最新記事一覧

悩む
会社設立

会社設立時の資本金の決め方とは?決め方のポイントや注意点も解説

いざ、会社設立をしようと思っても分からないことが多いと思います。 近年では、資本金が1円~でも会社設立が出来るようになっていますが、実際の資本金額が1円という会社は多くありません。 では、最適な資本金額はいくらなのでしょうか。業種や設立する会社の状況によって異なりますが、目安となる資本金額や、考え方のポイントを解説します。 この記事を読んで、「資本金の重要性を理解した上で間違いのない会社設立をしたい」と思っている方の参考になればと思いますので、ぜひ最後までお読みください。 中小企業の平均額は300~500万円 資本金とは、会社設立または増資によって出資者から払われたお金のことを指し、円滑な会社経営を行う際の元手となる資金のことです。純資産である資本金は、負債とは異なり返済義務がなく、負債利子も発生しません。そのため、資本金は会社の信頼性を判断する一つの指標とされます。 会社法32条では、会社を設立するときには資本金を決める必要があると定められていましたが、2006年5月の会社法改正により、資本金1円からでも株式会社や合同会社の設立が可能になりました。 資本金の目安は、令和3年に総務省・経済産業省が発表した「令和3年経済センサス-活動調査速報集計 企業等に関する集計」によると、調査総数177万7291社のうち資本金で最も多いのは「300万~500万円未満」が3割以上を占めており、次に「1000万~3000万未満」、「500万~1000万未満」と続きます。 初期投資で店舗や設備機器、仕入れなどの費用が多く発生する業種は資本金が多い傾向があります。そのため、業種によって資本金の金額は異なりますが、中小企業の資本金の平均額は300~500万円といえます。 資本金を決める際は、これから開業する業種の資本金がどれくらいなのか、事業計画上どのくらいの資金が必要かを考慮して決めましょう。 関連記事:会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説 なぜ資本金が重要なのか? 会社が初めて取引を行う際には、与信調査が行われる場合があります。 与信調査とは、取引を行う相手企業に対して、支払い能力など金銭的な信用度合いに関する情報を調査することです。「しっかりと商品代金を支払ってくれる」「商品を納めてくれる」といった信用が得られなければ取引をしてもらえません。 信用できるかできないかを判断する一つの基準として、資本金額をチェックします。 また、銀行から融資を受ける際にも、資本金額が重視されます。一般的に、銀行から融資してもらえる額は資本金額と同等から2倍までが相場とされていますが、融資を得て創業直後から一気にビジネスを成長させたいと考えている場合は、それ相応の資本金が必要です。 さらに、銀行の一般的な融資制度を利用する場合にも、売上高や未払い金額などの他にも資本金額がチェックされます。しかし、資本金はあくまでも出資金であり、創業や増資時など資本金にあてる目的での融資は受けられないので注意が必要です。 資本金の多さは、会社の信用と大きく関わります。 特に設立間もない企業は、資本金の額が対外的な会社の信用や事業の規模を表す指標として映るので、資本金をしっかり決めておくことが大切です。 関連記事:中小企業の適切な資金調達の方法とは?流れや注意点について解説 資本金の決め方を4つの点から解説 ここでは、資本金の決め方を順番に4つそれぞれ紹介します。 1、初期投資と半年分の運転資金を計算する 2、自分の業種が特定のもので最低資本金が決められていないか確認する 3、税金との関係を考慮して決める 4、実店舗がある銀行の口座開設または融資が欲しい場合は100万円以上にするか決める 1,初期投資と半年分の運転資金を計算する まずは、初期投資の金額と半年分の運転資金を計算しましょう。 株式会社を設立するには、設立時にかかる費用や事業を行うための初期投資が必要です。また、会社設立後すぐには売上が見込めないことが多いので、運転資金も準備しておきましょう。 会社を設立する際には、登録免許税や定款認証印紙代、謄本の発行手数料などさまざまな初期費用がかかってきます。初期費用に加えて、会社の初期投資+半年分の運転資金の他にも、業種によっては機械の設備や車両なども購入して用意しなければなりません。 また、運転資金には、自分や従業員の給与、事業を行っていくための諸経費などが含まれます。 半年の間、全く売上がないと想定した際に出ていくお金は何があるか、具体的に考えてみましょう。 2,起業する業種の最低資本金額に決まりはないか確認する 次に、自社の業種で最低資本金額が決められていないか確認しましょう。理由としては、自社の業種が許認可が必要な業種だった場合、最低資本金が決まっているからです。 最低資本金が決められている業種では、その資本金額を上回っていないと事業が始められません。 下記の業種は、最低資本金額が決められているものの一部です。 【最低資本金が決められている業種と最低資本金】 業種 最低資本金 有料職業紹介業 500万円以上 一般労働派遣業 2,000万円以上 第1種旅行業 3,000万円以上 第2種旅行業 700万円以上 第3種旅行業 300万円以上 地域限定旅行業 100万円以上 一般建設業 500万円以上 特定建設業 2,000万円以上 貨物利用運送業 300万円以上 3,税金との関係を考慮して決める 資本金は多ければ多いほど良いと思われますが、資本金が多くなると収める税金も増えていきます。 資本金を設定する前に、納税義務の有無や許認可の要件、運転資金などとのバランスを考えながら設定しましょう。 資本金の額から影響を受ける税金として、「消費税」「法人住民税」「法人税」「地方税」「登録免許税」の5つについてどのような影響を受けるのかを解説します。 消費税 資本金を1000万円以下で設立した会社は、原則として設立1期目と2期目の消費税の納税義務が免除されます。 ただし、2期目に関しては、1期目の前半6か月の売上が1,000万円を超え、かつ役員報酬を含む人件費が1000万円を超えた場合は、消費税の課税対象となります。 また、資本金が1000万円以上になると最初から課税事業者となるため、初年度から消費税を納税しなければなりません。 少しでも節税したい場合は、資本金を1000万円未満に設定するようにしましょう。 なお、2023年10月から始まったインボイス制度により、取引先との関係から消費税の免税事業者となれないケースも想定されるので注意が必要です。 法人住民税 法人住民税には、法人税割と均等割の2種類あります。 法人税割は個人住民税の所得割にあたるもので原則として国に納付する法人税額に応じて課税されます。 均等割は赤字であっても資本金や従業員数に応じて課税されます。課税額は資本金などの額によって変わり、道府県民税が2万円から80万円、市町村民税が5万円から300万円です。 また法人住民税の法人税割の税率に関しても、資本金の額や従業員数に応じて異なる税率を適用している地方自治体もあるので、調べておきましょう。 法人税 法人税の税率は、資本金が1億円を超えるかどうかで変わります。資本金1億円以下の法人で所得が800万円を超える場合、所得800万円超の時の税率は23.2%、800万円以下は税率が15%となります。 また資本金が1億円以下であれば中小企業とみなされ、法人税率の一部軽減も認められます。 国税庁|法人税の税率 地方税 地方税は、資本金額によって地方税率が調整される仕組みとなっており、資本金が少ない場合に軽減措置が受けられます。 1000万円以上1億円以下であれば一定の軽減税率が適用されます。 よって、1000万円を境に資本金額の設定と地方税については十分に検討しましょう。 登録免許税 登録免許税は、不動産登記と商業登記の際にかかる税金をいいます。 会社を設立して会社を登録するためにも必要な税金であり、資本金額だけでなく株式会社か合同会社かによって納税する金額が変わります。 具体的な内容は次の通りです。 会社の種類 登録免許税 株式会社 150,000円または資本金額×0.7%のどちらか高い額 合同会社 60,000円または資本金額×0.7%のどちらか高い額 4,融資を検討している場合は最低100万円以上にする 実店舗がある銀行の口座開設をする場合や、融資を検討している場合は、資本金を100万円以上にしておきましょう。 資本金がとても少ない場合、そもそも法人口座の開設ができなかったり融資を受けられなかったりする可能性があります。過去に法人口座を振り込め詐欺などに利用する事例があったため、資本金が少ないと「詐欺をしようとしているのではないか」と思われ、法人口座を開設できないケースがあるのです。 「資本金がいくらあれば確実に口座開設や融資を受けられる」と明言はできませんが、実店舗がある銀行の法人口座を開設したい場合や融資を受けたいと考えている場合は、最低100万円以上は必要と思っておくといいでしょう。 会社設立時|資本金の払込の流れ 会社設立時の資本金の払込みには、次の3つの手続きがあります。 ①銀行口座を用意する まず、個人の銀行口座を用意する必要があります。 会社設立時はまだ法人になっていないため、新しく口座を用意する必要はなく、普段から使用している個人の銀行口座でも可能です。また、発起人が複数人いる場合は発起人の代表の銀行口座を使います。 ②通帳のコピーを作成する 振込の際に注意すべきなのが、通帳のコピーを用意する必要があることです。 通帳の中でコピーすべきなのは、銀行名と支店名、銀行印が判別できる表紙の裏表と振込内容が記載されたページになります。インターネットバンキングなどを通じて資本金を振り込む場合は、振込日や口座名義人、振込金額などが記載されたページを印刷する必要があるので注意しましょう。 ③払込証明書を作成する 次に払込証明書を作成します。 払込証明書とは、資本金の払込があったことを証明する書類となります。払込証明書に必要な項目は次のとおりです。 ・払込証明書に必要な項目 ・払込みの総額 ・払込みがあった株式数 ・1株あたりの払込金額 ・払込みがあった日付 ・会社の所在地 ・会社名 ・代表取締役の名前 払込総額と株式数は定款に記載した内容と同じもの、1株あたりの払込額は総額を株式数で割ったものを使用します。払込証明書には、会社の代表の捺印が必要で、払込証明書の左上と代表取締役の名前の右横の部分に押印しなければなりません。 現物出資を行う場合 次に、現金振り込みではなく、現物出資で資本金を準備する場合について解説します。 現物出資とは、金銭以外の財産を出資する方法で、購入したときの金額ではなく、現時点での市場価値で計上されることになります。不動産であれば専門家に価格調査を依頼することになり、車の場合は中古市場の価格が出資額となります。 また定款に下記の必要事項を記載する必要があります。 現物出資する人の氏名と住所 資産の詳細情報(名称・メーカー名など) 資産の価格 さらに、調査報告書・財産引継書・資本金の額の計上に関する証明書を作成します。 調査報告書は現物出資する資産の価格が適切かどうかを調査した結果をまとめた書類で、財産引継書は資産が個人から会社へ所有が移ったことを表す書類です。 そして資本金の額の計上に関する証明書は、現金以外の現物出資がある場合には、添付が必要となる書類です。 これらを登記申請書に添付し、法務局へ提出します。 資本金についてよくある質問 最後に、これまでの本文でも解説した内容にはなりますが、資本金の決め方についてよくある質問を4つ紹介します。 ・資本金の最低金額は? ・法人用の銀行口座は必要? ・資本金を使うタイミングは? ・会社設立後に資本金を増額したい場合は? 資本金の最低金額は? 新会社法によって、資本金1円から株式会社などを設立できるようになりました。ただし、資本金1円の会社経営はあまり現実的ではありません。 会社を設立した直後は決算書がないので、融資を受ける際には資本金が重要になります。資本金の少ない会社の信用力はないので、このような形で金融機関の融資審査にも不利になります。さらに、資本金額は顧客や取引先からの信用といった面でも影響します。資本金は運転資金も兼ねているため融資も期待できないと、継続的な入金がない限り経営の継続自体が難しくなります。 資本金に返済義務はありません。資本金額が多いほど、余裕を持った会社経営を行えるでしょう。 法人用の銀行口座は必要? 銀行の法人口座は、会社経営において法律上は必ずしも必要ではありません。 経営者の個人口座をそのまま法人用として使え、会社として問題なく事業を行えますが、経営者の個人名義の口座と会社の財産との区別ができなくなり、会社の財務状況とお金の流れの把握が難しくなります。また、顧客や取引先に銀行口座を伝える際、口座名義が法人名でないと、顧客や取引先に「本当に実在する企業なのか」と不信感を持たれる場合もあります。 融資を受ける際や法人名義のクレジットカードを作成する際に金融機関の審査手続きをスムーズに行うためにも、法人用銀行口座があった方が良いでしょう。 資本金を使うタイミングは? 資本金は、使ってはいけないお金と思われがちですが、資本金を使うタイミングや使い道は特に制限されていません。 会社の経費として、必要な時に使っても良いものです。 資本金は会社に関することに利用することはできますが、社長であっても自分の生活などには使用できないので注意が必要です。 会社設立後に資本金を増額したい場合は? 会社を設立した後に資本金を増資するという選択肢もあります。増資とは、資本金額を増やすことです。資金調達方法のひとつとして一般的に広く扱われ、増資の方法として公募増資や株主割当増資、第三者割当増資などがあげられます。 公募増資:新しい株式を発行し、証券市場を通じて一般の投資家から出資を募る方法。 株主割当増資:既存の株主に、出資金と引き換えに新たな株式を取得できる権利を与える方法。 第三者割当増資:親会社など、特定の第三者に対して新規株式を発行する方法。 資本金を増資するメリットとしては、資金調達ができたり会社の信用度が上がる、会社の支援者が増えることがあげられます。 一方で、資本金を増資するデメリットとして、増資をしすぎると、発行済み株式数が増加するので、1株あたりの利益が下がってしまう点が挙げられます。 会社設立時の資本金額は自由に決められますが、あまりにも少なすぎる場合は、経営の継続に支障がありますので、慎重に決めましょう。 ただし、増資をするには株主総会の決議や法務局への登記申請などの手続きが必要になるうえ、増資額の0.7%の登録免許税がかかります。 特に中小企業は、許認可の関係で資本金を増やさなければならない場合を除き、資本金を増やす必要性はありません。「資本金が足りなくなったら増資すればいい」と安易に考えるのではなく、会社設立の段階から慎重に資本金の金額を設定することが大切です。 プロゲートは200社以上をご支援 今回の記事では、会社設立の資本金の決め方をまとめました。 自身が起業する業種や状況によって必要な額は変わります。特にはじめての会社設立では分からないことが多いでしょうか。その際は、必要に応じて顧問税理士に相談してください。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に法人及び個人事業主様の会計業務をサポートしております。会社設立の支援実績も200社以上ありますので、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。経験豊富な税理士が、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 関連記事:持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 関連記事:【会社設立】定款の事業目的の書き方を一覧で紹介!ポイントや注意点を解説 関連記事:合同会社の設立期間は最短でどのくらい?株式会社の場合との比較や設立までの手順も解説


中小企業
融資関連

中小企業の適切な資金調達の方法とは?流れや注意点について解説

企業にとって、資金調達は事業を円滑に進めるためにも重要なファクターです。しかし、融資や投資など、方法が複数あるため簡単には選択できません。 「資金調達にはどのような種類があるのか」 「中小企業はどうやって資金調達をおこなっているのか」 など、気になる経営者の方も多いのではないでしょうか。本記事では中小企業の資金調達の現状や、方法、流れなどについて詳しく解説します。ぜひ、最後までご覧ください。 中小企業の資金調達の現状 企業の設立や運営をしていく上で、活動資金というのは必ず必要です。ただ、現状として中小企業は大企業と比べると資金調達が難しいというのも事実です。理由としては、以下のような内容が挙げられます。 ・経営の基盤が整っていない ・担保がない 経営の基盤が整っていない 中小企業では、大企業と比べると、組織の規模が小さいことや、運営していくための体制が整っていないという傾向にあります。そのような状態の場合、ちょっとしたアクシデントやトラブルから事業が運営できなくなる可能性も高く、資金調達を行うことがリスクだと捉えられることで、資金調達を受けるのが難しいです。実際に2019年からのコロナウイルスによって、多くの中小企業が想定外のアクシデントに対応できず、倒産しています。 このように、想定していないアクシデントやトラブルに直面した時に、対応ができる体制が整っているかどうかは、金融機関や投資家など、資金調達をする側としては大きなポイントの一つとなります。 担保がない 事業の実績が悪い時や、アクシデントやトラブルがあった際でも、不動産などの担保がある場合は資金調達を受けやすくなります。しかし、中小企業は大企業と比較した時に、保有している不動産などの資産が少なく、担保できるものがないことから、資金調達を受けるハードルが高くなります。 他にも中小企業には、赤字経営の企業も多いことから、中小企業は資金調達が難しいと言われています。 資金調達の方法7選を紹介! 実際に資金調達をする際には、色々な方法があります。本記事では、その中でも、一般的に利用されている資金調達の方法についていくつか解説します。 日本政策金融公庫 創業間もない中小企業におすすめしたいのは、日本政策金融公庫の創業融資です。 日本政策金融公庫とは、一般の金融機関が行う金融を補完することがメインですが、他にも中小企業や個人事業主を支えることを目的としている機関です。 大きな特徴として、金融機関より融資を受けやすいことや、金利が低いことがあります。対象としては、新たに事業を始める企業や事業開始後おおむね7年以内の企業、事業の再建を図る企業など、様々な企業を対象としています。 一般貸付の場合、融資限度額は4,800万円となっており、金利は無担保の場合2〜3%、有担保の場合1〜2%と低金利での融資を受けることができる可能性があります。 参考:日本政策金融公庫|主要利率一覧表 日本政策金融公庫の一番のメリットとして、民間金融機関では難しい長期的な資金が調達できることが挙げられます。これは制度により前後はありますが、最長で20年の資金調達をすることが可能です。他にも、中長期的な視点で中立な立場から経営課題の解決に役立つ情報提供を受けられるのも大きなメリットとして挙げられます。 ただし、融資の詳しい条件や内容については、その時の事業の状況や内容によっても大きく異なりますので、資金調達が必要であれば、まずは相談してみてはいかがでしょうか。 関連記事:起業家必見!日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の必要書類を紹介 制度融資 制度融資とは、中小企業や個人事業主が事業に必要な資金を円滑に調達するために、地方自治体や金融機関、信用保証組合が連携して提供する融資のことです。 大きな特徴として、企業の将来性を重視した審査が行われることから、実績が少ない企業や、起業してからの期間が短い企業でも、比較的融資を受けやすいということが挙げられます。理由としては、返済が滞った時に、信用保証協会が保証してくれるため、金融機関側としても融資しやすい体制が整っているためです。また、これらのことから連帯保証人が不要のケースも多くあります。 また、日本政策金融公庫と同じく、長期的に低金利で融資を受けられることも大きな特徴の一つとして挙げられます。対象としては、自治体によって融資を受ける理由や条件などが異なるため各自治体の条件などの確認が必要になります。 例えば、宮城県では新規開業で3,500万円で最長10年の運転資金の制度融資があります。 山形県では、融資限度額は5,000万円で最長20年の制度融資があります。 制度融資は、中小企業にとって利用しやすい資金調達の方法ですが、手続きに時間がかかったり、各自治体によって制度の内容が異なりますので、融資を受ける時にはしっかり確認をした上で申し込むようにしましょう。 銀行融資 銀行融資は、一般的に企業や個人が銀行から融資を受けることです。日本政策金融機関や制度融資と比べると、金利が少し高くなることもありますが、高額の融資を受けられることから資金調達の方法としてはよく挙げられます。 銀行融資の大きな特徴として、経営に介入されないということや、取引実績を作ることで融資が受けやすくなるということが挙げられます。返済をきちんとしていれば、基本的に経営に介入される心配がなく、余計なストレスを受けずに済みます。また、銀行側としては純資産や経常利益の数字を重視しますので、プラスになっていることで次の融資が受けやすくなる可能性もあるのです。 ただし、銀行融資を受ける場合には、事業計画書や確定申告書などを提出し、事業の詳細を細かくチェックされるため、審査自体は厳しく融資を受けられないケースも多くあります。例えば、返済能力や資金用途に対しての信用性が低いことや、担保が乏しいこと、現在の収入や資産の状況が悪いことなどが挙げられます。 また、融資を受けるまでに数ヶ月程度の期間が必要になりますので、計画的な準備が必要です。 銀行融資をご検討される際には、しっかりと事業計画書を作成したり、融資を受けたいタイミングを考えるなどの事前準備をするようにしてください。 関連記事:銀行から創業融資を受けられる?創業融資が可能な金融機関を紹介 ビジネスローン ビジネスローンとは、法人や個人事業主に融資をすることを目的としたローンのことです。金融機関だけでなく、消費者金融やクレジットカード会社など様々な企業で取り扱っています。 審査がやさしいことや、入金までの期間が短いことが大きな特徴として挙げられます。審査の基準としては機関によって異なりますが、一般的には「2年以上の実績がある」または「2期分の決算書がある」と考えられています。しかし、ほとんどの場合、審査基準を公開していないため、上記の基準を満たさなければビジネスローンを組めないというわけでもありません。 入金までの期間として、最短で即日入金されるというケースも多く、事業資金の融資をすぐに受けたいという企業にとってはとても魅力的なローンです。 しかし、注意しておかなければならない点もいくつかあります。 それは、受けられる融資額が少額なこと、金利が他の資金調達の方法と比べ高いことです。ビジネスローンの融資限度額としての目安は数十万円〜1,000万円程度です。また、金利については幅広く、低いところであれば1〜5%程度ですが、基本的には10〜18%と高めに設定されています。 ビジネスローンでは、素早く融資を受けることができる反面、金利が高いことや少額の融資になるケースも多いため、現在の状況や希望融資額などをしっかりと把握した上でご検討することが重要です。 ファクタリング ファクタリングとは、企業が保有している売掛金(売掛債権)など未回収の債権を売却することです。ファクタリング会社に手数料を支払って未回収の債権を売却し、現金化できます。 ファクタリングは、これまでに解説したような融資を受けるというものではないため、返済の必要性がないことが大きな特徴です。また、ファクタリングを利用する企業の実績や、財務状況よりも売掛先の企業の信用性が高いことが重要視されることも特徴の一つです。 ただし、ファクタリングを利用する場合、手数料がかかります。手数料については、ファクタリング会社によっても異なりますが、一般的には2〜15%です。 担保が不要になることや短時間で現金化しやすいこと、融資ではないため返済が不要なことなど、企業にとって利用しやすいのが特徴です。しかし、本来受け取ることができる売掛債権から手数料を引かかれてしまうことや、利用するファクタリング会社によっては高額な手数料が発生する場合もありますので、日本政策金融公庫や制度融資などの融資を受けることができない時や、すぐに資金が必要な時に検討されるのが良いでしょう。 クラウドファンディング クラウドファンディングとは、企業経営の趣旨や考え方に賛同してくれる不特定多数の人からインターネットなどを通じて、資金を集めることです。「Crowd(群衆)」と「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語です。 クラウドファンディングには大きく分けて3つのパターンが存在しており、「購入型」「寄付型」「融資型」が存在します。 購入型クラウドファンディングは、事業やプロジェクトに対して賛同する支援者がお金を支援し、支援者は返礼品を受け取るというものです。返礼品の中には、まだ世の中に普及していない製品や、限定の製品がある場合も多いため、支援者は十分なリターンを受けることができます。 寄付型クラウドファンディングは、購入型クラウドファンディング同様、事業やプロジェクトに対して賛同する支援者がお金を支援します。ただし、返礼品がなくお礼としての手紙やはがきを受け取ることが多いです。返礼品がない代わりに支援金額によっては、寄付金控除が受けられる可能性があります。 融資型クラウドファンディングは、事業に対して資産運用を考えている個人投資家から資金を集め、企業に融資するというものです。言葉の通り、融資をすることになるので利息が発生し、支援者はそれを受け取ることができます。 このように、クラウドファンディングの中にも色々な方法があるため、事業内容や事業計画に適切な方法を選択することが重要になるでしょう。 自己資金 自己資金とは、言葉の通り企業が保有している資金のことです。預金や、有価証券などが含まれます。使途が問われず自由に使うことができ、利息や手数料なども発生しないため、最も理想的な資金調達の手段です。 自己資金を多く準備しておくことで、有事の際にスムーズな対応ができることや、自己資金の金額によって融資を受けられる可能性も高まりますので、なるべく多くの自己資金を準備しておくと良いでしょう。 また、自己資金とは異なりますが、資産の売却などによって資金調達をする方法もあります。不良資産や遊休資産がある場合、それらを売却することで一時的な資金繰りの改善ができたり、コストの軽減につながることもあります。ただし、希望の金額での売却ができない可能性や、売却までに時間がかかる場合もありますので注意が必要です。 自己資金や資産の売却についても事業の内容や状況をもとに、しっかりと検討してください。 関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる?注意点を解説 資金調達の流れを理解しよう 資金調達をするにも、手続きや準備が必要になる場合がほとんどです。本記事では、中小企業で最も利用されている融資の流れについて解説します。 融資での資金調達をする時には、一般的には以下のような流れです。また、ここでの融資には日本政策金融公庫、制度融資、銀行融資が含まれます。 ①相談、申し込み まずは、融資を受けたい機関(日本政策金融公庫や銀行など)の窓口にて、融資の相談を行います。相談の際には、事業計画書や決算書をもとに、具体的な融資についての内容を相談します。相談後、融資を申し込むということであれば、申請書の提出などを行います。申請書には、融資の目的や用途、返済計画、担保についてなどの情報が必要です。また、機関によっては、事業計画書や財務諸表などの提出が必要な場合があります。 ②審査 提出した申請書を元に融資先の機関が審査します。審査の基準は企業の信用性や返済能力、担保の有無など機関によって様々です。融資先の機関によって異なりますが、審査の結果がでるまでに、2〜4週間程度かかります。審査が通れば、借用証書などが送られてきます。また、融資先の機関によっては、面談などが実施される場合もあります。 ③契約締結 融資条件などが合意されると、実際に融資の契約を締結します。その際には必要書類なども準備をしたうえで契約を進めます。契約書には、融資の詳しい条件や、融資金額、返済スケジュールなどが明記されています。 ④資金の受け取り 契約が問題なく締結されると、融資先の機関から企業の指定口座に資金の入金が行われます。最短で融資先に契約書が届いてから3営業日程度です。ただし、契約をするために必要書類や入金の準備などある程度の時間が必要ですので、1週間程度は見ておくべきです。 関連記事:日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の流れをプロセスごとに解説 資金調達時の注意点とは? ここまでは、さまざまな資金調達の方法や特徴について解説しました。では、実際に利用する際にはどのような注意点があるのでしょうか。 下記に資金調達時の注意点をまとめましたので見ていきましょう。 事業の許認可を受ける 事業内容によっては、事業の許認可を受ける必要があります。これは、事業を行う上で法的な義務を果たすために必要な手続きです。そのため、事業の許認可を受けずに申し込みをした場合、融資先の審査時に問題があると判断されてしまい、融資を受けられない場合があります。許認可が受けられるタイミングや融資の申し込みをするタイミングなどをしっかり考えておきましょう。 また、機関によっては、融資を受け始めた後から許認可を取得することが可能な場合もあります。ですが、融資を受ける前に許認可を取得しておくことで、融資先からの信用につながる場合や、必要な手続きに追われるリスクの回避につながることもありますので、可能であれば早めに許認可を取得しておきましょう。 中小機構|許認可が必要な業種 補助金を利用する前に資金を用意する 事業を行う上で、補助金を利用するというのも一つの手段ではあります。補助金の場合、返済が不要なことや審査を通った上で受給できるため、社会的な信用があがることなど、メリットの多い手段です。ただし、補助金の場合、先に必要な資金は企業で支払わなければなりません。そのため、事業で支払う費用がなければ補助金の対象から外れ、受給できません。 つまり、まずは前述したような資金調達を行ってから補助金を活用しなければなりません。 現在の状況に合った手段を選択する 資金調達の方法はさまざまあり、それに伴いメリットやデメリットも考えられます。そのため、現在の事業の状況にあった資金調達の方法を選択し、利用することが何より重要です。 例えば、事業が立ち上がったばかりであれば、日本政策金融公庫の創業融資がお勧めです。銀行融資などを選択する場合、実績や担保が少ないことから、審査が通りづらく融資を受けられない可能性もあります。しかし、日本政策金融公庫の創業融資であれば、中小企業や個人事業主の資金調達の支援をメインに行っているため、比較的審査が通りやすくなっています。また、創業融資は無担保で申し込めるものもありますので、事業を立ち上げたばかりであれば、とても魅力的な方法です。 自社の状況をきちんと把握した上で、適切な資金調達の方法を選びましょう。 最適な資金調達を選択しよう 本記事では、経営者の方に向け、中小企業にとっての資金調達の方法や流れ、注意点について紹介しました。 事業を始める時、運転資金の確保など、資金調達はほとんどの企業が直面する課題です。その際に資金調達の方法やタイミングを間違えると事業に失敗する可能性も出てきます。特に中小企業や個人事業主であれば、資金調達の難易度が上がるため、顧問税理士など信頼できる専門家に相談しながら検討すると良いでしょう。 税理士法人プロゲートでは、資金調達のプロとして創業融資を中心に200件以上の支援実績がございます。また、当社は着手金なしの完全成功報酬です。資金調達に不安を感じている方や何から始めてよいのか分からない方など、お気軽にご相談ください。下記、お問い合わせフォームよりお待ちしております。


雑費
会計関連

勘定科目の雑費とは?経費にできる金額や注意点などを解説!

勘定科目のひとつである「雑費」とは、ほかの勘定科目にどれも該当しない経費のことを言います。はっきりとした定義のない「雑費」ですが、「とりあえず雑費として計上しておこう」という判断は非常に危険なので注意しましょう。 自分で記帳業務を行っている経営者の方は、なんとなく「雑費」に仕訳をしている方は意外に多いように思います。 本記事では、会計業務を自分で行っている経営者の方に向け、勘定科目の「雑費」について詳しく解説していきます。 具体例なども交えて記帳の方法を紹介していきますので、会計や経理業務、確定申告を行う方は是非参考にしてみてください。会計ソフトを利用されている方は、領収証などを自動で読み取って勘定科目を推測してくれますが、これも100%正確というわけではないので、知識として身につけておきましょう。 雑費=どの科目の対象ではない勘定科目  雑費とは、損益計算書の販売費および一般管理費(以下、販管費)に含まれている費用科目のひとつです。 一言に、販管費と言っても様々な科目が存在しますが、なかでも「雑費」は、「どの科目の対象ではない勘定科目」のことを言います。 他の費用と比較して少ない支出で、臨時的・一時的に発生し、わざわざ勘定科目として別途設定するまでもない場合に「雑費」として計上されることがあります。 雑費に当てはまる経費とは? 実際に「雑費」として計上される場合によく見かける項目は、以下のような内容が挙げられます。 ・キャンセル料等の手数料 ・一時的な機材等のレンタル費用 ・ごみの処分にかかった費用 ・事業所、オフィスなどの引っ越しにかかった費用 ・振込手数料 ・クレジットカードの年会費 ・掃除やクリーニング等の手数料 ・サービスの解約違約金(但し、少額に限る)など 上記のように、経営上の重要度や優先度が低く、少額で一時的な支出であれば、「雑費」として計上することができます。また、中には「雑費」以外の勘定科目で仕訳できる費用も存在するので、必要経費を何の目的で使用したのかをはっきりとさせるために適切な勘定科目を設定するようにしましょう。 これといった決まりがないので分かりにくいかもしれませんが、雑費以外の勘定科目で仕訳できる内容であればそちらで仕訳を行い、どれにも該当しないということであれば雑費で仕訳するようにすると良いかと思います。 「消耗品費」との違いは? また、雑費とよく似た勘定科目として「消耗品費」が挙げられます。では、消耗品費とはどのような勘定科目なのでしょうか。 消耗品費=日用品など消耗する物品を購入した場合の勘定科目 消耗品費とは、日常の業務や事業を行っていく場合に使用する物品を購入した際に計上する勘定科目のことを言います。 例えば、コピー用紙や文房具、切手など、使用することで消耗・消費してくような物品を購入した場合の費用は、「消耗品費」として計上されます。 具体的な条件として以下のどちらかに該当すれば、「消耗品費」として計上することが可能となります。 購入金額が10万円未満である 使用可能期間が1年未満である 国税庁|「帳簿の記帳のしかた」 一つ目の「購入金額が10万円未満」という条件は分かりやすい基準ですが、「使用可能期間が1年未満」という基準は判断が難しく感じる方もいるでしょう。例えば、仕事に使う洋服だと上記の条件を満たす場合もあるかもしれませんが、そもそも経費計上できるかどうか。という判断も必要なため、個別の内容については税理士など専門家に相談するようにしましょう。 「雑費」と「消耗品費」の使い分けはどのようにするのか? 「雑費」と「消耗品費」は、具体的な定義のない勘定科目です。事業主や経理担当者の判断で比較的自由に経費計上が可能である反面、「雑費」と「消耗品費」の線引きの判断に迷う方も少なくないでしょう。 「雑費」は、臨時的・一時的に発生した費用のうち、ほかの勘定科目にも該当がないものに適用されます。消耗品費との明確な違いは、以下が挙げられます。 使用することによって消耗してくものかどうか 頻繁に発生するのか、それとも臨時的に発生するのか 物なのかサービスなのか 以上のポイントをふまえて「雑費」と「消耗品費」を使い分けるようにしましょう。 「雑損失」との違いは? 「消耗品費」と同じように、「雑費」と似ている勘定科目に「雑損失」というものがあります。「雑損失」は、事業の売上とは直接関係のない「営業外費用」に区分される経費の中のでも、ごく少額のために勘定科目を設定するほど重要性がなく、発生頻度もほとんどないといえる支出に対して使われる勘定科目のことです。 「雑費」と「雑損失」を区別するポイントは、本来の事業の売り上げに関わる支出かどうかという点です。 ここで紹介した「雑損失」も日々の仕訳業務ではほとんど使わない項目なので「雑費」との違いを理解するようにしましょう。  「交際費」との違いは? 「雑費」と明確に線引きしておくべき勘定科目なのが「交際費」です。「交際費」とは、取引先との関係性を維持するためや、よりよい経営を実現するための交渉をする際に発生した経費のことを言います。 例えば、取引先との交渉の際に食事を伴った場合の飲食代は「交際費」として仕訳します。またその際、取引先へ物品の贈与をした場合にかかった代金は金額によってですが、「雑費」として仕訳される場合もあります。 雑費にできるのはいくらまで? 「雑費」として計上できる金額の上限ですが、特に定められていません。事業を行う上で必要な経費はいくら使っても問題はありません。しかし、「雑費」は実際にどのようなものに支払った費用なのか把握しづらい勘定科目です。決算書は、事業の状況を正確に判断するためのものなので、雑費が多すぎる決算書は「事業の状況がよく分からない企業」として判断され、税務調査を実施される恐れがあります。税務調査には実地調査に1~2日間かかるため、その間の事業がストップしてしまい売り上げにも影響を及ぼす可能性があります。 また、実地調査後も税務署が必要に応じて書類を持ち帰り、税務署内で引き続き調査を進められるので1~2か月ほどの調査対応をしなくてはなりません。 調査の結果、申告内容に誤りがあった場合、「不足分の税金+加算税+延滞税」を徴収されるので、事業活動に支障が出ること以外に追加納税という支出まで生じてしまいます。 では、「雑費」として計上して問題ない金額はいくらぐらいなのでしょうか?望むなら限りなく「0円」に近い方がいいのですが、一般的には、かかった経費の5%~10%程度が目安かと思います。 雑費が多くなってしまった場合 まずは「雑費」が多くなりすぎないような工夫をすることですが、どうしても多くなりそうなときは、新しく適切な勘定科目として仕訳しましょう。また、内訳をしっかりと把握できるよう、摘要欄に「何にかかった費用」なのかを記載しておくことも重要です。 雑費として計上するときの注意点 「雑費」として用いる場合、ほかのどの勘定科目にも当てはまらない費用を仕訳けするときです。勘定科目に迷ってしまったときに「わからないからとりあえず雑費にしておこう」と安易に計上してしまっている方も多いかと思いますが、それは得策とは言えません。「雑費」を計上する際は注意しなければならないことがいくつかあるので以下でご紹介します。 ①他の勘定科目として計上できないか検討する 【雑費に当てはまる経費とは?】という部分でご紹介した、「雑費」によく使われている項目は、実は他の勘定科目として設定することが可能です。では、実際にどのような勘定科目で計上できるのかを一覧で解説していきますので、雑費が多くなってしまった場合は参考にしてみてください。 キャンセル料などの手数料 会議室を利用するために予約を取っていたが、どうしても都合が悪くなり急遽日程を変更しなければならなくなった際、キャンセル料が発生してしまいます。その時に発生してしまったキャンセル料は、「支払手数料」として処理することが可能です。 一時的な機材などのレンタル費用 事業運営の際に必要な機器や機材などの一時的なレンタル費用は、「賃借料」という勘定科目で仕訳することが可能です。会議などで会議室やレンタルオフィスを利用し発生した費用については、「会議費」として仕訳することが可能です。 ごみの処分にかかった費用 事業を進める際に発生したごみの処分にかかる費用は、「雑費」のほか「支払手数料」や「設備維持費」と言った勘定科目を設定できます。設備のメンテナンスの際に不用品を処分した際は「設備維持費」、自治体が発行するごみ処理券を購入した時は「支払手数料」と言うように計上することができます。 事業所、オフィスなどの引っ越しにかかった費用 事務所やオフィスを移転する際に発生する費用は「荷造運賃」でも処理が可能です。また、従業員が転勤を伴う引っ越し費用を会社で負担する場合、「福利厚生費」で処理をすることが可能です。 振込手数料 銀行での振り込みをした際に発生する振込手数料や代引き手数料は「雑費」以外にも勘定科目の「支払手数料」という項目で仕訳することができます。そのほかに、税理士などの報酬費用も「支払手数料」として処理をすることができます。 クレジットカードの年会費 法人用のクレジットカードの年会費も「支払手数料」や「諸会費」として処理することができます。クレジットカードの年会費以外にも、商工会議所や自治会、各業界の組合など、業務に関連する団体への会費も「諸会費」で仕訳することが可能です。 ②摘要欄に詳細を記載し、わかりやすくする 仕訳の際、帳簿の摘要欄に何のための費用として支出があったのかの詳細を記載することで、帳簿を分かりやすい状態にしておきましょう。摘要欄とは、伝票や各種帳簿にあるメモ欄のような役割となる部分です。 ボールペンを購入した場合、「文房具代として」だけ記載するのではなく、購入店舗や本数、購入するにあたっての目的など具体的に記載することで、ほかに購入したものとの区別がつきやすいというメリットがあります。 ③消費税区分をひとくくりにしない 「雑費」として支出の計上をする場合、消費税区分を間違えることの無いように注意することが重要です。取引には、消費税がかかる「課税取引」、消費税のかからない、または免除される「不課税取引「非課税取引」「免税取引」の3つがあります。「雑費」で計上するほとんどは「課税取引」に分類されますが、「不課税取引」や「非課税取引」に分類されるものも存在しているので注意しましょう。 「非課税取引」の例は、クレジットカードの分割払い時に発生する金利手数料や決済手数料などが挙げられます。 ④固定資産は雑費として計上ができない 固定資産は「雑費」として計上することができません。固定資産に当てはまる条件は以下の通りです。 1つあたりの購入金額が10万円以上である 使用可能期間が1年以上である 長期にわたり事業に使うものを固定資産と言います。一時的に発生した費用や、年会費などの雑費とは性質が全く異なる勘定科目となります。 固定資産の勘定科目は「減価償却費」として仕訳することができます。個人事業主や中小企業であれば、2026年3月31日までに取得の30万円未満の減価償却資産は、1事業年あたり300万円までは全額を経費計上が可能です。計上可能な金額に限度額が設けられているため、注意しておきましょう。 雑費の仕訳例をケースごとに紹介 「雑費」の仕訳をするうえで、実際の具体例を紹介したいと思います。以下の例を仕訳する際の参考にしてみましょう。 ボールペンを100本購入した場合 取引先への粗品としてボールペンを100本購入し10,000円を支払った場合、本来文房具は「消耗品費」として仕訳されますが、今回のケースだと「雑費」として処理します。 借方 貸方 雑費 10,000円 現金 10,000円 摘要:粗品用ボールペン代(〇〇文房具店) 事務所の移転で引っ越しをした場合 事務所やオフィスを移転する際、引っ越しで発生する費用は、「雑費」として仕訳されます。 借方 貸方 雑費 500,000円 現金 500,000円 摘要:引っ越し費用(〇〇引っ越しセンター) 機材のレンタル費用をクレジットカードで支払った場合 一時的な機材のレンタル費用を、今回は「雑費」として仕訳します。 クレジットカードで支払いをした場合の仕訳ですが、「決済時」と「引き落とし時」の2回に分けて記載する必要があります。決済時は「未払金」、引き落とし時は「普通預金」と記載しましょう。 [決済時] 借方 貸方 雑費 30,000円 未払金 30,000円 摘要:機材レンタル代(〇〇商会)、クレジットカード決済 [引き落とし時] 借方 貸方 雑費 30,000円 普通預金 30,000円 摘要:機材レンタル代(〇〇商会)、クレジットカード引き落とし 経理・記帳代行はお任せください 本記事で紹介した「雑費」のメリットは、どこにも分類しない費用を計上する上で便利な勘定科目だということです。一方で、雑費が多くなりすぎると何に使用したかわからなくなったり、税務調査の対象になってしまう可能性があったりとデメリットも存在します。雑費の詳細を正確に記載し、帳簿の内容をしっかりと把握しておくことが重要です。 当社では経理・記帳代行も行っております。中小企業や個人事業主の方で、簿記や会計作業にお困りの方はお気軽にご相談ください。税の専門家として決算対策はもちろん、税務全般にわたりお客様に合った適切なアドバイスをいたします。 関連記事:青色申告の個人事業主がパソコンを経費計上する場合の勘定科目や仕訳例を解説 関連記事:経費はレシートでもいい?領収書との違いや活用するメリットなどを解説 関連記事:経費計上のタイミングはいつがベスト?考え方を解説


リスト
会社設立

【必見】起業の準備でやること12選!リスト化して紹介

従業員として雇われるのではなく、自分で会社を起業したいという方が増えてきています。 しかし、「起業したいけどなにをしたらいいの?」と考えている方も多いでしょう。 この記事では、 ・起業準備でやることをリスト化する理由 ・起業するまでの流れ ・起業に必要なやることリスト12選 ・起業や独立に必ず必要なものは? ・よくある質問 を紹介します。 この記事を読んで、「起業までのやることを明確にしたい」「起業までの不安を解消したい」と思われる方の参考になればと思いますので、ぜひ最後までお読みください。 起業準備でやることをリスト化する 起業準備をするときにやることをリスト化することは必要です。なぜなら起業は準備の段階が非常に重要になるからです。起業するには資金を調達する以外にも、事業計画を作成したりさまざまな書類を作成したりしなければならないため、思いつきでできるものではありません。 起業準備のやることリストを作ることで、やらなければいけないことを整理できて重要なことを見逃すことも少なくなります。これをしてみたいという思いは大事ですが、まずは起業準備をする上でやることをリスト化して、コツコツとこなしていくことが重要です。 5STEP:起業するまでの流れは? 起業とは自分自身で新しい事業を立ち上げることです。株式会社や合同会社の設立の他にも個人事業主として事業を始めることも、起業に含まれます。ここでは、起業するまでの流れを解説します。 起業までの流れは次の通りです。 1.起業の目的や理由を考える 2.事業計画を立てる 3.起業形態を決めて、会社設立や開業の手続きを行う 4.資金計画を立て、資金を集める 5.事業開始の準備を行う 1.起業の目的や理由を考える まず、自分がなぜ起業したいのか、起業する目的や理由をしっかり考えておきましょう。単なる思い付きだけで起業すると、仕事のやり方やライフスタイルも今までとは大きく変わるため、モチベーションが長続きしない可能性があります。 例えば、起業することが自分にとってどんなメリットがあるかを考えてみましょう。「自分の好きな分野、得意分野で仕事ができる」「自分の判断で事業を進められる」など、起業にはさまざまなメリットがありますが、自分の好きな分野や得意分野でなくても起業している方は多く存在します。 起業することで、誰の役に立てるのかを具体的に考えてみることが大切です。 また、自分自身が納得できる起業の目的や理由があるかも考えましょう。起業する理由は人それぞれであり、必ず必要な理由や目的はありません。自分自身が納得し、意思を固めることができれば、実行するのみです。他人の意見や状況に流されることなく、「なぜ起業したのか」を自分の中で明確化して確認しておくことが、起業への第一歩といえるでしょう。 2.事業計画を立てる まず、どのような事業でどうやって収益を上げていくかを具体的にまとめた事業計画を立てます。開業する事業内容を具体化するときには、扱う商品やサービスの他に、価格の設定や販売するターゲット層、販売の仕方や集客方法なども考えておきます。 また、自分の提供する商品やサービスを顧客に選んでもらえるように市場や競合他社を分析し、差別化を図ることを意識してみましょう。起業アイデアがまとまったら、資金調達や営業開始後の目標確認に使用する事業計画書を書いていきます。 事業計画書を作成する理由としては、自分が計画した事業の内容や経営方針、財務計画、業績予測などを簡潔にまとめ、事業を成功させるためです。説得力がある事業計画書は、事業に対する理解やイメージが固まります。 そのため、金融機関から融資を受けやすくなります。 3. 起業形態を決めて、会社設立や開業の手続きを行う 現在の日本で設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類あります。設立する会社形態を決めてから、それぞれに必要な手続きを行いましょう。 会社設立の手続きは必要書類の作成や申請、認証などに意外と時間がかかります。希望する起業時期からスケジュールを逆算し、余裕を持って計画を立てることが大切です。会社を設立する場合、起業資金とは別に設立手続きのための費用がかかります。株式会社か合同会社かによっても設立費用は異なるため、会社形態に合った設立費用をチェックしておきましょう。 起業する際に、個人事業主から始める方もいます。法人と個人事業主の違いの1つは、課税される税金の種類です。税金の種類が違うことにより、同じ利益でも納める税金の額が変わってきます。 会社を設立するにはさまざまな手続きが必要ですが、個人事業主として開業する場合は、開業から1か月以内に税務署や地方自治体に開業届、その他一定の期限内に青色申告承認申請書などを提出すればおおむねの手続きは完了します。 そのため、手続きが少ない個人事業主から始める方も多いです。 4. 資金計画を立て、資金を集める 起業形態が固まったら、起業するための資金を確保しましょう。起業資金を考えるうえでは、自分が始めようとしているビジネスにどれくらいのコストがかかるのかを把握しておくことが重要です。起業に必要な資金は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つあります。 設備資金とは、機械や事業用の車両購入費用、ホームページ制作費用、店舗・工場・事務所の内外装工事や増改築費用など、事業に必要な設備を購入するための資金のことです。運転資金は、家賃や光熱費、仕入れ代金など、会社が事業を続けていくうえで必要となる資金のことです。設備資金と運転資金を分けて考えることで、継続的に必要な費用を割り出せます。 起業したばかりのころは安定した売上があるとは限りません。 事業の内容や規模によって異なりますが、一般的には運転資金の3か月分程度は確保しておいた方がよいといわれています。 また、起業する際には、事業に使える自己資金を確保してからスタートさせましょう。資金計画どおりに軌道に乗らなかった場合に備え、自己資金に加えて、日本政策金融公庫の創業融資制度などを利用して外部から資金調達をしておくと安心です。 外部から資金を調達した場合、方法によっては返済しなければならない可能性があります。 返済で経営が圧迫されないように、起業に必要な資金の3割以上は自己資金で準備しておくことが大切です。 関連記事:日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の流れをプロセスごとに解説 関連記事:起業家必見!日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の必要書類を紹介 5. 事業開始の準備を行う 会社設立・開業の手続きと資金の準備が完了したら、事業計画を実行に移していきましょう。会社の設立後はさまざまな事務処理が発生しますが、中でも重要なのが会計業務です。 業務を開始してから慌てることのないように、会社設立のタイミングで会計ソフトを導入しておくといいでしょう。ただし、会計や申告には税務の知識が不可欠となりますので、税理士や商工会議所などの支援機関に依頼し、そこで勧める会計ソフトを利用した方が良いでしょう。 起業に必要なやることリストを12選紹介 実際に起業に必要なことは次の12個です。 ・国民年金や国民健康保険に切り替える ・開業届を提出する ・許認可申請を行う ・資金調達をする ・銀行口座を開設する ・Webサイトや名刺などを準備する ・就業規則を確認する ・利用できる補助金や助成金がないかチェックする ・インボイス制度に対応する ・確定申告の準備を始めておく ・訴求する商品やサービスを明確化する ・会社員の場合、辞めるタイミングを考えておく 国民年金や国民健康保険に切り替える 会社員から個人事業主に変わる場合は、勤務先の社会保険から、国民年金と国民健康保険へ切り替える手続きが必要です。会社を退職した日から14日以内に、住所地の市町村役場で切り替え手続きを行いましょう。 会社に勤めながら副業をする場合は、社会保険の切り替え手続きは不要です。また健康保険については、退職後の翌日から2年間は会社員の時の健康保険に継続して加入できる健康保険任意継続制度を利用できます。 健康保険任意継続制度を利用すれば、会社が負担していた保険料を自分で納めることになりますが、扶養家族がいる場合は世帯全体での健康保険料を国民健康保険よりも抑えられる可能性があります。 開業届を提出する 個人事業主として開業するには、納税地を所轄する税務署に開業届を提出する必要があります。開業届の提出期限は、事業開始日から1か月以内です。提出方法は税務署の窓口、郵送、e-Taxの3つになります。 また開業届を提出する時に、一緒に考えておきたいのが確定申告の方法です。個人事業主の確定申告は大きく分けて白色申告と青色申告の2つが選択できます。青色申告をする場合には、事前に青色申告承認申請書を提出しましょう。 提出先は税務署なので、開業届を提出するタイミングで一緒に青色申告承認申請書を提出すると一度で済みます。なお、何も申請していない場合には、白色申告として扱われるので注意が必要です。 青色申告は、白色申告と比べて帳簿や申告の要件が厳しくなりますが、青色申告では税制上の様々な特典を受けられます。白色申告よりも手間はかかりますが、節税のメリットが大きい青色申告がおすすめです。 開業する時に、開業の形態によっては開業届以外の届け出も必要です。例えば、家族に給与を支払う時の「青色事業専従者給与に関する届出書」のほか、給与支払いをする事務所を開設した場合の「給与支払事務所等の開設届出書」などがあります。従業員を雇うことで、書類や手続きも変わるので事前に準備しておきましょう。 その他、地方自治体にも事業開始等届出書の提出が必要となりますし、従業員を雇用する場合には労働基準監督署や公共職業安定所への提出書類も必要となる場合があります。 関連記事:フリーランスの開業届の書き方と提出方法とは? 許認可申請を行う 業種によっては、開業にあたって許認可申請が必要な場合があります。 許認可とは、特定の事業を行うために必要な手続きのことで、届出、登録、認可、許可、免許の5つの種類があり、手続き窓口は許認可の種類によって異なります。 例えば、飲食店を開業する場合は、保健所の営業許可が必要です。また、食品衛生責任者を施設ごとに1人設置する必要があり、食品衛生責任者になれる資格を取得するか、講習会に参加して資格を取得しなくてはなりません。 その他にも美容室は保健所への届出、旅行業は運輸局や都道府県庁への登録などが必要です。許認可が必要であるにもかかわらず、申請せずに事業を行うと罰則を受ける場合があるので注意しましょう。 資金調達をする 個人事業主の開業準備には、資金調達も必要です。業種によって開業準備にかかる費用は異なるので、事業計画を立てる際にコストと売上を予測して、必要な資金を調達するようにしましょう。開業時に準備しておく資金の目安は、開業後すぐに事業が安定するとは限らないため、開業時の初期費用に加えて、運転資金3か月分です。 初期費用は店舗やオフィスの敷金・礼金、内装費などの設備資金、運転資金は毎月かかる家賃や水道光熱費、仕入れ代金、人件費などが該当します。創業時の資金調達先としては、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」をはじめ、国や地方自治体による補助金・助成金、クラウドファンディングなどがあります。 開業時は実績がないため、銀行での融資が受けづらいこともありますので、創業に特化した融資先を検討してみてください。 関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる?注意点を解説 関連記事:銀行から創業融資を受けられる?創業融資が可能な金融機関を紹介 銀行口座を開設する 開業する際は、プライベートの銀行口座とは別に、事業用の銀行口座を開設しておくとお金の管理がしやすくなります。銀行口座を区別しておけば、確定申告において、取引内容と金額を記載する仕訳作業の手間を少なくすることにもつながるでしょう。 また、個人事業主は、「〇〇美容室」や「〇〇商店」といった屋号を任意でつけられ、屋号付きの銀行口座を開設できます。屋号付きの銀行口座ならお金を管理しやすいだけでなく、取引先やお客様からも事業内容が伝わって信用を得やすくなるでしょう。 Webサイトや名刺などを準備する 開業して顧客開拓をしていくには、Webサイトやチラシ、名刺といった営業活動に必要なツールの準備をします。例えば、飲食業であれば地域の方に知ってもらうために開店イベントを行ったり、コンサルタントであれば実績を載せたパンフレットを作ったりすることが挙げられます。 また、友人や知人、元同僚、過去の取引先など、周りの方へ開業のお知らせを送付するのもひとつの方法です。開業したことを広く知らせることで、新たなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。 しかし1人で開業した場合は、営業活動の他、自分で顧客管理や会計管理なども行う必要があります。 営業活動や制作活動に時間を割くためには、顧客管理ツールや会計ソフトといった日々の管理作業をサポートしてくれるツールも開業時に準備しておくと良いでしょう。 就業規則を確認する 副業で個人事業主になろうと考える場合には、会社の就業規則をまず確認しましょう。就業規則を確認する理由は、会社によっては副業を禁止している場合もあるからです。個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営む人を指します。 中には、個人事業主になるには会社を辞めないといけないと考えている人もいるかもしれませんが会社員を続けながらでも個人事業主になれます。その場合は会社との話し合いが必要になるので、会社に黙って副業をスタートしてトラブルに発展させないように注意しましょう。 会社員が副業として個人事業主になることは、キャリアの選択肢を増やしてリスクマネジメントするにも有効な手段です。 また、副業をスタートすれば会社とは別の収入を得ることになりますが、副業の所得が20万円を超えた場合には、確定申告をしなければならないので注意しましょう。所得とは、売上から経費を差し引いたものを指します。反対に、所得が20万円以下であれば申告は不要ですが、所得税のみの話です。 市町村に支払う住民税は副業であっても所得に応じた住民税が課税されます。所得が20万円を超えて確定申告をする場合には、税務署から市町村に連絡がされるため、住民税の申告は不要です。 一方で、確定申告が不要になる所得20万円以下の場合には、別に市町村に対して所得を申告しなければいけません。会社員として勤めていると会社側が年末調整で手続きするため、確定申告や住民税の手続きについて意識する機会は少ないかもしれませんが、副業として個人事業主となった場合には、忘れずに手続きを行いましょう。 利用できる補助金や助成金がないかチェックする 開業するにあたって、多くの事業者にとって問題になるのが資金です。できるだけ資金を多く用意したいと思っていても、開業したては融資が受けにくく、資金繰りで苦労することもあるかもしれません。開業時に資金が必要な場合は、国や地方団体の補助金や助成金の制度をチェックしてみましょう。 補助金や助成金の情報は、インターネットで調べられるほか、商工会議所などでも案内されていることがあります。開業・創業向けの補助金や助成金もあるので、こまめに調べておきましょう。 インボイス制度に対応する 2023年10月1日導入開始のインボイス制度は、課税事業者か免税事業者かによって取るべき対応が異なります。課税事業者の場合は、適格請求書発行事業者登録申請書を管轄の税務署へ提出して登録完了すると、インボイスの発行ができます。 未登録で前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者になるため、申請手続きをしましょう。 免税事業者の場合は、適格請求書発行事業者の登録申請をして課税事業者にならないとインボイスを発行できません。取引先が仕入れ控除を受けられず、消費税が高くなってしまいます。 その結果消費税分の値引きを要求される可能性がありますが、課税事業者になると消費税を納税しなくてはなりません。メリットとデメリットを比較して、免税事業者のままにするか課税事業者になるか判断しましょう。 確定申告の準備を始めておく 会社員の多くは年末調整を行っているため、個人事業主となった時に確定申告を忘れてしまう人は多くいます。手続きが複雑な確定申告は手順に沿って作業を進めれば難しくありませんが、会計処理を怠ったままでいると、確定申告が近づいた時に作業が増えてしまいます。そのため、計画的に確定申告の準備を進めておきましょう。 個人事業主の会計期間は原則1月1日~12月31日で、確定申告は翌年の2月16日~3月15日に行います。つまり、会計は1月を期首として12月を決算月で記録しておき、翌年にまとめて確定申告の書類を用意して提出する流れです。 仕事の繁忙期と確定申告が重なる場合もあるので、事業の予定と合わせてどのように作業を進めていくかを考えておきましょう。 市場調査を行う 起業してどのような事業を始める場合でも、市場調査を行う必要があります。なぜなら、需要のない商品やサービスを提供しても売上は見込めないからです。市場調査では、「需要があるのか」「商品やサービスを求めている客層」「購入されやすい価格」などを調べます。 また、業界の流行などの最新情報の収集や競合調査も重要となるでしょう。市場調査の結果を踏まえて、どのような戦略で事業を展開していくかを検討します。 場合によっては、想定していた事業の方向性を大幅に修正しなければならないこともあるため、市場調査はしっかりと行いましょう。 訴求する商品やサービスを明確化する 起業の準備として、まず起業アイデアをまとめる必要があります。日頃から、さまざまなひらめきをメモしている人もいれば、やりたいことがあって「いつか起業しよう」とひとつのアイデアを温めている人もいるでしょう。 いずれにしても、それらのアイデアが事業として成り立つかどうかは実際にやってみないと分かりません。 具体的には「ターゲットとなる顧客の設定」「顧客にどのような価値を提供できるのか」「商品やサービスを提供する方法」の、3つのことを軸に起業アイデアをまとめて、事業コンセプトを作ります。 事業コンセプトは、事業計画を立てる際に必要になります。最初に事業コンセプトを明確にしておけば事業計画も立てやすく、準備もスムーズに進められるため、重要な作業です。 また起業や独立前には、訴求する商品やサービスを明確化することも大切です。訴求する商品やサービスを明確にしておけば、自社の強みを理解した上で、営業方法や人材採用などを進められます。 起業や独立後は、経営全体や売上を上げるための戦略を考えるのに時間がかかってしまいます。 経営を始めると、自社の商品やサービスを明確化するための時間を確保できない可能性が高いです。 また、訴求する商品やサービスを明確化しておけば、競合他社との差別化も図りやすくなるため、経営を成功させられる可能性が高まります。 会社員の場合、辞めるタイミングを考えておく 会社を辞めて起業しようと考えている方は、起業する前に会社を辞めるタイミングも考えておく必要があります。また会社を辞めるときにトラブルになると、のちの起業に影響がでる場合もあります。トラブルなく会社を辞めるためには、あらかじめ就業規則を確認しておくことが大切です。 特に「いつまでに退職の申し出をしなければならないのか」「退職金規定はどうなっているのか」「有給休暇についてはどうか」などについては必ず確認しておきましょう。 関連記事:副業しているサラリーマンの起業はあり?在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 起業や独立に必ず必要なものは? 起業や独立でやることを明確にしましたが、必要な書類やものがあります。 起業や独立に必ず必要なものは次の3つです。 ・開業届や法人設立届出書などの書類 ・名刺やホームページ ・クレジットカード 開業届や法人設立届出書などの書類 起業や独立に必ず必要なものは、開業届や法人設立届出書などの書類です。必要な提出書類を出し忘れてしまうと、メリットを受けられずに自分自身が損をしてしまうこともあるため注意しましょう。 個人事業主が必要な提出書類の中には、提出しなくても罰則を受けないものが多いです。 しかし、法人設立の場合には提出しないと「そもそも会社設立ができない」こともあるため注意しましょう。 名刺やホームページ 起業や独立に必ず必要なものとして、名刺やホームページが挙げられます。名刺やホームページは、起業や独立したのに作成しないからといって、特に罰則があるわけではありません。しかし、名刺やホームページがなければ、取引先や顧客などが自社について理解できないため仕事を獲得できない可能性があります。名刺やホームページが会社の顔となるため、作成しておきましょう。 また、名刺やホームページの作成にはお金がかかるため、XやInstagramなどのSNSやブログで情報を発信していくのも効果的です。SNSやブログで成果が出れば、広告塔としても使用できるため活用してみましょう。 クレジットカード クレジットカードは、起業や独立の前に必ず作成しておきましょう。起業や独立をすると、一定期間は収入が不安定となるため、正社員の時のようにクレジットカードの審査に通りづらくなってしまいます。クレジットカード以外にも、住宅ローン審査や賃貸契約などの審査が必要な手続きは、起業前に行なっておくことが大切です。法人の場合は法人カードを作成します。 個人事業主として独立した場合には、プライベートのクレジットカードを使用しても問題ありません。しかし、プライベートのクレジットカードを使用してしまうと、プライベートと仕事の支出が混ざってしまうため管理が手間になります。 起業の際によくある質問5つ! ここでは、起業するときによくある質問を5つ紹介します。 ・起業するには、何から始めればいい? ・会社設立に必要な手続きとは? ・準備の費用は経費になる? ・失業保険をもらいながら起業準備はできる? 起業するには、何から始めればいい? まず、自分がなぜ起業したいのか、その目的や理由をしっかり考えておくことが大切です。理由がなければ人はモチベーションを保てません。起業の目的や理由が定まったら事業計画を立て、自分が始めたいビジネスに合った起業方法を選択し、必要な手続きを進めましょう。そして起業するための資金を確保し、会社設立・開業の手続きと資金の準備が完了したら、事業計画を実行に移していくことになります。 会社設立には必要書類の作成や申請、認証などの手続きが必要となります。また、会社を設立する場合、起業資金とは別に設立手続きのための費用がかかります。株式会社か合同会社かによっても設立費用は異なるため、会社形態に合った設立費用をチェックして用意しておきましょう。 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 起業準備の費用は経費になる? 起業準備のための経費は開業費といって、収入から控除できます。開業費は、名刺作成費や会社案内作成費、開業までの事務所家賃などさまざまな経費が開業費に該当します。 開業前なので売り上げは立っていませんが、開業準備にあてる費用になるため、領収書は必ず取っておいて開業のための経費ということを証明できるようにしましょう。 失業保険をもらいながら起業準備はできる? 求職活動を行いながら起業準備をする場合は失業保険をもらえます。失業保険はこれから新しい就職先を見つけて働こうとしている人に対して支給されるものです。失業状態にあったり、雇用保険の被保険者期間が退職日以前2年間で12か月以上あることなど、さまざまな受給資格があります。求職活動をしない場合や起業準備が整って起業した場合は、失業保険はもらえません。 起業のお悩みは、プロゲートにお任せ! 今回は、起業準備でやることをリスト化する理由、起業するまでの流れなどをまとめました。起業をするのは一朝一夕ではできません。さまざまな状況に応じた方法を理解して、必要に応じて顧問税理士に相談しましょう。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に会社設立をサポートしております。これまでに200件以上の設立実績がありますので、会社設立に関連するお悩みがあればお気軽にご相談ください。経験豊富な税理士が、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。


役員交代
会社設立

合同会社の代表社員を変更したい!手続きと必要書類を解説

合同会社を設立した後、何らかの理由で設立当初の代表社員が辞任して、別の人を代表社員に変更するケースがあります。合同会社の代表社員が変更されるときには、いくつかのパターンが存在し、それぞれに必要な手続きが異なります。 結論からいえば代表社員の変更と併せて誰が代表社員となるかで手続きが異なるため、それぞれの違いを理解していくことで、スムーズに進めることができます。 そこで今回の記事では、合同会社の代表社員の変更になるパターンと変更時の方法と必要になる書類について解説していきます。 合同会社は小規模法人に適している? まずはじめに、合同会社の概要について解説していきましょう。 合同会社とは、会社法に基づいて設置可能な会社形態の一つです。会社の代表例としては株式会社が挙げられますが、合同会社は株式会社と比べると経営の自由度が高いため、小規模な法人の経営を行う場合に適していると考えられています。ですが実際には、後述するように外資系の大手企業は合同会社の形態でビジネスを展開しています。 その理由は、アメリカの会社形態である「LLC(有限責任会社)」を参考にしており、2006年の会社法施行によって合同会社が設けられたからです。 アメリカの制度を参考にしていることから、特にアメリカに本社を持つ会社の日本法人は大手企業であっても合同会社を採用しており、大手インターネット広告会社や大手インターネットショッピング会社などが合同会社の形態でビジネスを行っています。 合同会社のもう一つの特徴として、株式会社が出資者と経営者が異なるケースがある一方で、合同会社は出資者と経営者が同一であるということが挙げられます。合同会社は株式会社のように株式を一定数保有すれば経営に参画できるわけではなく、原則として社員全員が業務執行権(株式会社の役員のような役割)や代表権を持つことが可能です。このように、合同会社は株式会社とは異なる形態であり、その企業運営は独特であるということを理解しておく必要があります。 合同会社の代表社員とは ここでは合同会社における「社員」と「代表社員」の存在について説明していきます。 合同会社における社員について 合同会社における社員は、多くの人がイメージする従業員としての「社員」ではありません。合同会社においては、その会社に出資して持分を取得した人のことを「社員」といいます。 定款の規定で業務執行社員を定めた場合には、定款で定められた役職の人が業務執行権を有することになります。 合同会社を代表して経営を行うのが代表社員 合同会社の代表社員は株式会社における代表取締役に相当する役職です。つまり、一般的な認識でいえば「社長」と理解していただいて構いません。 代表社員は合同会社における代表権を有しており、会社の経営を担うことができます。また、他の社員と同じように合同会社に対して出資しています。したがって、代表社員は労働者としては扱われないため、株式会社での役員と同じように労務管理の対象ではなく、労災保険や雇用保険といった労働者のための労働保険についても対象外です。 代表社員が選任された場合には、氏名と住所が登記簿に記載されます。株式会社と異なるのは、合同会社の業務執行社員はそれぞれ、会社を代表する権限を有するのが原則とされていることです。ですから、あえて代表社員を一人に定めないことも可能です。この場合には、それぞれの業務執行社員が会社を代表することになるのが大きな特徴といえるでしょう。 代表社員と代表取締役との違い 合同会社と株式会社の違いはいくつかありますが、株式会社は、所有と経営が分かれており、取締役会に所属する代表取締役や他の取締役は、会社の所有者である株主から経営を委任されている立場なので、代表取締役や取締役が会社に出資をしていないケースもあります。一方で、合同会社に社員として参画するためには、出資しなければ社員にはなれません。 合同会社における代表社員の変更について 合同会社の代表社員を変更する場合、退任する代表社員の辞任届や、新たに代表社員に就任する社員の就任承諾書を作成する必要があります。併せて、代表社員変更に関する定款変更や社員同意などの社内の手続きを経て代表社員が変更されます。また、変更後2週間以内に法務局で変更登記が必要となります。 社員は会社の所有者でもある 株式会社は会社の所有者である株主が、株主総会で取締役を選任し、取締役に会社の経営を委任するので、会社の所有と経営が分離されます。一方で、合同会社は会社の所有と経営が一体化します。合同会社の社員になろうとする場合には出資等により会社の持分を取得する必要がありますが、会社の持分を取得した社員は、同時に会社の業務を執行する権限を有するのが原則とされています。 合同会社の代表社員を変更する方法 合同会社で代表社員を変更する場合、大きく2つの方法があります。それぞれの方法について紹介していきます。 代表社員が退任し、他の業務執行社員が代表社員になる 手続きの面で最も簡易的に行える方法は、代表社員が退任し、他の業務執行社員が入れ替わりで代表社員に就任するケースです。この場合、代表社員の変更登記のみを行えば済むので、手続きとしては比較的シンプルです。元の代表社員は退任後は引き続き業務執行社員として業務に携わることになります。 代表社員の退任と同時に新たに入社した業務執行社員が代表社員に就任する 代表社員が退任するタイミングで外部から代表社員となる人材を採用した場合には、代表社員の退任に関する手続きと、社員の入社に関する手続き、そして代表社員の変更の手続きが必要です。このように、代表社員の代わりとなる人材が社内にいるのか、それとも外部から招くのかで手続きが異なる点に注意しておきましょう。 合同会社の代表社員を変更する流れ ここでは、代表社員を変更する場合の手続きをプロセスごとに紹介していきましょう。 ①新たな代表社員を選定する まずはじめに、新たな代表社員を選定します。新たな代表社員を決めるときには全社員の同意を得るか、業務執行社員の互選によって決めるという2つの方法があります。どちらの方法を採用するかは、合同会社の定款によって決められます。外部から人材を採用して代表社員に就任してもらう場合には、その社員の入社手続きと変更登記が完了してから総会を開催する必要があります。 ②社員総会で定款変更を承認する 新たな代表社員が決定したら、選定の次は定款の変更を行います。定款とは、会社のルールを定める書類のことです。定款は会社の形態に関わらず設立時に必ず作成する書類ですので 設立前の段階で定款をしっかり作っておけば、会社設立後に社員同士のトラブルが起きにくくなるなど、組織として統率が取りやすくなるでしょう。 定款を変更する場合には、どの部分を変更するのかを明示した定款変更案を作成し、社員総会での審議可決が必要です。 ③代表社員の変更に必要な書類を揃える 代表社員を変更する場合に必要な書類は7種類です。以下の書類を作成し、法務局に提出するため、事前に内容を確認して間違いのないように準備しましょう。 合同会社変更登記申請書 全社員の同意書もしくは業務執行社員の互選書 就任承諾書 定款 印鑑届書 新代表社員の印鑑証明書 退社の事実を証する書類 ④変更登記を行う 定款を変更してから2週間以内に法務局にて変更登記を行います。変更登記の際は、先ほどご紹介した書類と、社員総会で定款変更が承認されたことを証明する議事録の提出、登録免許税(印紙代)の支払いが必要になります。 変更登記を行わないと法的には代表社員が変更されたとは認められず、銀行口座や賃貸している不動産の名義変更等の手続きが行えないなど、様々なトラブルの原因になります。定款の変更が終わったら、忘れてしまわないように早急に変更登記を行いましょう。 登記申請にかかる費用 登記申請に必要となる費用として、登録免許税が挙げられます。合同会社の代表社員を変更する場合の登録免許税額は、申請1件につき1万円で、資本金が1億円を超える合同会社は3万円とされています。また、登記申請の手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士に対して支払う報酬も必要になります。 登記変更のご相談はお任せください 今回は、合同会社の代表社員を変更する際の合同会社の手続きについてまとめました。 代表社員を変更する際には、退任する代表社員の辞任届と新代表社員の就任承諾書が必要になります。その上で、代表社員変更に伴う定款変更や社員総会での承認など、社内手続きを経た後、法務局で変更登記を行う必要があります。 代表社員を変更する場合は現職の代表社員が退任し、すでに社員として活動している業務執行社員が代表に就任する場合と、代表が退任すると同時に新規入社者が代表に就任する場合の2パターンがあります。 代表社員の変更登記には様々なプロセスと手続き、書類作成が必要となり、どこかのプロセスを間違えて進めると変更登記は完了しません。ですから、 司法書士などの専門家に依頼し、確実に変更登記を完了させる必要があります。 税理士法人プロゲートでは、司法書士とも提携しておりますので合同会社の代表社員の変更にも対応しております。下記よりメールにてお気軽にご相談ください。 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説