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中小企業倒産防止共済とは?(前編)
今回は中小企業倒産防止共済、通称、経営セーフティ共済についてお伝えしていきます。

Contents
中小企業倒産防止共済とは?
まず、この中小企業倒産防止共済とは、経営に対しての保険のような位置付けのものとなります。具体的には取引先が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度となります。掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れをすることが可能です。この掛金は月5,000円〜20万円まで選ぶことができ、累計で最大800万円までとなります。掛金は申告上は経費として計上することができます。
ただ、設立1期目は入ることができません。また、個人事業主の加入は可能ですが、医療法人やNPO法人、農事組合法人なども加入することができません。
掛け方としては毎月支払っていくか、前納という方法、つまり1年分を前払いすることも可能です。そのため、利益がでている場合は、年度末に1年間分前払いする方法がとられるケースもあります。
中小企業倒産防止共済のメリット
メリットとしては、何かあった時の保障のため、掛金の10倍の額を借入をすることができることです。
また、金利は0.9%となります。
借入は売り先が倒産してお金が回収できなくなった場合などに行うことができます。
中小企業倒産防止共済は節税にはならない?
中小企業倒産防止共済は、加入をして掛金を払って解約した場合、40ヶ月以上掛けていれば、その掛金はそのまま戻ってきます。そこから再加入もすぐにすることが可能です。
この中小企業倒産防止共済は節税という形で耳にすることがあるかもしれませんが、個人的にはあまりそのようには思っていません。なぜなら、解約した場合にその掛金が利益となるためです。支払う時は経費となりますが、解約時に利益となるため節税とはなりません。
また、倒産防止共済は、前述したように40ヶ月以上掛金を掛けていれば全額戻ってくることから、一時的に損金を出せるものとして活用し、40ヶ月経ったらすぐに解約するという使い方がよくされていました。ただこのような使われ方をしてしまうと、必要な資金を貸し付けるという業務で、保険料が安定せずそのような保障業務ができるか分からなくなってくるということで、改正が行われました。
今回の制度の改正点としては令和6年10月1日以降に解約して再度加入する場合は、解約から2年経過するまでは損金・必要経費算入ができないという点です。つまり解約をしてすぐ加入をして掛金を払ったとしても経費にすることはできません。
解約するタイミングは選ぶことができる?
この中小企業倒産防止共済を解約するタイミングは選ぶことができます。そのため、何か投資が必要なタイミングに解約することもできます。
ただ、40ヶ月掛けていないと解約時に全額戻ってこず、もし1年未満の場合は1円も戻ってこないので注意しましょう。1年後に80%戻り、その後は掛けている期間に応じて戻る率が上がり40ヶ月で100%となります。
詳しく知りたい方はご相談ください
今回は中小企業倒産防止共済について解説いたしました。
今回の制度改正は、本来の使い方ではないというところからなされたので、少なくとも節税のためにやるものではないというイメージは持っておいた方が良いでしょう。
事業者によって、入っておいた方がもしもの時に困らない、備える必要がある場合があるかと思います。
もっと詳しく知りたいという方は是非お気軽にご相談ください。

関連記事:中小企業倒産防止共済とは?(後編)
投稿日: 2025年6月5日 10:57 am
更新日: 2025年6月9日 11:27 am