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中小企業倒産防止共済とは?(後編)

中小企業倒産防止共済(後編)

前回は中小企業倒産防止共済の概要とメリットなどについて解説しました。

今回はこの中小企業倒産防止共済の注意点と計上する際の裏ワザについてお伝えしていきます。

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中小企業倒産防止共済の注意点

チェック掛けた期間によって返戻率が変わる

中小企業倒産防止共済の注意点の一つ目は掛けた期間によって、戻ってくる金額が変わってしまうという点です。

中小企業倒産防止共済の契約を解約した場合の返戻率は以下の通りとなります。(12ヶ月未満での解約は掛け捨てとなります。)

掛金納付月数任意解約みなし解約※1機構解約※2
1ヶ月〜11ヶ月0%0%0%
12ヶ月〜23ヶ月80%85%75%
24ヶ月〜29ヶ月85%90%80%
30ヶ月〜35ヶ月90%95%85%
36ヶ月〜39ヶ月95%100%90%
40ヶ月以上100%100%95%
※1 会社の解散や個人事業主が亡くなった場合
※2 滞納や不正が発覚したことにより共済側から解約した場合

掛けてから1年経たずに解約してしまうと掛金は戻ってきません。1年以上からは期間に応じて返戻率のパーセンテージが上がっていき、40ヶ月で100%となります。

もし、掛金を前納(前払い)している場合は前納金を充当する月がきてはじめて掛金として扱われます。例えば令和7年の12月に1年分を前納した場合、令和8年の12月に12ヶ月分掛けたという数え方となります。そのため、掛金の納付月数をきちんと把握しておくようにしましょう。

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チェック手続きに時間がかかることがある

決算の月に入金するなどのケースが多いですが、手続きに時間がかかることがあります。そのため、1年間の前払いをする場合は、可能であれば1ヶ月ほど前までに利益予想などを出して早めに掛金を支払えるようにしましょう。

チェック節税ではなく投資先として適切かを考える

前述しているように中小企業倒産防止共済は、40ヶ月経たないと100%戻ってくることはありません。掛金の額は月5,000円〜20万円と選ぶことができますが、例えば月20万円で掛け始め40ヶ月積み立てると相当な額になります。一度掛け始めるとその掛金をいわば拘束してしまうことになるわけです。

そうではなく、その金額で設備投資をしたり、人を雇ったりすることも可能です。そうすることで売上をあげる方がメリットになる可能性もあるため、節税をするというよりも事業計画に沿ってやるかどうか検討するべきでしょう。

計上する際の裏ワザとは?

この中小企業倒産防止共済は、経費として計上する方法と積立金として資産計上する方法があります。このどちらを選ぶかによって決算書の利益の金額が変わってきます。

経費処理して決算書を作ると、利益の金額がその分減ることになりますが、積立金として決算書の処理をすると、経費処理した場合と比べて決算書上利益が残ることになります。

資産(積立金)として計上して、経費にするには申告書で税金計算をする時に別で差し引くことになります。決算書の利益額の計算方法と税金の所得金額の計算方法は少し異なるところがあり、申告書で決算書の利益をもとに調整する形となります。つまり支払う税金は経費計上した場合と同じとなります。これを行うことで決算書上は黒字ですが支払う税金は掛金を経費として処理した場合と同じとなるため、決算書の見栄えがよくなるというメリットがあります。

そうすることで融資の際などに役立つことが考えられます。金融機関が融資をするための判定をするにあたって、例えば赤字だったため悪い方に振り分けられてしまうという可能性があります。その際に中小企業倒産防止共済を経費処理せずに資産として計上して、申告書の中で経費処理を行い税額計算するという方法をとることで、その部分をクリアできる可能性があると考えられます。

具体的に経費の勘定科目は保険料、積立金は保険積立金の勘定科目を選ぶ形となります。

税務関係のご相談お待ちしております

今回は中小企業倒産防止共済について注意点と計上する際の裏ワザについてお伝えしました。

中小企業倒産防止共済をするにあたって節税になるからするということではなくて、しっかりと事前に検討してから行うようにしましょう。どうお金を使っていくかということを考えることがとても大切です。

また、節税についてご相談したいという方は是非弊社までご連絡ください。

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投稿日: 2025年6月9日   11:26 am