以下よりそれぞれ紹介していきます。 強制適用事業所 強制適用事業所とは、事業主や従業員の意志に関係なく、法律により加入が定められている事業所のことです。 強制適用事業所にあてはまる事業所は次の通りです。 ・常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(飲食店や理美容業、農林漁業などを除く)・常に従業員を1人以上使用する法人の事業所 任意適用事業所 任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所で厚生労働大臣の許可を得て、健康保険・厚生年金保険の適用となった事業所のことです。 事業所で働く半数以上の人が適用事業所になることに同意し、管轄の年金事務所か事務センターで事業主が申請を行います。 申請が受理され、厚生労働大臣の認可を受けると適用事業所になれ、加入義務がある従業員全員の健康保険・厚生年金保険への加入が必須になりますので、同意しなかった従業員も、加入義務がある場合は加入しなければならないことになります。 保険の給付や保険料は、強制適用事業所と同様です。 なお脱退する場合は、被保険者の4分の3以上の同意が必要です。同意を得て、事業主が脱退の申請を行い、厚生労働大臣の許可を受けることで適用事業所の脱退が可能になります。 社会保険の加入手続きは? 事業所の社会保険への加入手続きは、日本年金機構の事務センターか年金事務所で手続き可能です。 以下の表は、事業所別に加入手続きの提出期日や提出書類、提出先をまとめたものです。 事業所提出期日提出書類提出先強制適用事業所会社を設立してから5日以内・健康保険、厚生年金保険、新規適用届・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届・健康保険、被扶養者(異動)届・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書・その他各種添付書類事務センター管轄の年金事務所任意適用事業所半数以上の従業員の同意を得た後・健康保険、厚生年金保険、任意適用申請書、同意書・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届・健康保険、被扶養者(異動)届・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書・その他各種添付書類事務センター管轄の年金事務所 参考:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧」 社会保険の手続きは事務センターか管轄の年金事務所に提出する形が一般的ですが、近年は電子化により、電子申請での加入手続きも可能になっています。 なお、2020年4月より、資本金等の額が1億円を超える特定の法人・相互会社・投資法人・特定目的会社は、電子申請での手続きが義務づけられているので注意しましょう。 加入に必要な書類 社会保険に加入するには、次の書類の作成が必要です。 強制適用事業所の場合に必要な書類 健康保険・厚生年金保険、新規適用届 健康保険・厚生年金保険、被保険者資格取得届 健康保険・被扶養者(異動)届 健康保険・厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書 その他各種添付書類 任意適用事務所の場合に必要な書類 健康保険・厚生年金保険、任意適用申請書、同意書 健康保険・厚生年金保険、被保険者資格取得届 健康保険・被扶養者(異動)届 健康保険・厚生年金保険の保険料口座振替納付申出書 その他各種添付書類 また、事業所によって添付書類の内容は異なりますので、当てはまる事業所にあわせて書類の用意をしましょう。 健康保険・厚生年金保険新規適用届には次の書類も必要です。 事業所添付書類法人事業所・法人(商業)登記簿謄本法務局のホームページから交付請求が可能事業主が以下である場合・国・地方公共団体・法人・法人番号指定通知書のコピー国税庁法人番号公表サイトで確認した法人情報のコピーでも〇強制適用事業所にあてはまる個人事業所・事業主の世帯全員の住民票(原本) 参考:日本年金機構「新規適用の手続き」 加入手続き期限と提出先 前述の通り、社会保険への加入手続きの期限は、会社設立してから5日以内に行わなければなりません。 手続きは、必要書類を年金事務所に提出すると完了になり、次の3つの方法で行えます。 ・電子申請→提出先欄で事業所の所在地を管轄する年金事務所を選択・郵送→事業所の所在地を管轄する年金事務所・事務センター・窓口→事業所の所在地を管轄する年金事務所 マイナンバーの取り扱い 従業員の社会保険や労働保険などの各種保険や税金の手続きを行うために、マイナンバーを提供してもらう場合があります。 近年は入社する際にマイナンバーを提出する会社も増えていますが、マイナンバーは特定個人情報にあたるため取り扱いには注意が必要です。 なお、扶養家族がいる従業員の場合は、本人以外に扶養家族のマイナンバーも必要です。従業員からマイナンバーを提供してもらう際は、利用目的を明らかにすることが法律で定められています。 マイナンバーを提供してもらう方法 マイナンバーを提供してもらう方法は、口頭や番号を転記したメモでの提供は認められず、個人番号確認と本人確認が求められます。 個人番号が確認できる書類は、以下の通りです。 ・個人番号カード・個人番号通知カード・住民票 個人番号カードは本人確認書類としても利用できるため、個人番号カードのみで提出が可能です。 個人番号通知カードと住民票の場合は、本人確認として、運転免許証やパスポートなどの身分証明書の提出が必要です。 マイナンバーは特定個人情報にあたるため、情報管理には注意が必要で、マイナンバーの取扱者が個人番号を盗用、第三者へ提供した場合、最大4年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。 社内のマイナンバー取扱者の限定や、管理システムの導入、活用など、情報漏洩が起こらないよう適切な管理を行いましょう。 社会保険に加入しなくてよい場合 会社を設立すると、必ず社会保険に加入しなければならないというイメージがありますが、例外もあります。 以下の2つの場合は社会保険への加入は不要です。 ・従業員がいない1人社長で役員報酬がゼロの場合・パートやアルバイトを雇用する場合 従業員がいない1人社長で役員報酬がゼロの場合 会社を設立し、1人社長で会社から役員報酬を受け取らない場合、社会保険に加入しなくても構いません。 なぜなら無報酬の役員しかいない法人は、社会保険の適用事業所の要件を満たさないためです。報酬がゼロの場合、給与から天引きできないので、年金事務所から加入を断られる場合もあります。 その場合、国民健康保険と国民年金に加入することになります。 パートやアルバイトを雇用する場合 パートやアルバイトの従業員は、社会保険に加入しなくてよい場合があります。 被保険者数が101人未満の企業で働いていて、以下の条件のどれかに該当するパートやアルバイトの従業員です。 ・週の所定労働時間が30時間未満・月額賃金が8.8万円を超えない・雇用期間が2ヶ月以内の見込み・学生 ただし、2024年10月以降は被保険者数の条件が厳しくなる予定なので、今後の制度改正に注意しておきましょう。 よくある質問|5つご紹介 会社設立後の社会保険に関するよくある質問を5つ紹介します。 会社設立後に社会保険の適用事業所になった日から5日過ぎた場合はどうなりますか? 会社設立後に社会保険に加入しました。保険証はいつ届きますか? 社員の入社手続きに必要な書類は? 社会保険に加入する人の条件は? アルバイト・パートでどれぐらい出勤したら社会保険の対象となる? 会社設立後に社会保険の適用事業所になった日から5日過ぎた場合はどうなりますか? 会社設立から5日経過していても遡って加入できます。 必要書類を揃えるのに準備が必要なので、年金事務所に問い合わせて早急に手続きを済ませましょう。 会社設立後に社会保険に加入しました。保険証はいつ届きますか? 協会けんぽの場合、社会保険の手続きが完了してから2週間ほどで保険証が事業主に発送されます。ただし、3月・4月の繁忙期には3週間ほどかかる場合もあります。 保険証が届く前に医療機関で受診する場合は、いったん全額を支払わなければなりません。 あとで申請すれば、自己負担分を除いた医療費が払い戻されます。 社員の入社手続きに必要な書類は? 従業員の入社前に用意しておく書類には以下のようなものがあります。 雇用契約書・労働条件通知書 扶養控除等申告書 健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届 採用通知書(内定通知書) 入社誓約書 これらの書類は返信用封筒を添えて郵送し、署名・捺印後、返送してもらいましょう。 社会保険に加入する人の条件は? 社会保険に加入する対象者は、以下のとおりです。 正社員や会社の代表者や役員など75歳未満の人 70歳未満の以下に該当する人 週の労働時間、1ヶ月の労働日数が同様の業務に従事している 所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上である 以下に該当する短時間労働者 従業員101人以上の企業(特定適用事業所)に勤務している※2024年10月から51人以上の企業に変更予定 1週間の所定労働時間が20時間以上 フルタイムと同様に2ヶ月を超える雇用の見込みがある者 夜間学生、通信制は除く学生ではない者 月額の賃金が8.8万円を超える アルバイト・パートでどれぐらい出勤したら社会保険の対象となる? アルバイト・パートは、月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上である時に社会保険の対象となります。 また、月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上でなくても、次にあてはまる場合は社会保険の加入が必要です。 従業員101人以上の企業(特定適用事業所)に勤務している場合は、1週間の所定労働時間が20時間以上 フルタイムと同様に2ヶ月を超える雇用の見込みがあり、学生ではない(夜間学生、通信制は除く) 月額の賃金が8.8万円を超える 社会保険の手続きはお任せください! 今回の記事では、社会保険の手続きをする理由や加入しないとどうなるのか、社会保険の手続きの条件やポイントをまとめました。 2024年10月には社会保険の適用範囲の拡大も予定されており、特にはじめて会社を設立すると分からないことがよりいっそう増えてくるのではないでしょうか。その際は、状況や必要に応じて顧問税理士に相談してください。社会保険労務士法人プロゲートでは、社会保険労務士以外にも、税理士、行政書士などのプロフェッショナルが在籍しており、ワンストップでご相談に対応させていただきます。また、その他の専門家とのネットワークも広く、当社で対応が難しい場合であっても、適切な専門家をご紹介させていただきます。


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【中小企業向け】銀行との上手な付き合い方!メリットやポイントを解説

中小企業にとって、銀行と上手に付き合っていくことは重要です。事業を行う上で、円滑に融資取引を行っていくことは、とても大切になります。 銀行との付き合い方を知ることで、銀行との関係性を向上させ、中小企業経営者とのビジネスパートナーシップの強化に繋がります。 中小企業経営者の方で、「なかなか融資が受けられない」と悩んでいる方は、銀行との付き合い方を見直してみる必要があるかもしれません。銀行の融資担当者も「人」なので、業績が今一つで、さらにこれまでの付き合いも思い入れもない企業に対して、あえて難しい審査を通そうとは思わないものです。 そこでこの記事では、中小企業向けの融資を受けられる銀行の紹介と、上手に付き合うポイントや、方法、メリットについて解説していきます。 中小企業向け|金融機関の選び方 一般的に、起業したての小規模な会社や中小企業が融資を受ける際は、その土地の地方銀行や、信用金庫に相談することをおすすめします。 地方銀行は、都市銀行などメガバンクと比べ、中小企業や個人のお客様に細やかなサービスを展開する地域に密着した銀行になります。 信用金庫は、信用金庫法の元で運営されている非営利団体で、銀行業務が展開できるエリアが限定されている機関になります。 この2つの機関は、中小企業が融資を受けるには適した銀行になっています。都市銀行のように、資金は多くありませんが、どちらも地域密着でしっかりと寄り添ってくれるアドバイスを受けられることでしょう。 銀行との付き合い方のポイント こちらでは、銀行との付き合い方のポイントを6つご紹介します。 会社を設立して、銀行とも良い関係を築いていきたい方や、銀行との付き合い方が良く分からない方は、ぜひ参考にしてみてください。 会社の身の丈に合った銀行を選ぶ 銀行と上手に付き合っていく為には、会社規模にあった銀行を選ぶ事が重要になります。 地方銀行や都市銀行、信用金庫などの銀行の特徴を理解し、どの金融機関の融資が自社に適しているかを見極めることが大切になります。 例えば、設立したての会社が融資を受けるとなった時、大手の都市銀行に相談をしても、年商10億円以下の企業には融資をしてくれないことの方がほとんどです。 その点、地方銀行や信用金庫は、説明したように地域密着型で地域経済に大きな影響力を持っていることが多いです。そのため、地域社会の利益を重視し、中小企業向けに親身にサポートを提供してくれるでしょう。 会社の規模をしっかりと把握して、長く付き合いができるように会社の身の丈に合った銀行を選ぶようにしましょう。 複数の銀行と取引する ひとつの銀行だけで取引を続けていると、いずれ融資枠が上限に達してしまい、それ以上の融資を受けるのが困難になってしまう場合があります。また、銀行の経営方針の変更や、担当者の変更などに左右されてしまうことも少なくありません。 そのような事態にも迅速に対応できるように、複数の銀行に口座を開設し、融資の取引をすることが大切になってきます。1つの銀行からの融資がストップしてしまっても、もう1つの銀行からの融資は引き続き受けることができます。そのため、資金調達を安定して行うことができるようになります。 また、複数の銀行と取引することによって、借入金額、金利、返済期間などの条件を競わせることができます。競争原理を活用して有利な条件を引きだすことができる可能性があります。 銀行の嫌がる行動は避ける 以下の行動は、銀行に嫌われることになりかねなかったり、今後の取引に影響がでたりする可能性があるので避けましょう。 ・正確な情報を提供しない。情報提供に非協力的・提出書類や経営者(社長)の発言内容がいい加減、辻褄が合わない・自社が困ったときだけに助けを求める・何も言わず銀行を乗り換える・態度が横柄、融資を急いでほしいと言う 定期的に会計帳簿を提供する 融資を受けている場合、返済能力があるかどうか、利益や資産・負債の状況は銀行がいちばん確認したいところになります。このため、決算書など資料の提出を求められますが、ここで年に一度の決算書だけでなく、月次や四半期の帳簿も提供することで、銀行からの評価が高くなるでしょう。銀行から求められずとも、会社側から報告する姿勢でいることで、とても良い印象を与えることができます。 定期的にコミュニケーションをとる 融資している銀行側では、融資先の経営状態は常に把握したいところです。このため、銀行の担当者の方から、定期的に会社に訪問してくれることが多く、例えば、信用金庫なら定期積立の現金回収のタイミングで訪問してくれることもあります。 そのような中でも、会社側から積極的に銀行に訪問してコミュニケーションをとると、さらに先方と良い関係を築くことができるでしょう。融資の借入実行の時だけ依頼をし、融資が下りてその後は連絡を取らない姿勢でいると、銀行との信頼関係は築けません。融資を受けるのは一度だけではないことが多いので、今後の融資をスムーズに受けるためにも、コミュニケーションを取って信頼関係を築くことが大切です。 銀行主催のセミナーに積極的に参加する 各銀行では、セミナーや勉強会を開くことが多くあります。可能であれば出席をして、付き合いを深めておくと良いでしょう。実行できる範囲内でお互いに協力することで、もしもの時は手を取り合える関係を築くことができるでしょう。 ですが、付き合いが長いと、銀行から金融商品をすすめられたり、必要性のない借入をすすめられることがあります。付き合いのためと、要請に応える会社も多いかもしれません。 しかし、これらはあくまでも可能な範囲で行うようにしましょう。会社の経営に多大な影響がでてしまうことが分かってる時は、無理に要請に応える必要はありません。 銀行と付き合うメリット 銀行と長く付き合うメリットとして、資金繰りで困ってしまったり、問題が起きてしまった場合にアドバイスをくれたり、一緒に問題を解決してくれることがいちばん大きいでしょう。 会社の中で解決しようとしても、お金が絡む問題だと、難しくなってしまい中々解決に至らないケースがあるかと思います。 そのような時に銀行員に相談すると、解決の為にアドバイスをしてくれたり、親身に相談に乗ってくれるところが、メリットになります。 銀行と上手く付き合うには信頼が大事 以上、中小企業が銀行と上手く付き合っていく6つのポイントとメリットをご紹介しました。 中小企業と銀行の付き合い方には、会社にあった銀行を選ぶことが重要になります。その後も、信頼を構築していくために、融資の返済期日を守ったり、約束・時間を守るといった、当たり前の行動が大切になります。もし、融資で借りたお金を返済期限までに返す事ができていなかったり、約束や商談の時間を守れていなかったり等、銀行に対して怠惰な行動をしていると、そういった理由で信頼は徐々に失われます。 中小企業にとって、銀行との関係は切っても切れないものだと思います。良い関係を築くことで、さらなる企業の発展に繋がることでしょう。 税理士法人プロゲートは、仙台市の中小企業様を中心に財務全般の支援を行っており、融資実行率90%以上の実績がございます。仙台市近辺の方や、宮城・山形県内の方でもご相談を受け付けております。 融資を受けたいが何をしたらいいか分からない方や、事業計画書の作成の仕方が分からない方、融資が通るか判断してほしい方は、お気軽にご相談ください。 関連記事:中小企業の適切な資金調達の方法とは?流れや注意点について解説 関連記事:銀行から創業融資を受けられる?創業融資が可能な金融機関を紹介


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個人事業主の融資はいくらまで受けられるのか?

個人事業主として事業を続けるにあたり、金融機関からの借入によって事業拡大などを行うことも増えてきます。 しかし、法人と違って個人事業主がいくらが限度で融資を受けられるか不安に思うことはあるでしょう。 この記事では、現在、個人事業主の方に向けて、法人の融資の借りやすさの違いや個人事業主が融資を借りられる相場、融資を受ける際の注意点を解説します。 個人事業主と法人で融資の違いはあるのか 個人事業主は法人よりも融資を借りにくいといわれることがありますが、現在ではそのようなことはありません。 商法が施行された当時には、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円という最低資本金制度があったため、不利であると言われていました。 しかし、会社法の施行に伴って最低資本金制度は廃止され、実質1円からでも会社を設立できるようになりました。 そのため、法人でも個人事業主より出資金が少ない企業も多く、その意味でも個人事業主と法人とでは差がなくなってきているのが現状です。 また次のような理由でも個人事業主は法人よりも借りにくいといわれています。 個人事業主の信用力が低いため不利 個人事業では利用できない制度がある 財務書類の信憑性が低い 個人事業主の信用力が低いため不利 個人事業主と法人を比較した場合、事業面では法人の方が顧客に安心感を与えやすいというメリットがあります。 しかし、これはあくまでも営業をする場合の話であり、融資の審査においては、「売上げがいくらあるのか」「利益はどれぐらい出ているのか」が重要なポイントになります。 もちろん、大規模な事業をする場合には法人化する必要がありますが、事業の規模が小さい場合は、個人事業主に対する信用が低いため融資が受けにくくなるということはありません。 個人事業では利用できない制度がある 以前は法人だけが利用できる融資の制度がありましたが、現在は一部のローンを除いて、個人事業だから利用できない融資というのはほぼありません。 ただし、現在でも一部では法人のみを対象としたものがある他、出資や会社が資金調達を目的として投資家から金銭の払込みと引き換えに発行する社債を前提とした資金調達方法などは利用できません。 財務書類の信憑性が低い 個人事業主は法人と違い、1人でさまざまな書類を作成しなければなりません。 法人のような正確な財務書類が作られていないから個人事業主は融資に不利になるという方もいますが、これも融資の判断では関係ありません。 たしかに、作成された財務資料の内容がいい加減な場合には問題となりますが、それは法人についても同じことがいえます。 個人事業と法人では作成する資料の種類は異なりますが、会計処理に従った記帳や処理をしていれば問題ありません。 現在においては個人事業でも法人でも、融資の受けやすさに変わりはありません。 ただし、事業承継をした場合には、個人事業では許認可を引き継げないため、新たに相続人の名義で事業をしなければならないことに注意が必要です。 希望する融資額が借りられるかどうかは審査次第です。 銀行や信用金庫などの金融機関と同様、日本政策金融公庫から希望する融資額が借りられるかどうかは審査次第となるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は注意が必要です。 融資を受けられる金額の相場 金融機関からの借入平均は800万前後といわれています。 次の表は金融機関等からの借入平均を表にしたものです。 年度融資の平均金額2018年859万円2019年847万円2020年825万円2021年803万円2022年882万円2023年768万円 参考:2023年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫 表のとおり、金融機関からの借入平均額は700万円後半から800万円後半となっています。しかし、800万という値には、多く融資を受けた者も少なく受けた者も含まれており、全員が800万円を借りられるわけではありません。 実際の創業融資の金額には、300万円〜1000万円ほどの幅があります。そのため、自分がどのくらいの金額を借りられるかをより具体的に判断したい場合は、実際に自分でどれぐらい必要なのかを計算するのがおすすめです。 また商品の仕入れや従業員の給与など事業に必要な資金である運転資金は、月商の3か月分が目安になります。月商とは、個人事業主や企業が事業活動で得た1ヶ月の売上総額のことです。中小企業の月商の中央値は125万円程度といわれているので、運転資金の融資額は、375万円程度が相場といえます。 ただし、実際の金額は各自の資産や借入の状況、業種などによって変動するので注意しましょう。 個人事業主が受けられる融資制度 日本政策金融公庫 日本政策金融公庫は政府が全て出資をする金融機関で、中小企業や個人事業主を対象にさまざまな融資制度を提供しています。 政府系金融機関のため、金利が低めに設定されている点が最大の特徴です。借入期間も長く、返済期間は5年以上からの選択となります。 長い期間借りられて1回あたりの返済額は少なく済むため、借りる側としてはメリットがあると言えます。 しかし、デメリットとしては審査内容が厳しく、審査に時間がかかることです。申請から融資開始まで数ヶ月以上必要になることも多いため、準備には計画性が求められます。 民間のビジネスローンのように申し込んですぐに融資がおこなわれるというわけではないため、ある程度の時間が必要な点にも注意が必要です。 関連記事:日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の流れをプロセスごとに解説 関連記事:起業家必見!日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の必要書類を紹介 信用金庫 信用金庫とは、その地域の人々が利用者・会員になってお互いに地域の繁栄を図る協同組織の金融機関です。 銀行の主な取引先が大企業であるのに対して、信用金庫等の取引先は地域の個人事業主や中小企業になります。日本政策金融公庫よりも金利は高い傾向にありますが、銀行に比べると融資の難易度も金利も低いことが特徴です。 銀行に融資を申し込む前に、まずは地域の信用金庫等を検討してみましょう。 銀行融資 銀行は企業との取引が中心ではありますが、個人事業主でも融資は受けられます。 銀行融資を受ける際は、昔なじみの担当者がいる場合はその担当者を通じて申し込むか、銀行の融資窓口で相談をしましょう。申し込みをした後は、決算書をはじめとした融資審査のために必要なさまざまな資料を用意する必要があり、それらの書類をもとに融資が可能かどうか、金利や融資額などが決定します。 関連記事:銀行から創業融資を受けられる?創業融資が可能な金融機関を紹介 地方自治体や助成金・補助金 地方自治体は、比較的低金利で、各地方自治体で融資制度が設けられているケースも多いです。 「お住いの都道府県・市区町村名+融資」といった検索ワードや自分の都道府県や市町村のホームページでも調べてみましょう。また、融資と異なり返す必要のないのが補助金や助成金です。 返済の必要がないため、今後の資金集めが楽になりますが、補助金や助成金の目的に自分の業態が当てはまっているかを確認する必要があるので、融資よりも先に確認しておきましょう。 融資を受けやすくする5つのポイント 個人事業主はさまざまな融資を利用できますが、誰でも無条件で融資を利用できるわけではありません。 金融機関から希望額の融資を受けるためには、次の5つの点に注意する必要があります。 ・資金用途が明確となっている・返済が見込める計画となっている・税金、家賃、ローン等の滞納がない・事業計画を作成・提出する・代表者や役員の信用情報に問題がない 資金使途が明確となっていること 融資を受ける際には、資金使途といわれる「融資を何に使うのか」という、融資を受けた際の資金の使い道が重要となります。 資金使途には、設備資金と運転資金の2つがあります。 金融機関ではこの資金使途から「何のために融資を受けるのか」「返済能力はあるか」などを判断して融資をするかどうかを決定します。そのため、資金使途が赤字資金の穴埋めや生活資金の補充のような適切な使い方でないものや、事業に関係ないものである場合には融資は行いません。 また、事業の規模や内容から融資は必要ないと判断される場合にも、融資の対象とはなりません。十分な融資を受けるためには、見積書や事業計画書などを充分に確認して納得してもらう必要があります。 返済が見込める計画となっていること 融資の審査では、融資の返済が見込めるのかが結果に大きく影響します。 返済に必要な利益を返済キャッシュフローといいますが、返済キャッシュフローは「営業利益+減価償却費」の計算式で算定されます。 そのため、キャッシュフローが獲得できない計画となっている場合や、計画の内容に実現性が低いと判断される場合には、希望額の融資を得られません。したがって、その計画が実現可能であり、数字や理屈的にも根拠のあるものとなっている必要があります。 税金、家賃、ローン等の滞納がないこと 政府系・民間を問わず、申込時に税金などの滞納がある場合は、金融機関からの融資は難しくなります。 税金だけでなく、家賃や光熱費、住宅ローンを含む各種ローンについても過去6ヶ月〜1年の間に支払いの遅れがある場合は同様となります。また、税金の未納については納税証明書の記載で判明しますが、それ以外の家賃や公共料金等の支払い状況については、引き落し口座の口座履歴や支払い済みの領収書などで確認が行われます。 ただし、支払いに遅れがあってもその日数が短い場合や、税務署と分割納税の協議ができている場合などは、問題とならないこともあります。 事業計画を作成・提出すること 通常、創業融資以外の融資については、借入れは融資申込書を提出して行いますが、融資を受ける可能性を上げたいのであれば、借入れや事業の内容を事業計画書としてまとめて提出しておきましょう。 借入申込書は、借入れの内容を記載したものですが、「なぜ借入れが必要となったのか」「具体的にどのように返済するのか」などを書くスペースがありません。しかし、金融機関が確認したいと考えていることや、今後の計画を事業計画書にまとめて説明すれば、融資が出る確率が高くなります。 なお、事業計画書には、次の4つの項目をまとめておくとよいでしょう。 過去3年間分の決算書の数字をまとめた現在の財務状況 最近の業況や現在に至るまでの経緯 仕入や人件費、家賃などの具体的な使い道 返済利益が獲得できる根拠や販売の戦略 また、計画の内容についてはできるだけ客観的に見て納得してもらえるものとする必要があります。 代表者や役員の信用情報に問題がないこと 融資の審査では代表者の個人情報に問題がないかの確認が行われますが、もし、ローンの延滞などにより信用情報機関に情報が記録されている場合には、融資は困難になります。 また、信用情報のチェックは、代表者だけでなく、他に取締役や監査役がいる場合には、これらの方についても行われます。そのため、代表者だけでなく、他の役員等に個人情報上の問題がないかどうかについても事前に確認しておく必要があります。 融資を受ける上での注意点 融資を受ける上での注意点を2つ紹介します。 ・確定申告をしないと融資を受けられない・経費処理可能なのは利息部分のみ 確定申告をしないと融資を受けられない 一般に金融機関の審査では確定申告書の提出を求められます。 確定申告書を見れば個人として営んでいる事業のおおよその状況がわかりますし、数年分を見れば事業が成長しているかどうかも把握できます。 年間の所得が38万円以下の人は確定申告をしなくてもよいとされていますが、赤字の繰り越しなど、よいこともたくさんあるでしょう。もし、確定申告を行っていないなら、銀行や公的金融機関から事業資金の融資を受けるのは難しいので、確定申告を行うようにしましょう。 経費処理可能なのは利息部分のみ 事業資金として受けた融資の返済を行っている人は、確定申告の際に利子部分を経費とすることができます。 元金部分については経費にはできないので、あくまで利子のみが経費として認められます。 その他にも、借入手数料、保証料、印紙代などがかかっている場合も経費にでき、繰上返済した場合の手数料も同様です。 融資についてよくある質問 個人事業主の融資についてよくある質問を2つ紹介します。 起業する際に自己資金なしで融資を受けることはできますか? 起業の際、自己資金なしで融資を受けることは、絶対にできないというわけではありません。 可能性は0ではありませんが、基本的には自己資金なしで融資を受けられることは難しいです。最低でも、融資希望額の10分の1ほどの自己資金を準備しておきましょう。 スムーズな融資を希望する際は、できるだけ多くの自己資金を準備しておきましょう。 関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる?注意点を解説 個人事業主でも通りやすい融資はありますか? 個人事業主でも通りやすい融資の一つに「ビジネスローン」が挙げられます。 ビジネスローンとは、特にビジネスを目的としたローンのことです。融資までのスピードが早いのですぐにお金が必要な時に心強いといえます。金利は高めですが、融資審査の判断基準は個人の信用力がどのくらいあるかが重要なので創業時でも利用しやすいです。 個人事業主の融資はお任せください! 今回の記事では、個人事業主が融資を借りられる相場や融資を受ける際の注意点などをまとめました。 法人と違って個人事業主は自分で考えることが多くなってきます。特にはじめて会社を設立すると分からないことが多いのではないでしょうか。その際は、必要に応じて顧問税理士に相談してサポートしてもらいましょう。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に融資支援を行っており、融資実行率90%の実績がございます。会社設立の支援実績も200社以上ありますので、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。経験豊富な税理士が、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。 関連記事:創業融資は個人事業主でも受けられる?おすすめの資金調達と融資の流れを解説 関連記事:青色申告の個人事業主がパソコンを経費計上する時の勘定科目や仕訳例を解説