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会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説

会社設立直後では、銀行や取引先からの信用を得るための判断材料の一つに資本金の額が挙げられます。当然、資本金が多い方が信用も得られ、融資が受けやすいからです。しかし、設立時に多額の資本金を用意することが難しい場合もあります。そのような場合には、資本金を多く見せるために「見せ金」と呼ばれる方法が使われることがありますが、これは絶対にやってはいけません。 今回の記事では「見せ金」がNGな理由やデメリットについてわかりやすく解説していきます。これから会社設立をされる方であれば知っておきべき内容です。 会社設立時の資本金「見せ金」は法律違反 会社設立時の資本金を装う「見せ金」は融資者や関係者を欺く犯罪です。まずは「見せ金」の概要について解説していきます。 「見せ金」とは金額を偽装すること 「見せ金」とは、会社設立時などに資本金を実際よりも多く見せるために行われる行為のことを指します。具体的には、自分で資本金を用意するのではなく、一時的に資金を借り入れる等して仮の資金を用意して、登記の際に記載する資本金の金額を偽装し、登記が済んだら借りたお金を返済する方法です。この行為は自社の資本金を大きく見せて信用を得るための悪質な方法として法律で禁止されており、信頼性や透明性を欠いた行動とされています。見せ金がバレると、金融機関や取引先からの信用を失うだけでなく、法的な罰則を受けたり、会社設立が無効とされるリスクがあります。 資本金の「見せ金」は違法 資本金の「見せ金」を行うと、以下の3つの法律に違反する場合があります。 1、公正証書原本不実記載等罪(刑法157条) 公正証書原本不実記載等罪は登記官などの公務員に対し虚偽の申し立てをして、登記簿や戸籍簿などの公正な証書の原本に不実な記載をさせるか、または公正な証書の原本として使用される電子記録に不実な記録をさせる罪です。見せ金は資本金の金額を不正に高く見せるので、公正証書原本不実記載等罪が成立します。公正証書原本不実記載等罪で起訴されると最大で5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。 2、特別背任罪(会社法960条) 特別背任罪は、取締役など株式会社において一定の権限を持つ者が自己または第三者の利益のため、または会社に損害を加えるために、会社の任務に違反する行為を行い、会社に財産上の損害を与えた場合に成立する罪です。見せ金は、発覚すると会社に大きな損害を与えるため、特別背任罪が成立します。特別背任罪で起訴されると「10年以下の懲役」「1,000万円以下の罰金」「懲役・罰金の両方」のいずれかに処されます。 3、預合いの罪(会社法第965条) 預合いの罪は、設立者と金融機関が共謀する罪で、資本金を払い込む金融機関からの融資を受け、借りた資金を資本金としてそのまま払込金融機関に資本金として使うことを禁止しています。これも見せ金の一種ですが、金融機関から融資を受け、その融資を資本金にする見せ金だけは「預合いの罪」として個別に刑罰が設定されています。預合いの罪で起訴されると、預合いを行った者、預合いを受けた者の両方が「5年以下の懲役」「500万円以下の罰金」「懲役・罰金の両方」に処されます。 資本金の「見せ金」が禁止されている理由 資本金の「見せ金」が禁止されている理由は、大きく2つにまとめることができます。 1つ目は、株式会社という制度の信頼が損なわれることです。資本金を偽装することで会社の実際の財務状況が隠され、取引先や投資家など関係者に対して誤った情報が提供される可能性があります。これにより信頼を失い、関係者との信頼関係が損なわれることがあります。 資本金の見せ金が横行すると、どの会社の資本金が正しいのかが分からなくなり、経済全体に混乱や不安を引き起こす可能性があります。正確な財務情報が提供されない場合、市場の効率性や透明性が損なわれ、経営者個人だけでなく経済全体に悪影響を及ぼすことがあるので厳しく禁止されています。 2つ目は法律で禁止されているからです。預合いの罪のように、行為そのものが法律で禁止されているため、取引や投資に関わるさまざまなリスクを引き起こす可能性があります。また、預け合い以外の見せ金も公正証書原本不実記載等罪、特別背任罪に問われます。 このように、資本金の「見せ金」は会社や経済に対する信頼を損なうだけでなく、法律違反や経済的リスクをもたらすため、絶対に行ってはいけません。 見せ金が発覚したらどうなる? 見せ金や預け合いなどの違法行為は、信頼性や信用を失うだけでなく、罪に問われる可能性があります。そこで見せ金が発覚したらどうなるかを説明します。 見せ金が発覚すると会社設立が無効になる 見せ金が発覚した場合、それに関与した者や会社自体が法的な責任を負う可能性があります。また、見せ金が発覚した場合、会社の信頼性や法的地位に影響が及び、会社設立が無効になる可能性もあります。先ほど紹介したように、株式会社の仕組みを根本から揺るがしかねないため、そもそも見せ金を行った法人は設立させない。という判断が下されます。 金融機関からの融資が困難になる 金融機関は信頼性や財務健全性を重視し、違法行為や不正行為に関与した企業に対しては融資を行わないことがあります。見せ金が発覚すると、企業の信用が損なわれ、金融機関からの融資を受ける障害となります。そのため、法令を遵守し、透明性と正確な財務情報を提供することが重要です。会社設立が無効になると、会社設立を無効にされた事業主との取引は金融機関にとってリスクしかないため、今後の資金調達が困難になります。 顧客からの信頼を失い、ビジネスができなくなる 顧客は信頼できる企業との取引を希望しているので、違法行為や不正行為に関与した企業と取引するメリットはありません。見せ金が発覚すると、企業は顧客との信頼関係を失い、事業を進めることが相当に困難となります。最悪の場合、契約破棄や損害賠償請求を受ける場合があります。したがって、企業は透明性と法令順守を重視し、信頼性を維持することが極めて重要です。 これらのリスクを負ってまで違法な見せ金をやるべきではありません。 見せ金を回避するための注意点 続いて「見せ金」を回避するための注意点と対応法について紹介していきます。 資本金の出所を明らかにする 「見せ金」を回避するためには、その資金の調達方法を客観的に証明することが重要です。株や不動産などの資産を売却した自己資金を資本金にすると、売却の際の履歴が残るため、出所を証明しやすくなります。 資本金の出所や内容が明確でない場合や、偽装的な取引が行われていた場合には、見せ金の可能性が疑われるので、資本金の出所が証明できるように注意しましょう。見せ金かどうかの判断が難しい場合には、税理士などの専門家に相談してください。 親族・友人などから借りたお金は資本金にしない 見せ金は一時的に借りたお金で資本金を不正に多く見せる方法ですが、創業時に親族や友人などからお金を借りて会社を設立することも多いです。ですが、借りたお金を資本金にすると見せ金を疑われてしまいます。 以前は会社設立のために1,000万円の資本金が必要でしたが、現在は資本金1円から会社設立が可能です。資本金の調達を親族や友人に対して行うのであれば、お金を借りるのではなく、出資を受けて発起人や株主・役員になってもらうのも1つの方法です。 健全な「会社設立」をご支援! 今回の記事では、「見せ金」についての問題をまとめました。 見せ金が露見すると、銀行や投資家からの信用を喪失するだけでなく、法的な罰則を受けたり、会社設立が無効とされる可能性があります。刑法においても違法行為として厳しく規制されています。今回の記事のポイントを確認し、違法行為を避け、法令を順守し、健全な会社設立を目指しましょう。 当事務所では、宮城県仙台市を中心に会社設立に伴うお悩み相談やご支援を承っております。また、相談だけでなく様々な手続きはもちろん、創業融資等も含めてサポートしております。 起業を検討されている方は、下記お問い合わせフォームより一度ご相談ください。 関連記事:副業しているサラリーマンの起業はあり?在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 関連記事:持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 関連記事:会社設立時に発生する税金は?設立後についても解説


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経費計上のタイミングはいつがベスト?考え方を解説

起業直後の会計業務をよく分からないまま進めていませんか? 事業活動で発生した経費を計上し、帳簿に記載することは事業者の義務として定められていますが、そのタイミングはいつがベストなのでしょうか。中には会計業務を進めるものの経費計上の方法がわからず、決算が迫ってから相談に来る方もいます。 そこで今回の記事では、経営者および経理担当者の方に向けて、経費を適切に計上するタイミングや方法について解説します。経営者をされるなら知っておきたい内容ですので参考にしてください。 経費計上できる項目について まずは経費計上できる項目について紹介していきます。 「経費」の考え方 経費とは、事業を運営する上で必要な支出や費用のことを指します。 経費は、事業の利益を算出する際に、収入から差し引くことで算出し、正確な利益の計算や健全な経営判断に欠かせない要素です。具体的には以下のような項目が挙げられます。 事業運営に必要な消耗品や備品の購入費用 従業員の給与や賞与 事業用の通信費や郵送費 事務所や施設の賃料 事業用の交通費や旅費 広告宣伝費用 事業関連の講習や研修の費用 事業に関連する雑費やその他の一般管理費用 経費計上できる主な科目(1)消耗品費 経費計上できる代表的な科目として挙げられるのが消耗品費です。事業運営に必要な消耗品や備品の購入費用を指します。消耗品とは、一度使用するとその価値が減少し、次第に価値を失っていくものを指します。これらの消耗品は業務や生産活動に不可欠であり、日常的な支出として発生します。 そのため、毎期の業務に必要な消耗品の購入は、企業活動における常識的な経費です。 具体的には、オフィス用品や清掃用品、ドライバーや工具、機器の消耗品、事業で使用する文房具や消耗品などが該当します。これらの費用は、事業の日常的な運営に必要不可欠なものであり、経費として計上されます。 経費計上できる主な科目(2)旅費・交通費 こちらも一般的な科目ですが、旅費・交通費も経費計上が可能です。業務目的の移動や出張に必要な経費であり、企業の業務活動に直接関連しています。これらの費用は、従業員が業務目的で外部に移動する際に発生するため、経費精算の対象となります。 具体的には、交通機関の運賃やレンタカーの料金、宿泊費、食事代などが該当します。また、出張や移動に関連するその他の費用も含まれます。これらの費用は、事業の拡大や顧客との交流を目的とした活動において発生するものであり、事業運営の一環として経費として計上します。 経費計上できる主な項目(3)交際費 経費計上できる主な項目の3つ目は交際費です。交際費は、業務上の人間関係を築き、ビジネスの円滑な進行や取引の促進に寄与するための費用です。取引先や顧客との信頼関係を深め、ビジネスの機会を広げることを目的としています。 具体的には、飲食代や娯楽費、プレゼント代などが該当します。交際費は、ビジネス関係の構築や維持に必要な費用であり、顧客や取引先との信頼関係を築くために支出されることが一般的です。したがって、これらの費用は事業運営上必要な経費として計上されます。 経費計上できる主な項目(4)従業員の給与・賞与 経費計上できる項目として給与・賞与も挙げられます。給与は、従業員が企業で提供する労働や役割に対して受け取る定期的な報酬です。給与は通常、月給や時給として支払われ、従業員の働いた時間や提供した役割に応じて計算されます。また、賞与は従業員が企業での業績や成果に対して受け取る追加の報酬です。通常は年末賞与や利益に応じた賞与として支払われます。 賞与は従業員が企業の業績向上や目標達成に貢献したことを評価し、励ますために支給されます。従業員のモチベーション向上や企業の業績向上に寄与します。これらの費用は、従業員を雇用し、事業運営に不可欠な役割を果たすために発生するものであり、経費として計上可能です。 発生主義か現金主義かで異なる 経費計上する場合、発生主義と現金主義の2つの方法があり、計上のタイミングが異なります。それぞれの考え方について紹介していきます。 発生主義とは 発生主義は、会計処理の原則の一つであり、収益や費用を収入や支出が発生した時点で計上する考え方です。つまり、取引が実際に行われた日付ではなく、契約や請求など、取引が発生した時点で収益や費用を帳簿に記載するという考え方です。 発生主義の場合、収益は商品やサービスが提供された時点で計上されます。例えば、商品が販売された時点でその売上が計上され、役務が提供された時点でそのサービス料が計上されます。同様に、費用もその費用が発生した時点で計上されます。例えば、商品の仕入れやサービス提供のための経費が発生した時点で、その仕入れ費用や経費が計上されます。 発生主義の利点は、取引の発生と実際の現金のやり取りが同じ時期でない場合でも、会計上の記録が正確に収益や費用を反映することができることです。これにより、会社の業績や財務状況を正確に把握することができます。 一方で、発生主義の欠点は、収益や費用の計上が現金のやり取りとは独立して行われるため、キャッシュフローと利益が一致しない場合があることです。 企業会計の場合は原則「取引が発生した時点」で計上する 企業会計においては、原則として発生主義が採用されます。企業は事業を行う過程で収益を生み出し、費用を支出します。発生主義は、この収益と費用が経済的な事象が発生した時点で計上されるべきだという考え方です。発生主義での会計処理を行うと、商品やサービスの提供、仕入れ、サービスの受け取りなどの経済的な事象が発生した時点で、それに関連する収益や費用を計上することで、企業の業績や財務状況を正確に反映することができます。 また、発生主義は収益と費用の対応原則を重視しています。収益が発生した際にそれに関連する費用も同時に計上することで、企業の利益を正確に把握することができます。これにより、企業の経営者や投資家などが企業の業績や財務状況を適切に評価し、意思決定を行うことが可能となります。 現金主義とは 現金主義は、会計処理において収益や費用を現金の受け渡しや支払いの発生時点で計上する原則です。つまり、収益は現金が実際に入金された時点で計上し、費用は現金が実際に支払われた時点で計上する処理方法です。 発生主義では、取引が発生しても現金の授受がない限り、収益や費用を計上しません。そのため、売掛金や買掛金などの未収入金や未支払金は会計上の収益や費用として計上されません。 現金主義は取引が確定しているかどうかに関わらず、現金の受け渡しや支払いが行われた時点で計上されるため、現金の出入りが簿記上の記録に直接反映されます。これにより、企業のキャッシュフローや現金の流れを正確に把握することができます。 現金主義を採用する場合には条件がある 現金主義で帳簿作成を行うためにはいくつか条件があります。まずは「青色申告」の事業者であることです。青色申告を行うためには、事業者は所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。提出期限は申告を行う年の3月15日までですが、新規に開業した場合は、開業日から2か月以内に提出しなければなりません。その上で、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出します。 ※手続きについては下記の国税庁HPよりご確認ください。 国税庁HP:現金主義による所得計算の特例を受けるための手続 また、現金主義の帳簿付けを行う条件として、小規模事業者であることも挙げられます。小規模事業者の定義は、「その年の前々年分の事業所得の金額および不動産所得の金額(青色事業専従者給与の額を必要経費に算入しないで計算した額)の合計額が300万円以下であること」とされています。この条件に該当する場合にのみ、現金主義の帳簿付けが認められます。 経費計上するタイミング 発生主義と現金主義の違いを経費計上するタイミングごとに見ていきましょう。 発生主義の場合 これまでご紹介したように、発生主義に基づく経費計上のタイミングは、費用が実際に発生した時点で計上されます。具体的には以下のような例が挙げられます。 商品やサービスの提供が完了したタイミング 請求書を発行したタイミング 領収書を発行したタイミング どちらのタイミングで経費計上するかは企業によって異なりますが、多くの場合は請求書や領収書といった会計上必要な書類に記載されている日付をタイミングとしています。 現金主義の場合 現金主義に基づく経費計上のタイミングは、支払いが行われたタイミングです。非常にシンプルではありますが、先述したように現金主義を採用する場合には条件があることや、ビジネスが成長していくと現金主義の帳簿付の条件から外れる可能性もあります。 面倒な会計業務はお任せください 今回は経費計上のタイミングについてまとめました。経費計上のタイミングは発生主義と現金主義で異なりますが、今回紹介したポイントや注意点を正しく抑えておけば問題ありません。ですが、経費計上できる科目や、現金主義でクレジットカード決済を行った場合の帳簿記載のタイミングなど、個別に相談したい事柄もあるかと思います。 そんな場合にはお気軽に私たち税理士法人プロゲートへご相談ください。法人及び個人事業主様の会計業務をサポートしておりますので、税務・会計に関するお悩みを解決致します! 関連記事:経費はレシートでもいい?手書き領収書との違いや活用するメリットなど詳しく解説! 関連記事:事業主貸の上限は?事業主貸の概要、仕訳の方法やポイントを解説 関連記事:領収書の宛名が間違っていた!そんな場合に経費計上できるの? 関連記事:宮城県仙台市で税理士に確定申告を依頼するなら誰にどのように相談すればいい? 関連記事:確定申告が必要なのはどんな人?申告義務やペナルティ・対処方について解説 関連記事:事業主貸が多いとどんな影響がある?問題点や注意するべきポイントを解説


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自己資金なしでも創業融資は受けられる?注意点を解説

これまで借り入れをしたことが無い方は、融資を受けることに抵抗を感じるかもしれません。 また、設備や仕入れが必要な場合、自己資金だけでは資金が不足する可能性があります。 そこで今回の記事では、自己資金が少ない状態でも創業融資を受けやすくする方法や、利用できる融資制度、注意点などを解説します。 関連記事:仙台市で創業融資を考えている方は「仙台創業融資支援センター」を活用しよう! https://www.youtube.com/watch?v=pRsG93JLJXo 「自己資金」の考え方について 自己資金とは、個人や企業が自ら所有する資産や資金を指す言葉です。これは、借り入れたり他からの支援を受けずに所有している資金や資産を指します。まずは、自己資金として認められるものを紹介します。 自己資金として認められるもの 自己資金として認められるものは、以下のようなものがあります。 退職金や生命保険の解約金 退職金や生命保険契約を解約した際に支払われる解約金は、自己資金として扱われます。 相続によって得た資金 親族からの遺産相続によって得られる資産や資金は、自己資金として活用できます。 不動産や所有物の売却資金 自己所有の不動産を売却して得た収益も自己資金として認められます。また、不動産を所有している場合は売却しなくても不動産を担保にして創業融資を受けることが可能となります。 他にも、自己所有している持ち物(例: 車、家具、宝石など)や株などの有価証券を売却して得た資金も自己資金として利用できます。 第三者割当増資 株式会社の場合、新株を発行して第三者に割り当てることで資金調達が可能です。第三者割当増資によって得られる資金も自己資金として利用できます。ですが、第三者が経営に介入することになりますので、どれだけの割合で増資するかは慎重に決定する必要があります。 自己資金として認められないもの 自己資金として認められないものとして、他の金融機関からの借入金が挙げられます。金融機関から借り入れた資金は、借金として扱われるので自己資金とはみなされません。これは借り入れた資金を返済しなければならないためです。 同様に、親族や知人からの借入金も自己資金としては認められません。親族や知人からの借り入れも、金融機関からの借入のように借金として扱われます。このように、返済が必要な資金についてはこれらの資金は自己資金とは見なされないため注意してください。 自己資金を増やすための方法 自己資金を増やすためには、先述した自己資金と見なされる資金を集めるしかありません。後ほど紹介しますが、自己資金がない状況の創業融資は金利が高い場合や融資額が少ない場合があるため、少しでも多くの自己資金を用意することが重要です。 例えば、不動産などの資産を売却したり、生命保険を解約することで自己資金とすることが可能です。また定年退職後に起業するのであれば退職金や相続した資産を自己資金として活用できます。 とはいえ、上記のような資産がないという人が多いのも事実です。 以下に、自己資金がない(少ない)人が創業融資を受けるポイントをまとめます。 自己資金なしで創業融資を受けるポイント 自己資金なしで創業融資を受けるにはどのようなポイントがあるのでしょうか。それぞれのポイントごとに解説していきます。 収益性があることが伝わる事業計画書を作成する 自己資金なしで創業融資を受けるためには、融資を依頼する際の事業計画書づくりが重要です。収益性があり、融資の回収の見込みがあると判断されれば創業融資を受けることができるので、事業計画作りは特に注力しましょう。事業計画書を作成する際のポイントは以下の通りです。 市場分析とニーズの明確化 市場のニーズやトレンド、競合状況を詳細に分析し、自社の製品やサービスがどのような需要に応えているかを明確にします。また、顧客層やターゲット市場を具体的に特定し、それに基づいてビジネスの位置付けを明確化します。 収益モデルの提示  収益を生み出す具体的な仕組みや収益モデルを明示しましょう。売上予測や価格設定、利益率などの数値を具体的に提示し、ビジネスの収益性を裏付けます。 財務プランの詳細化 資金の必要性や使途を具体的に明示し、資金調達の必要性を説明します。収益予測やキャッシュフロー計画、返済計画などの財務プランを詳細に示し、融資を受けた場合の返済能力を示します。 競争優位性の強調 自社の製品やサービスの競争優位性や差別化ポイントを明確に強調します。独自の特長や強みをアピールし、市場での競争力を訴求します。 リスクと対策の明確化 リスク要因やその対策を明確に示し、リスクに対する準備や対応策を示します。融資を受ける側として、リスクに対する適切な管理策を示すことが信頼性を高めます。 熱意と実現可能性のアピール 計画を実現するための熱意や意欲をアピールし、創業者や経営陣の経験や能力、実行力を示します。また、計画の実現可能性を裏付けるために、リアルな目標設定や計画の具体性を示します。 以上のポイントを考慮し、事業計画書を作成することで、収益性があるビジネスとそのポテンシャルを融資提供者に伝えることができます。 関連記事:融資を通しやすい事業計画書の書き方とは?ポイントなどを紹介 これまでに経験がある分野で創業する 自己資金なしで創業融資を受けるためには、これまでに経験がある分野で創業することが有効です。 当然のことですが、過去の経験や専門知識を活かして、自分の得意な分野でビジネスを立ち上げることで、成功する可能性が高まります。業界や市場に精通していることは、融資提供者にとっても信頼性が高まる要因です。 また過去の実績や人脈を活用することで、資金調達やビジネス展開のサポートを受けやすくなります。全く新規の分野での起業にはリスクが伴いますが、これまで経験や実績のある分野であればある程度の業績も見込めるため、事業計画が立てやすくなります。 日本政策金融公庫「新創業融資制度」の融資条件を満たす 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用すると、自己資金なしでも融資を受けられる可能性があります。創業融資を受ける場合のポイントは以下のとおりです。 ☆創業期間の条件をクリアする 新創業融資制度では、創業してから3年以内の未経営者を対象としています。これは、創業者がまだ経営経験が浅い場合でも融資の対象となることを意味します。 ☆事業計画書を提示する 融資申請時には、事業計画書を提出する必要があります。この計画書には、事業の概要や目標、収益性の見込み、財務計画などが詳細に記載されている必要があります。 ☆担保や保証人を用意する 必要に応じて、融資の担保や保証人を提供する必要があります。担保や保証人の提供によって、融資の審査がスムーズに進むことが期待されます。担保や保証人が用意できない場合には、後述する信用保証協会の融資制度を利用しましょう。 ☆返済計画を作成する 返済計画の提出融資を受ける際には、返済計画を提出する必要があります。これには、融資を返済するための資金計画や返済期間などが含まれます。 これらの条件を満たすことで、日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用して、自己資金なしで創業融資を受けることが可能です。ただし、融資の審査は厳格に行われるため、十分な準備と計画が必要です。 信用保証協会の信用保証制度を利用する 自己資金なしで創業融資を受けるためには、銀行などの金融機関で信用保証協会の利用を求められます。信用保証制度とは、保証人がいない状態で金融機関から借入を行う場合に公的な保証人となる制度です。自己資金がない場合の融資は信用保証協会の利用を求められるため、利用の流れを押さえておきましょう。 ①信用保証協会に相談する まず、信用保証協会に相談し、自己資金なしで融資を受けるための信用保証制度について情報を収集します。信用保証協会のウェブサイトや窓口で、制度や対象となる条件、必要な手続きについて確認することができます。 ②申請書を提出する 信用保証制度を利用するためには、申請書を提出する必要があります。申請書には、事業計画や収益見込み、資金用途などの情報が含まれることが一般的です。 ③審査を受ける  信用保証協会は、提出された申請書やビジネスプランを審査し、融資のリスクを評価します。審査が通過すると、信用保証協会が融資の一部または全額を保証することがあります。これにより、融資を提供する金融機関のリスクが軽減され、自己資金なしでも融資を受けることが可能となります。 ④融資の申請をする 信用保証が取得された後、信用保証協会が提携している金融機関から融資を申請します。信用保証制度により、金融機関はリスクが軽減された状態で融資を行うことができます。 以上の手順を踏むことで、自己資金なしで創業融資を受けるために信用保証協会の信用保証制度を利用することが可能です。ただし、申請や審査には一定の時間がかかる場合がありますので、余裕を持って準備することが重要です。 共同創業者を見つける 自己資金なしで創業融資を受けるためには、共同創業者を見つけることも選択肢に入れておきましょう。共同創業者との協力により、資金調達やビジネスの運営に関する負担を分担し、融資を受けやすくなる可能性があります。自分の周りの友人や家族、同僚、元同級生などのネットワークを活用して、共同創業者を探します。また、SNSやコミュニティなどを通じて、興味を持っている人や同じビジョンを持つ人を見つけることができます。 商工会や銀行などが主催するイベントやセミナーに参加し、他の起業家やビジネス志向の人と出会います。こうした場で共通の興味や目標を持つ人と出会い、共同創業者となる可能性もあるでしょう。 自己資金なしで創業融資を受ける注意点 自己資金なしで創業融資を受ける場合、財務計画の慎重な作成、リスクの認識と管理、返済計画の確立、信頼性の構築、多角的な資金調達の検討など、十分な準備と計画が求められます。しっかりとしたビジネス計画と信頼性の構築を通じて、融資提供者に自己資金の不足を補う信頼を与えることが重要です。 「見せ金」をすると違法になる 「見せ金」とは融資を受けるために虚偽の情報や書類を提出するなどして、実際にはない自己資金や収入を装うことを指します。「見せ金」を行うと、融資提供者や関係機関に対して信頼を損なうだけでなく、詐欺行為として刑事事件に発展する可能性もあります。 自己資金が不足する場合は、正当な手続きや資金調達方法を模索することが重要です。不正行為や詐欺行為は違法であり絶対に避けるべきです。 金利が高くなる 自己資金なしで創業融資を受ける場合、金利が高くなる可能性があります。これは、融資提供者がリスクを考慮して金利を設定するためです。これは、融資提供者がリスクを補償するための手段として金利を設定するためです。 しかし、創業者が十分なビジネス計画や収益性を示し、融資提供者に信頼を与えることができれば、金利を低く抑える交渉の余地もあります。また、複数の金融機関や融資を比較し、金利や条件を検討することも重要です。 融資額が少なくなる 自己資金がない場合、融資提供者は融資が回収できないリスクが高まると判断し、それに応じて融資額を少なく設定することがあります。これは、融資提供者がリスクを最小限に抑えるための措置なので、まずは少額の融資で実績を積み、徐々に融資額を増やしていきましょう。 自己資金は計画的に準備しよう 起業家にとって、創業から1〜2年目に借入を行うことは、会社の成長を促進する上で重要です。なぜなら、多くの個人事業主や中小企業が5年以内に廃業する中で、売上不足ではなく資金不足が主な理由となっているからです。 ビジネスにおいては支払いが先行し、資金が不足することが一般的です。支払いを遅らせると信用問題や次回の仕事に支障をきたす可能性があるため、しっかりと資金計画を立てていきましょう。 今回の記事では、自己資金が少ない人でも創業融資を受けるポイントを解説してきました。しかし、自己資金が少ない方は、融資を受けづらいのも事実です。自己資金の額で、これから始めようとする事業への熱量、計画性の有無も判断されます。 税理士法人プロゲートは、宮城・仙台エリアのお客様を中心に創業支援を行っております。日本政策金融公庫や民間金融機関との融資実績も豊富ですので、不安に感じられている方は一度ご相談ください。 関連記事:起業家必見!日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の必要書類を紹介 関連記事:日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の流れをプロセスごとに解説 関連記事:日本政策金融公庫から電話がかかってくるのはどんな時?対応の仕方や注意点を解説 関連記事:融資を受けるなら税理士に相談した方がいい?依頼するメリットを紹介


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持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント

持株比率は、企業の株主が所有する株式の割合を指します。 複数のメンバーで創業する場合、創業時に決定しなければならないのが、誰がどれだけの比率の株を保有するかという「持株比率」の決定です。 持株比率(出資する比率)を適当に決めてしまったせいで、後々、創業メンバーと揉めてしまうというケースも少なくありません。 これは今後の会社経営において重要な要素となるため、慎重に配分を決めなければなりません。 そこで、この記事では、比率ごとに異なる株主権利と創業時に注意すべきポイントを解説します。 https://www.youtube.com/watch?v=-BJLgQp9hn0 持株比率とは何か? 持株比率は、特定の企業の株主が所有する株式の割合を示す指標です。一般的には、企業の発行済み株式総数に対する個々の株主が所有する自己株式の割合を計算します。 持株比率が高い株主は、企業の経営方針や意思決定に影響を与える可能性が高くなります。また、持株比率が一定の割合以上になると、議決権行使や企業経営への介入などの権利が発生する場合もあります。持株比率は、企業の株主構成や株主間の権力関係を把握する上で重要な要素です。 株主には3つの権利がある 持株比率が高い株主は、次の3つの権利を持ちます。 1. 議決権:高い持株比率を持つ株主は、企業の重要な意思決定に関与する権利を持ちます。これは、株主総会での議案に対する投票権を指します。持株比率が高いほど、株主が企業の経営方針や役員の選任に影響を与える力が増します。 2. 配当権: 株主は、企業が利益を出した場合にその一部を配当金として受け取る権利を持ちます。持株比率が高い株主は、より多くの配当金を受け取る可能性があります。 3. 情報開示権: 株主は、企業の経営状況や業績に関する情報を適切に開示する権利を持ちます。持株比率が高い株主は、企業の内部情報や戦略についてより広範な情報を入手しやすくなります。 持株比率によって行使できる権利が異なる 一般的には、持株比率が高い株主ほど、企業経営における様々な権利をより強力に行使できる傾向があります。ただし、持株比率が一定の割合以上に達すると、特定の権利が発生することがあります。例えば、多くの国や地域では、株主が特定の持株比率(しばしば5%以上)を超えると、以下のような権利が発生する場合があります。 持株比率ごとに行使できる権利 持株比率が高い株主が行使できる権利は、法律や企業の規則によって異なる場合がありますので、具体的な条件や規定に注意する必要があります。 1株持っていると行使できる権利 配当受取権、株主総会の議決権 持株比率1%以上で行使できる権利 株主総会の議案提案権 持株比率3%以上で行使できる権利 会計帳簿閲覧謄写請求権 持株比率33.4%以上で行使できる権利(1/3以上) 単独で特別決議を阻止することが可能 持株比率50%超で行使できる権利(1/2以上) 単独で普通決議を通すことが可能 持株比率66.7%以上で行使できる権利(2/3以上) 単独で特別決議を通すことが可能 持株比率90%以上で行使できる権利 株主の強制買い上げ(スクイーズアウト)を実行が可能 持株比率100%で行使できる権利 株式総会の全ての決議を単独で可決可能 複数で創業する場合の注意点 複数で創業する場合の持株比率にはいくつかの重要な注意点があります。以下にいくつか挙げてみます。 持株比率を均等にすると、トラブルに発展する可能性も 持株比率を均等にすることがトラブルに発展する可能性もあります。以下にいくつかのポイントを挙げてみます。 1、貢献度や役割の不均衡 均等な持株比率を確保する際、実際の貢献度や役割に不均衡が生じる場合があります。特定のメンバーがより多くの労力や資金を貢献しているにも関わらず、持株比率が均等であるために公平性に疑問を抱くことがあります。 2、意見の相違 ビジネスに関する意思決定や戦略において、均等な持株比率を持つ株主間で意見の相違が生じることがあります。意見の対立が解決されない場合、トラブルや企業の停滞につながる可能性があります。意見の相違によって解散するケースも少なくありません。 3、リスクへの対応の不一致 ビジネスに関連するリスクに対するメンバー間の認識や対応が異なる場合、均等な持株比率を持つ株主間で対立が生じることがあります。特に、資金調達や成長戦略に関する重要な決定において、異なるリスク許容度や優先順位が存在する可能性があります。 4、経営権の分散 均等な持株比率を持つことで、経営権や意思決定権が分散されるため、効果的な経営や意思決定が難しくなる場合があります。特に、迅速な意思決定や企業の方針の統一が必要な場合、経営権の分散が進むことで効率性や経営の一貫性に影響を与える可能性があります。 これらのポイントを考慮すると、均等な持株比率を確保する際には、事前の計画や約束事の文書化、コミュニケーションの強化など、トラブルを未然に防ぐための対策が重要です。また、柔軟性を持たせるために、持株比率に応じた役割や貢献度に基づく報酬や権限の調整が必要となる場合もあります。 代表者の持株比率は最多にする 代表者の持株比率を最多にする理由(メリット)はいくつかあります。 1、意思決定の効率性  企業の意思決定は、時に迅速かつ効果的なものである必要があります。代表者が最多の持株比率を持つ場合、経営方針や重要な決定に対して迅速かつ一貫した指針を与えることができます。このため、経営権が集中することで、組織の効率性や意思決定のスピードが向上することが期待されます。 2、責任とリーダーシップの強化  代表者が最多の持株比率を持つことで、組織の責任とリーダーシップが強化されます。彼らは企業の成功や失敗に直接的に責任を負い、そのためにより積極的に経営に関与し、企業の方向性を決定することが期待されます。 3、 投資家や取引先への信頼構築 代表者が最多の持株比率を持つことは、投資家や取引先にとっても信頼感を生み出す要因となります。企業のリーダーシップが明確であり、代表者が経営に積極的に参加していることは、企業の持続的な成長と安定性を示唆するものとして評価されるでしょう。 4、組織の一体感の強化 代表者が最多の持株比率を持つことで、組織内での一体感や協調性が強化されることがあります。彼らは自らが企業の一員であることを示し、組織全体の成功に向けて努力することで、従業員や他の株主により大きな影響を与えることができます。 これらの理由から、特に創業時は代表者が最多の持株比率を持つことを強くおすすめします。 共同創業したメンバーの一人に経営の権限が過度に集中することで意思決定の偏りが生まれ、創業メンバー同士の対立に繋がる可能性もあるため、創業時に十分に話し合っておきましょう。 行使できる権利を考えて持株比率を決める 持株比率を決める際には、創業するメンバーの人数によってもその比率のバランスは異なります。その配分をどうするかは重要な検討課題です。 当然ですが持株比率が高い株主ほど、より大きな影響力を持ち、企業の経営方針や戦略に対してより大きな影響を与えることができます。創業時のメンバーの人数によって誰がどれだけの比率を持つか、よく検討しましょう。 持株比率で失敗しない為に! 起業する際、創業メンバーごとの持ち株比率を決定することは、会社の舵取りの方向性に大きな影響を与えます。どの程度の持ち株比率がどの程度の権利を与えるのかを正確に把握し、比率を決めましょう。 特に、創業メンバーが経営権を維持したい場合、将来的には増資によって今より多くの株を発行する場合の希薄化によるリスクなど、様々な検討事項が存在します。創業メンバーの持株比率の違いが原因で人間関係が破綻することもあります。 プロゲートでは、これまでに数多くの会社設立を行い、創業者の意思と経営におけるリスクのバランスを考慮した持株比率の提案を行ってきました。持株比率でお悩みの場合や、複数人での創業を検討している方は一度プロゲートにご相談ください。下記、お問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております。 関連記事:合同会社から株式会社に組織変更するには?費用や変更手順を紹介!


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銀行から創業融資を受けられる?創業融資が可能な金融機関を紹介

融資=銀行というイメージを持つ人も多いでしょう。 しかし、創業初期となると銀行から融資を受けることは簡単ではありません。 個人や小規模なビジネスに対する創業融資を提供している銀行が全てではなく、創業融資を行っている銀行に相談しなければなりません。国内には900以上の銀行がありますので、創業融資を受けるために最適な銀行を見つけるのは難しいかもしれませんね。 今回の記事では、銀行から創業融資を受けたいとご検討の方に向け、創業融資が可能な金融機関を紹介していきます。 関連記事:仙台市で創業融資を考えている方は「仙台創業融資支援センター」を活用しよう! 創業融資が可能な銀行や金融機関 国内には様々な金融機関が存在します。その中で、創業融資が可能な金融機関をご紹介していきましょう。 創業融資とは? 創業融資とは、新しいビジネスを始める事業者に必要な資金を融資する制度です。開業には仕入れや人件費、店舗の準備費用など、さまざまな経費が必要ですが、これらを全て自己資金でまかなうのは難しい場合があります。そのため、金融機関など外部から資金を調達することが一般的です。 創業融資にあたっては、個人事業主や法人であっても創業する事業体でのビジネスの実績がないため、創業者のこれまでの経験が創業するビジネスと関連があるのか、ビジネスモデルはしっかりしているか、収益性が確保されているかなどが融資のポイントとなります。 創業融資はどの銀行で受けると良い? 「信用金庫、地方銀行などの金融機関の中でどこが最適か?」という質問に対して、一概には答えられません。各種の銀行や金融機関にはそれぞれ利点と欠点があります。 別の記事でもご紹介しておりますが、創業期に限っては、日本政策金融公庫をお勧めしております。しかし、様々な側面で銀行から創業融資を受けるメリットもあります。 企業が最適な銀行を選択するには、自社の状況をよく理解し、それぞれの特性を考慮する必要がありますので、創業融資が可能な銀行を紹介していきましょう。 創業融資が可能な銀行 創業融資を行なっている銀行は大きく分けると2種類あります。それは地方銀行と信用金庫です。それぞれの金融機関の概要と特徴をご紹介していきます。 創業融資が可能な銀行(1)地方銀行 地方銀行は、地域に密着したサービスを提供しており、金利が比較的安く、大規模な資金ニーズにも対応しています。ただし、次に紹介する信用金庫よりも一歩敷居が高い場合もあります。 創業融資については主に保証協会付きの融資を提供しており、信頼性が高い信用保証協会を通じて融資を受けることができます。場合によっては、メガバンクからの断られた融資でも地方銀行からの融資を受けられることもあります。地元では強い存在感があり、地域経済に貢献しています。創業融資先を検討している場合には、まず事業を始める地域の地方銀行に融資を依頼してみると良いでしょう! 創業融資が可能な銀行(2)信用金庫 2つ目の銀行が信用金庫です。信用金庫は地域に密着した金融機関であり、小規模な会社や新興の企業にも親身になって資金を提供してくれます。ただし、金利は高めです。また、貸し出し規模が小さいため、顧客あたりの事務コストが高くなります。したがって、貸出金利はやや高めに設定されています。地方銀行よりも平均して0.5%ほど高くなりますが、地方銀行での創業融資を断られた場合の選択肢としては有効です。金利が高いというデメリットはありますが、信用金庫は地元の小規模事業者との取引が多い場合が多いので、まずビジネスを始める際に信用金庫にビジネスマッチングを頼んでみるなど、融資以外の点での活用方法もあります。メインバンクに地方銀行が決まったとしても、一度創業融資の相談をしてみると良いでしょう。 銀行から創業融資を受ける場合のポイント 銀行から創業融資を受ける際のポイントは以下の通りです。ポイントを押さえて、確実に創業融資を受けられるように準備しておきましょう。 ビジネスプランの準備 銀行は、貸し倒れのリスクを最小限に抑えるため、しっかりとしたビジネスプランを提出することが求められます。冒頭にご紹介したように創業融資は融資を受ける事業体でのビジネスの実績がないことから、経営者のこれまでの経験やビジネスモデル、ビジネスの実現可能性や将来の収益性が重視されます。創業計画だけでなく返済計画やリスク管理策などを明確に示す事業計画書の作成が必要不可欠です。 資金使途の明確化 融資を受ける目的や資金の使途を明確にし、具体的な資金の必要額を計画しましょう。銀行は、資金の使途が明確な場合に融資を行いやすくなります。創業時の資金用途は人件費・設備投資費・広告費・研究開発費などが主になりますので、どの項目で資金を使用するかを資金計画としてまとめ、どの時期に黒字化するのか、また、いつまでに返済するのかを計画していきます。特に返済計画は融資審査の際に最も重視される内容ですので、しっかりと作り込んでおきましょう。 自己資金の準備 創業融資を受ける際には自己資金の準備も重要です。銀行は、創業者自身がリスクを負担し、事業に真剣に取り組んでいることを見せることを期待しています。創業融資で希望する金額の、最低でも1割は自己資金として用意したいところです。 営業実績や信用履歴の確保 創業者や事業者が過去に持つ営業実績や信用履歴があれば、それを銀行に示すことで、融資の審査が有利に進むことがあります。 担保の提供 創業融資を受ける際には、担保の提供が求められる場合があります。土地や建物、機械設備などの資産を担保にできるかどうかを確認しましょう。 審査にかかる時間や手続きの確認 銀行によって審査にかかる時間や手続きが異なるため、それらを事前に確認し、十分な準備を行いましょう。 金利を含めた銀行に返済するための金額と期間を計画しておく 創業融資を受けた場合、返済時には創業融資の元本に加えて利子の支払いが必要となります。返済計画には、創業融資の元本に加えて月々の利息を加算した計画を立てましょう。短期間で返済ができればその分支払う利子は少なくなりますが、その一方で事業に必要な資金まで返済に充ててしまってはビジネスを進めることはできません。事業に必要な資金と返済の資金のバランスを取った計画を心がけましょう。 自己資金がどれだけ必要かを確認 多くの場合、銀行や信用金庫から融資を受ける際には、創業資金の1割〜3割程度の自己資金を用意することが求められます。 ただし、この割合は金融機関によって異なり、また自己資金の割合が高ければ必ずしも融資を受けられるとは限りません。金融機関からの融資は、自己資金だけでなく、経験や実績などの要素も総合的に審査されます。そのため、自己資金の割合は審査の一部であることを認識しておくことが重要です。 関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる?注意点を解説 信用保証料の金額や代表者の個人保証があるかを確認 信用保証協会は、中小企業や小規模事業者の資金調達を円滑にするために設立された公的機関です。中小企業や創業者が金融機関から融資を受ける際には、大企業と比べて経営リスクが高く、信用面でのハードルが高いことがあります。しかし、信用保証協会が事業者の債務保証を行うことで、金融機関からの融資がより容易になります。具体的には、信用保証協会が債務保証を行うことで、金融機関が融資先事業者の倒産などで債権回収が困難になった場合でも、信用保証協会が残債を代位弁済するため、金融機関は債権回収を行うことができます。これにより、金融機関は中小企業などへの融資をより安心して行うことができます。 融資実行までの期間と経営のタイミングを確認 多くの場合、事業を開始する前に創業計画書などを提出し、事前融資を受けるケースが一般的です。ただし、事業が開始されてから税務申告を2期終えていない場合でも申請することが可能です。この期間は金融機関によって異なる場合がありますので、地元の地方銀行や信用金庫で確認することをおすすめします。 法人の場合、税務申告は会社設立日から始まり、初めての決算日が1期目の終わりを示し、2期目の終わりは2度目の決算日になります。会社設立日は創業日ではなく、法人登記日を指します。決算日は各会社によって異なるため、創業融資の利用期間も会社ごとに異なります。 一方、個人事業主の場合、税務申告は12月31日で1期が終了し、開業届を提出した後、最初の12月31日が1期の終了を示し、2回目の12月31日が2期の終了を示します。個人事業主の場合、1月1日に開業届を提出すると、創業融資を最大限に活用できる期間が確保されます。 創業融資実行率90%以上! 今回は、創業融資はどの銀行から受けるべきかについて解説してきました。 冒頭でもお伝えした通り、創業融資においてまず考えるべきは日本政策金融公庫でしょう。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に地域密着で中小企業や個人事業主の方々をサポートしております。 創業期の第一の課題である「資金調達」を全面的にサポート致します。 完全成果報酬でお受けしておりますので、まずはご相談だけでも下記お問い合わせフォームからお待ちしております。 関連記事:日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の流れをプロセスごとに解説 関連記事:起業家必見!日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合の必要書類を紹介 関連記事:融資を受けるなら税理士に相談した方がいい?依頼するメリットを紹介


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