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持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント

経営者

持株比率は、企業の株主が所有する株式の割合を指します。

複数のメンバーで創業する場合、創業時に決定しなければならないのが、誰がどれだけの比率の株を保有するかという「持株比率」の決定です。

持株比率(出資する比率)を適当に決めてしまったせいで、後々、創業メンバーと揉めてしまうというケースも少なくありません。

これは今後の会社経営において重要な要素となるため、慎重に配分を決めなければなりません。

そこで、この記事では、比率ごとに異なる株主権利と創業時に注意すべきポイントを解説します。

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持株比率とは何か?

持株比率は、特定の企業の株主が所有する株式の割合を示す指標です。一般的には、企業の発行済み株式総数に対する個々の株主が所有する自己株式の割合を計算します。

持株比率が高い株主は、企業の経営方針や意思決定に影響を与える可能性が高くなります。また、持株比率が一定の割合以上になると、議決権行使や企業経営への介入などの権利が発生する場合もあります。持株比率は、企業の株主構成や株主間の権力関係を把握する上で重要な要素です。

株主には3つの権利がある

持株比率が高い株主は、次の3つの権利を持ちます。

1. 議決権:高い持株比率を持つ株主は、企業の重要な意思決定に関与する権利を持ちます。これは、株主総会での議案に対する投票権を指します。持株比率が高いほど、株主が企業の経営方針や役員の選任に影響を与える力が増します。

2. 配当権: 株主は、企業が利益を出した場合にその一部を配当金として受け取る権利を持ちます。持株比率が高い株主は、より多くの配当金を受け取る可能性があります。

3. 情報開示権: 株主は、企業の経営状況や業績に関する情報を適切に開示する権利を持ちます。持株比率が高い株主は、企業の内部情報や戦略についてより広範な情報を入手しやすくなります。

持株比率によって行使できる権利が異なる

一般的には、持株比率が高い株主ほど、企業経営における様々な権利をより強力に行使できる傾向があります。ただし、持株比率が一定の割合以上に達すると、特定の権利が発生することがあります。例えば、多くの国や地域では、株主が特定の持株比率(しばしば5%以上)を超えると、以下のような権利が発生する場合があります。

持株比率ごとに行使できる権利

持株比率が高い株主が行使できる権利は、法律や企業の規則によって異なる場合がありますので、具体的な条件や規定に注意する必要があります。

1株持っていると行使できる権利

配当受取権、株主総会の議決権

持株比率1%以上で行使できる権利

株主総会の議案提案権

持株比率3%以上で行使できる権利

会計帳簿閲覧謄写請求権

持株比率33.4%以上で行使できる権利(1/3以上)

単独で特別決議を阻止することが可能

持株比率50%超で行使できる権利(1/2以上)

単独で普通決議を通すことが可能

持株比率66.7%以上で行使できる権利(2/3以上)

単独で特別決議を通すことが可能

持株比率90%以上で行使できる権利

株主の強制買い上げ(スクイーズアウト)を実行が可能

持株比率100%で行使できる権利

株式総会の全ての決議を単独で可決可能

複数で創業する場合の注意点

複数で創業する場合の持株比率にはいくつかの重要な注意点があります。以下にいくつか挙げてみます。

持株比率を均等にすると、トラブルに発展する可能性も

持株比率を均等にすることがトラブルに発展する可能性もあります。以下にいくつかのポイントを挙げてみます。

1、貢献度や役割の不均衡

均等な持株比率を確保する際、実際の貢献度や役割に不均衡が生じる場合があります。特定のメンバーがより多くの労力や資金を貢献しているにも関わらず、持株比率が均等であるために公平性に疑問を抱くことがあります。

2、意見の相違

ビジネスに関する意思決定や戦略において、均等な持株比率を持つ株主間で意見の相違が生じることがあります。意見の対立が解決されない場合、トラブルや企業の停滞につながる可能性があります。意見の相違によって解散するケースも少なくありません。

3、リスクへの対応の不一致

ビジネスに関連するリスクに対するメンバー間の認識や対応が異なる場合、均等な持株比率を持つ株主間で対立が生じることがあります。特に、資金調達や成長戦略に関する重要な決定において、異なるリスク許容度や優先順位が存在する可能性があります。

4、経営権の分散

均等な持株比率を持つことで、経営権や意思決定権が分散されるため、効果的な経営や意思決定が難しくなる場合があります。特に、迅速な意思決定や企業の方針の統一が必要な場合、経営権の分散が進むことで効率性や経営の一貫性に影響を与える可能性があります。

これらのポイントを考慮すると、均等な持株比率を確保する際には、事前の計画や約束事の文書化、コミュニケーションの強化など、トラブルを未然に防ぐための対策が重要です。また、柔軟性を持たせるために、持株比率に応じた役割や貢献度に基づく報酬や権限の調整が必要となる場合もあります。

代表者の持株比率は最多にする

代表者の持株比率を最多にする理由(メリット)はいくつかあります。

1、意思決定の効率性

 企業の意思決定は、時に迅速かつ効果的なものである必要があります。代表者が最多の持株比率を持つ場合、経営方針や重要な決定に対して迅速かつ一貫した指針を与えることができます。このため、経営権が集中することで、組織の効率性や意思決定のスピードが向上することが期待されます。

2、責任とリーダーシップの強化

 代表者が最多の持株比率を持つことで、組織の責任とリーダーシップが強化されます。彼らは企業の成功や失敗に直接的に責任を負い、そのためにより積極的に経営に関与し、企業の方向性を決定することが期待されます。

3、 投資家や取引先への信頼構築

代表者が最多の持株比率を持つことは、投資家や取引先にとっても信頼感を生み出す要因となります。企業のリーダーシップが明確であり、代表者が経営に積極的に参加していることは、企業の持続的な成長と安定性を示唆するものとして評価されるでしょう。

4、組織の一体感の強化

代表者が最多の持株比率を持つことで、組織内での一体感や協調性が強化されることがあります。彼らは自らが企業の一員であることを示し、組織全体の成功に向けて努力することで、従業員や他の株主により大きな影響を与えることができます。

これらの理由から、特に創業時は代表者が最多の持株比率を持つことを強くおすすめします。

共同創業したメンバーの一人に経営の権限が過度に集中することで意思決定の偏りが生まれ、創業メンバー同士の対立に繋がる可能性もあるため、創業時に十分に話し合っておきましょう。

行使できる権利を考えて持株比率を決める

持株比率を決める際には、創業するメンバーの人数によってもその比率のバランスは異なります。その配分をどうするかは重要な検討課題です。 当然ですが持株比率が高い株主ほど、より大きな影響力を持ち、企業の経営方針や戦略に対してより大きな影響を与えることができます。創業時のメンバーの人数によって誰がどれだけの比率を持つか、よく検討しましょう。

持株比率で失敗しない為に!

起業する際、創業メンバーごとの持ち株比率を決定することは、会社の舵取りの方向性に大きな影響を与えます。どの程度の持ち株比率がどの程度の権利を与えるのかを正確に把握し、比率を決めましょう。

特に、創業メンバーが経営権を維持したい場合、将来的には増資によって今より多くの株を発行する場合の希薄化によるリスクなど、様々な検討事項が存在します。創業メンバーの持株比率の違いが原因で人間関係が破綻することもあります。

プロゲートでは、これまでに数多くの会社設立を行い、創業者の意思と経営におけるリスクのバランスを考慮した持株比率の提案を行ってきました。持株比率でお悩みの場合や、複数人での創業を検討している方は一度プロゲートにご相談ください。下記、お問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております。

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投稿日: 2024年3月11日   10:42 am
更新日: 2024年10月21日   12:00 pm