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合同会社から株式会社に組織変更するには?費用や手順を紹介!
合同会社として起業したが、会社の規模が大きくなってきたなどの理由で株式会社に組織変更しようと考えている方もいらっしゃるかと思います。 しかし、「合同会社と株式会社の具体的な違い」「組織変更はどうやって行うのか」など疑問を持たれている方も多いかと思います。 この記事では、合同会社と株式会社の違いや組織変更の流れ、費用などを紹介します。 合同会社と株式会社の違い 合同会社と株式会社はそれぞれ法律で定められた法人の形態です。 合同会社は、2006年に会社法が改正された時に新しくできた法人形態で、設立時の出資者が出資金額の範囲内で責任を負う形式なのが特徴です。株式会社の設立に比べると手続きが簡単で、費用も株式会社を設立するより安くできます。また、株主総会の開催や取締役会の設置などの法定の手続きが必要ない分、運営がしやすく、小規模な運営に適しています。 一方で株式会社は株主総会・取締役会・監査役など、明確な組織体制と運営規定が定められており、合同会社に比べると、細かい会計基準に基づく処理が求められるため、専門的な会計知識やサポートが必要になります。 合同会社から株式会社に変更するメリット 次に、合同会社から株式会社に組織変更するメリットとデメリットを紹介していきます。 まずは、メリットですが、大きく下記の3つが挙げられます。 ・資金調達の幅が広がる ・社会的信用度が増す ・初めから株式会社にするよりも低コスト 資金調達の幅が広がる 合同会社は運営がしやすい一方で、資金調達の方法が限られており、株式を発行して投資家から資金を集めることはできません。 外部から資金調達を行うには融資や社債を発行するなど限られた方法しかないため、事業拡大や大規模なプロジェクトの際の資金調達をするハードルとなります。 一方で、株式会社に変更することで資金調達の幅が広がります。株式会社は株式を発行することで資金を調達でき、会社の成長過程に合わせた増資によっても資金調達が可能です。特に大規模な事業展開や設備投資に向けた資金が必要な場合、株式会社に組織変更するメリットは大きいといえるでしょう。 社会的信用度が増す 合同会社は比較的新しい組織なだけに、耳慣れない人も多い会社組織ですので、社会的信用度という意味合いでは、どうしても株式会社に及びません。そのため、合同会社が株式会社に組織変更すると取引先や金融機関からの信頼度も増し、取引の幅が広がるだけでなく融資も受けやすくなります。 初めから株式会社にするよりも低コスト 初めから株式会社として設立する場合、最低でも約20万円の費用が必要になります。一方、合同会社から株式会社に組織変更する場合には、合同会社の設立費用と変更にかかる法定費用のみで済むため5万円ほどコスト削減できます。 合同会社を株式会社に変更するデメリット ここまでは、株式会社に組織変更するメリットをお伝えしましたが、当然デメリットもございます。以下にまとめていきますので参考にしてください。 ・役員変更登記が定期的に必要になる ・決算公告の義務が生じる 役員変更登記が定期的に必要になる 変更する株式会社の定款の作り方によりますが、2年ごとに取締役を選定しなおし、(但し、10年に延長することも可)登記しないといけません。登記の手数料である登録免許税は1万円です。また、この登記を怠ると数万円の罰金が発生します。 決算公告の義務が生じる 毎年、定款で定められた方法で決算公告を行う義務が生じます。 自社のホームページがあればそこに貸借対照表を掲載すれば済みますが、官報で決算公告を行うと費用は5〜6万円になります。この決算公告を怠ると、会社法976条第2号によって100万円以下の罰金が科せられています。しかし、この決算公告の義務は多くの中小企業にとって費用も手間も大きな負担となることから、義務を遂行している企業が少ないのが実情です。 組織変更には2~3ヶ月の期間が必要 合同会社から株式会社への変更を開始してから完了まで、基本的には2〜3ヶ月の期間が必要です。手続きには書類の作成だけでなく、さまざまな手続きや同意が必要なので計画的に進行、対応しなければなりません。 以下より、組織変更する流れを解説していきます。 ①組織変更計画書の作成 まず、最初に行うことは、組織変更計画書の作成です。組織変更計画書には株式会社として組織を変更した際の会社構成を記載します。 具体的には、以下のような項目です。 ・事業内容 ・会社名(商号) ・本店所在地 ・発行可能株式総数 ・定款 ・取締役氏名 ・株式会社変更後の発行株式数 ・合同会社の社員役職割り当て ・効力発生日 ②株式会社としての人事を決定 次に、組織変更にあたって、新たな株式会社の役員や取締役会の構成を決定する必要があります。この中には取締役の選出や代表取締役の決定、必要に応じて監査役の設置などが含まれます。合同会社の代表の社員が代表取締役になるのか、代表社員以外の社員の誰を役員に就任させるかなど、今後の会社経営に大きく影響する決断をすることになります。 ③全社員から組織変更計画書の同意を得る 組織変更計画書が完成したら、全社員から作成した組織変更計画書の内容に同意を得る必要があります。同意は、組織変更計画書に記載されている期日の前日までに全社員から得ておきましょう。 ④債権者保護手続きを行う 会社として事業を営んでいると、さまざまな企業と取引します。その中には債権者という売掛債権を持っている取引先や、融資債権を持っている金融機関などが存在します。債権者としての権利を保護するために、債権者に内密に会社組織を変更することはできず、事前に債権者に対して組織変更を通知し承諾を得る必要があります。 この債権者保護の手続きは2つあります。 1つは債権者に個別に催告する方法で、もう1つは官報に掲載する方法です。 もし、債権者がいない場合には、個別に催告する方法は省けますが、官報への掲載は必須です。その後、債権者から異議申し立てがない場合には組織変更ができます。 ⑤合同会社の解散と株式会社の登記申請を行う 組織変更が行われたら、合同会社の解散と株式会社の登記を行いましょう。 合同会社の解散決議を行った後に法務局に解散登記を提出し、同時に新しい株式会社の設立決議と登記申請を行います。 登記には1週間〜10日の期間がかかります。 合同会社を株式会社に変更する場合の費用 合同会社から株式会社への変更に必要な大まかな費用の目安は20万円弱で、内訳は次の通りです。 ・登記にともなう費用 ・官報公告への掲載料 ・専門家への報酬 登記にともなう費用|6万円 変更に際しては、法務局への登記申請が必須で、その際に登録免許税という費用が発生します。合同会社の解散登記にも株式会社の設立登記にもそれぞれ登録免許税が必要です。 合同会社の解散には3万円、株式会社設立にも3万円の登録免除税が発生するので、合計で6万円の費用がかかります。 官報公告への掲載料|35,000円程度 先述の通り、合同会社の解散に必要な手続きの一つに、官報公告への掲載があります。官報公告はオンラインでの申し込みをするか、官報公告販売所への申し込みすることで行えます。 官報公告への掲載料は掲載される文字数によって変化しますが、35,000円程度です。 専門家への報酬|数万円~10万円程度 法律的な手続きを正確に行う目的で、税理士などの専門家にアドバイスを依頼する場合があります。専門家への報酬は、その業務の内容や複雑さによって大きく異なりますが、総合的に見て数万円〜10万円程度を見込んでおくのが妥当です。 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 会社の組織変更についてはお任せください 今回の記事では、合同会社と株式会社の違いや組織変更の流れと費用を解説しました。 会社を設立するにもさまざまな手続きが必要でしたが、組織変更する際にも多くの手続きが必要になります。普段の業務と並行して手続きをすることになるので、手間と時間もかかることでしょう。「あまり理解ができない」「めんどくさい」と感じられた際は、必要に応じて顧問税理士に相談してください。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に会社設立や会計サポートを行っております。今回ご紹介したような組織変更のご相談も承っておりますので、気になる方は下記フォームよりお気軽にご連絡下さい。 関連記事:持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント 関連記事:合同会社の代表社員を変更したい!手続きと必要書類を解説
事業主貸の上限は?概要、仕訳の方法やポイントを解説
個人事業主として活動されている方の中で、青色申告特別控除を受ける方は多いです。 ネットワーク環境と会計システムの進化のおかげで、会計ソフトやクラウドサービスを利用して複式簿記を作成し、家計簿感覚で現金出納長を記帳することができるようになりました。 個人事業主の経理では、生活のためのお金などを毎月の売り上げが入金されている事業用の口座から使う方も多いです。ですが、当然、プライベートのお金は、事業の経費として記帳できません。 事業用の口座から出金した際には、複式簿記に記帳し、事業のお金とプライベートの資産をわけるために事業主貸という勘定科目があります。 この記事では、起業した方や経営者の方に向けて、事業主貸の概要や上限の有無、税務調査対策などを解説していきます。 そもそも事業主貸とはなにか? まずは記帳に必要な知識を確認していきます。 個人事業主が帳簿上で処理する際に、事業活動に必要な経費とプライベートの支出を明確に区分し、記帳するときに使うのが事業主勘定の事業主貸と事業主借です。事業主勘定で、事業用のお金とプライベートのお金を正確に分け、経費として記録したものを確定申告で申告が必要です。 事業主貸とは 事業主貸とは事業主勘定の1つで、事業用とは関係のない支出を指します。個人事業主は、事業用のお金をプライベートな使途で支払った場合、経費にできません。 そんな時、事業主貸の勘定科目により、事業用とプライベート用のお金をはっきりと区別することで、所得金額と所得税を正確に計算できるのです。 会計処理にfreeeなどの会計ソフトなどを使っている場合は、事業主貸で入力をした費用は自動で経費計上から外されます。 プライベートの支出は経費として扱えませんが、事業用の口座から使用されるお金は、事業主貸で記帳する必要があります。 事業主貸と事業主借の違い 勘定科目で事業主貸に似ている「事業主借」があります。この2つは似ていることもあり、混同されることが多いですが、意味が異なるので注意が必要です。 事業主貸は、事業用のお金からプライベートのお金を使ったときの勘定科目です。事業主借は、プライベートのお金から事業用のお金を使った場合の勘定科目として使います。名前も似ていますし、混同する方も多いでしょう。 例えば、事業で使う設備や消耗品の文具などを購入する時に、個人のクレジットカードで支払う場合が該当します。その他、事業の資金繰りがうまく行かず、事業の資金調達のためにプライベートのお金を一時的に入金する際にも事業主借に当てはまります。 事業主貸と事業主借は、事業用のお金とプライベート用のお金の区別が曖昧になりやすい個人事業主にとって、必要な勘定項目です。しかし、活用が多くなると、支出の履歴がわかりにくくなります。そのため、事業用の口座とクレジットカードは用意して、しっかり使い分けることがおすすめです。 事業主貸を活用する際のポイント 次に、事業主貸を活用する上で大切な4つポイントがあります。 ・明確な仕訳 ・領収書などの証拠書類の保存 ・事業主貸の目的を分かるように残す ・税理士への相談 これらのポイントは、基本的に税務調査対策になります。詳しくみていきましょう。 明確な仕訳 事業主貸を活用するために、プライベートのお金と事業用のお金を明確に区別することが大切です。 明確に区別することで、税務調査の際に誤解が生じるのを防ぎ、正確な申告を行うことができます。仕訳を間違えると、帳簿の内容が正確ではなくなり、確定申告の際に誤った申告をしてしまう原因になります。 お金の流れを明確に仕訳することで、余計な手間が発生することを防ぐことにつながります。 領収書などの証拠書類の保存 事業主貸に関する領収証や振込明細などを必ず保管しておきましょう。これは税務調査への備えとして活用できるからです。 税務調査の際に、事業主貸の支払い内容を証明するために、領収証などの証拠資料が必要になります。 事業主貸の証拠資料となる領収書は、日常的に保存することを習慣にしましょう。 関連記事:経費はレシートでもいい?領収書との違いや活用するメリットなどを解説 事業主貸の目的を分かるように残す 事業主貸を活用した際には、その目的を明確にし、必ず何に使用したかメモを残しておくと良いです。 税務調査の際に、事業主貸の目的を説明する必要があり、メモで残されていると、税務調査官に説明しやすくなります。 領収証の裏や、会計ソフトの記帳時に摘要欄がある場合は、詳細を残しておくことがおすすめです。 税理士への相談 税務に関する専門的な知識を持っているのが税理士です。事業主貸に関する疑問や複雑な税務処理について、税理士に相談することで、適切なアドバイスや問題解決のサポートを受けることができます。 さらに、記帳代行を依頼すれば、経理業務を税務のプロに処理してもらうことができます。 税理士事務所によっては、無料相談を行っている事務所もあるので、まずは検索して相談してみましょう。当事務所でも宮城県仙台市を中心に税務相談をお受けしていますのでお近くの方はお気軽にご連絡ください。 事業主貸の上限金額はいくらまで? ここでは、事業主貸の上限金額について解説していきます。事業用のお金をどこまでプライベートの支出に充てられるのでしょうか。 結論:事業主貸の上限は、事業の状況によって異なる 事業主貸について考える場合には、事業規模や業種、個人事業主の生活費などの状況によって使えるお金の上限が変わります。結論から言うと、事業主貸に明確な上限は、法律で定められていません。 資金繰りがついていれば、特に問題はありません。 事業主貸が多いということは、生活費などプライベートのお金を多く使っているということです。 プライベートの支出が事業の利益を上回った場合は、問題が生じてきます。 例えば、事業所得が50万円で、事業主貸が60万円で計上している場合です。プライベートの支出で取り出しているお金が10万円多い状態です。この場合、その10万円はどこから出てきたのかが疑問視される場合があります。 事業主貸の明確な上限が法律で決められていませんが、使い方によっては税務調査の際にリスクが伴うので、注意しましょう。 事業主貸のメリットとデメリット! 次に、事業主貸は事業と関係のないお金を管理する上で有効な手段です。個人事業主が生活費など経費にならないお金を管理する場合には、会計処理を誤ると税務上のリスクが伴います。 以下で説明するメリットとデメリットを理解した上で記帳しましょう。 メリット① 手続きが簡単ですぐ現金化できる 事業主貸を活用することでのメリットは、預金口座から引き出すだけの簡単な手続きのみで受け取れるため、急な出費にも対応しやすいです。 資金調達にかかる時間と手続きをプロセスを必要としないので、すぐに事業に関係ないお金を調達するため、短期的な問題への対処が可能になります。 メリット② 1つの口座でも明確にお金を仕訳できる 事業主貸を利用することで、1つの口座で事業用のお金とプライベートのお金を管理できます。 1つの口座で法人用と個人用の両方を管理する際に、事業活動に必要な経費と事業に関係のないお金を事業主貸で正確に分けることができます。 複式簿記では明確に仕訳をすることが必要になるので、後で余計な手間を増やさないように正確に記帳しましょう。 そうすることで、1つの口座で事業用のお金とプライベートのお金を管理できます。 デメリット① 税務調査のリスク 事業主貸を使う上で、デメリットは税務調査の際に、事業主貸が多すぎても少なすぎても問題点として見られる場合があります。 前述したように事業主貸が事業所得を上回る場合や事業主貸が極端に少ない場合には、売上の計上漏れや過剰な経費計上がないことを税務調査で説明する必要があります。事業主貸の金額が事業所得と比べて不自然に多い場合は、所得隠しや架空経費の疑いをかけられ、税務調査で指摘される可能性があります。 たとえば、売上金額が500万円・経費が300万円・事業主貸が300万の場合は、支払金額600万円で売上金額をこえています。不自然なお金の流れがあるのかもしれないと疑われる原因の1つとして考えられるのも当然です。 税務調査のリスクを下げるために、事業主貸の仕訳や事業とプライベートなお金をしっかり区別する他に、領収書などの証拠書類を保存することなども大切です。日常的に記帳を行い、正しく理由を説明できるようにしたいですね。 デメリット② 確定申告の作業が複雑化する 事業主貸を使うことが多くなれば、事業主貸の金額を誤って計上してしまう可能性もあるでしょう。事業主貸の処理が不適切な場合、帳簿全体の信頼性が低くなり、青色申告特別控除の摘要が難しくなる場合もあります。 そうならない為にも、日頃から適切な会計処理をするよう心がけましょう。 事業用のお金をプライベートとして使う ここでは、記帳の仕訳例と記帳時の注意点を紹介します。 事業主貸の仕訳例 仕訳例として、下記が基礎的な記載の方法です。わかりやすい使用例としては、生活費を引き出した場合です。 50,000円を引き出した場合が下記の内容になります。 借方科目借方金額貸方科目貸方金額事業主貸50,000普通預金50,000 家事按分で家賃や電気代などで記帳 個人事業主の場合、自宅を事務所の一部として活用するケースもあります。自分の家で開業した場合、自宅兼オフィスで使用している部分の家賃・通信費・水道光熱費など必要経費が対象です。 家事按分は、事業での使用とプライベートでの使用が混ざっている場合に、一定の比率を決めて費用を按分します。按分比率は、合理的な理由付けが必要なこと以外は、明確な条件や決まりはありません。 計上時に事業主貸を事業主借と間違えないよう注意しましょう 前述でお伝えした通り、事業主貸と事業主借は間違えやすいので注意が必要です。特に間違えやすいのが、貸借対照表での貸方と借方を記入する位置関係です。 下記表にてそれぞれ確認ください。 事業主貸を使用した場合の記入例 借方科目借方金額貸方科目貸方金額事業主貸50,000普通預金50,000 事業主借を使用した場合の記入例 借方科目借方金額貸方科目貸方金額普通預金50,000事業主借50,000 しかし、勘定科目を間違えて逆にして記入したとしても問題ありません。集計されるのは、事業とは関係のない勘定科目になるので、事業所得の計算から外れます。 関連記事:経費計上のタイミングはいつがベスト?考え方を解説 事業用とプライベート用口座は分ける? 個人事業主は事業用の口座とプライベート用の口座を分けなくても問題ありませんが、事業用とプライベート用をしっかり分けて管理することがおすすめです。 口座をまとめてしまうことで発生するリスクを紹介します。 資金繰りが難しくなる 事業用とプライベート用の口座が1つにまとまっていると、資金繰りの把握が難しくなります。資金繰りの基本は、お金の流れを管理することです。 資金繰りがうまくいかず、預金残高が少なくなった場合は、原因を見つける必要があります。しかし、事業用とプライベート用の口座が同じ場合、資金の流れが不明確で資金不足に気がつきにくくなり、原因を見つけることが大変になります。 また、口座を分けるときには、クレジットカードも事業用とプライベート用で分けることがおすすめです。 記帳作業や確定申告作業で混乱が生じる 事業用とプライベート用の支出が混ざって、事業主貸と事業主借の記帳作業や確定申告作業が増え、仕訳が困難になります。 事業に関係ないお金の取引のたびに、事業主貸と事業主借の仕訳が発生し、発生した分だけ時間と労力が必要になります。そして、人による仕訳作業は、誤りが発生するリスクが高まります。 業務が複雑化することで、誤りが発生する原因を作り、誤りを直すという余計面倒な作業を増やすことになりかねません。場合によっては、帳簿の信頼性が低いと判断され、青色申告特別控除の適用が認められない可能性もあります。※適用が認められない場合は、白色申告として扱われます。 便利な会計ソフトが不便になる 会計ソフトやクラウドサービスなどの外部ソフトと口座を連携するときに、事業の収支とプライベートの収支もまとめて取り込まれてしまうので、その後の整理が大変になることがあります。 事業用とプライベートの口座がまとめられていることで、自動仕訳機能が活用できない場合もあり、情報の整理に手間がかかる原因になります。損益計算書を作成する機能も、正確なデータでないと信頼性が低くなります。 初心者でも簡単に経理業務が始められるようになる会計ソフトですが、口座をまとめていることで、かえって業務が増えてしまうことになりかねません。業務を効率よく行うための会計ソフトなので、口座を分けることがおすすめです。 記帳に関する相談はお任せください 今回のコラムでは事業主貸しについてご紹介してきました。 個人事業主が経理業務を行う時には、事業のお金とプライベートのお金が混ざっていたり、経費にはならない支出などが同じ通帳に混ざっていることがあります。 現在では、会計ソフトやクラウド会計で個人でも管理することが可能になりました。しかし、専門的な知識が必要になる場面もあり、適切に経費計上をしなければなりません。 複式簿記で複雑な記帳業務を行い、正確な内容を申告することが必要です。 また、経費計上には税務調査の際に問題になるリスクもあり、税理士に相談し、正しく経費計上を行うことが確実で安全です。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市の企業様を中心にこれまで1,000社以上の企業様をサポートさせていただいた実績もあり、会社設立・個人事業主の青色申告・経費計上に関するアドバイスや領収証の仕訳などの実務にも対応しています。無料相談を行っていますので、気軽に電話かメールにてお問い合わせください。
税務調査の税理士費用の相場は?依頼するメリットや注意点を解説
税務調査の通知が来たら、誰しもが不安になると思います。 もし、通知が来てしまったら、どのような手続きや方法でどう対応したらいいか分からない方がほとんどではないでしょうか。また、手続きの流れが分かっても、膨大な時間と手間がかかり、精神的な負担もかかります。 そこで、税金やその手続きに詳しい税理士に立会を依頼するケースもあります。しかし、税理士に依頼するには、当然、費用がかかります。 この記事では、税務調査を税理士にする場合の費用、依頼するメリットや注意点を解説します。ぜひ、最後までご覧ください。 税務調査とはどのようなものなの? そもそも税務調査とは、徴税機関が我々納税者の申告内容に誤りがあった場合に、訂正を求める調査のことを言います。この調査は主に、国税庁及びその地方支局である国税局、国税事務所、税務署などにより行われています。法人のイメージが強いかもしれませんが、個人事業主でも税務調査を受けることがあります。 確定申告は自ら申告するので、その内容や税金の金額を間違えてしまう場合もあります。中には、悪質な納税者によるウソの申告により、不当に納税を免れようとする場合もあります。そこで、納税者の間で不公平が生じないように、納税の義務が果たされていないとされる納税者に対して、誤りを正す為に、税務調査が行われます。 税務調査の税理士費用の相場は? 税務調査を税理士に依頼するとき、気になるのが依頼にかかる費用です。 費用(報酬)は主に、以下の3つに分類されます。 ・事前準備の対応 ・税務調査当日の立会い ・修正申告になってしまった場合の代行 それぞれ解説していきます。 まず、事前の準備にかかる費用で4〜6万円ほど必要になります。 また、税務調査の立会いに必要な費用は、日当制で約3〜5万円×調査日数で算出されるのが相場とされています。調査日数は平均で、1〜2日とされています。 さらに、税務調査後に修正申告が必要になり、その手続きも依頼される場合は、プラスで10〜20万円ほどが必要になる場合があります。 遠方から依頼の場合、税理士に現場まで直接足を運んでいただくケースもありますが、その場合は、必要に応じて交通費や宿泊費も支払うことになります。また、内容や企業の規模によっては、準備に数日かかることもあり、費用がかさむ場合があるので注意が必要です。 ただし、これはあくまで相場になります。料金は税理士によって異なりますので、依頼するときは事前に見積りをすることをおすすめします。 税理士に依頼する3つのメリット 税務調査において、調査の対象者には細かく説明が求められます。会計、税務に詳しくないと、伝え方があやふやになってしまったり、調査官に事情がうまく伝えられないことがあるでしょう。結果として、そのことが原因で、修正申告をしなければならない可能性もあります。 そこで、調査官と対等に話ができる税理士に依頼することを考えるのです。ここでは、税理士に依頼した際のメリットについて3つご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。 ①調査が長引かない 納税者自身で対応した場合、調査官との話し合いのなかで意見が折り合わず、調査が長期化してしまうことがあります。そのため、税理士に立会いを依頼することで、意見の食い違いにならないように交渉してもらうことができるほか、書類の不備を指摘された場合に、速やかに対応できるため調査が長引くことがなくなります。 ②不要な追徴課税を避けれれる 税務調査の立会いを税理士に依頼することにより、不要な追徴課税がなくなる可能性があります。例えば、経費の内容についての詳細を聞かれた際、正しく書類を記入していても、根拠を明確にすることができなかったり、焦ってしまい曖昧な回答をしてしまうと、経費計上を否認されてしまうことがあります。そうなってしまうと最悪な場合、本来納める税金に追加で加算税などを納めなければならなくなります。これが、追徴課税です。 ですが、税理士であれば調査官とのやり取りに慣れていますので、税法に沿った具体的な根拠をきちんと説明することができます。経費の計上や申告した内容が否認される可能性を低くすることができ、不要な追徴課税を回避することができるでしょう。 ③税務調査官とのやり取りを任せられる 顧問税理士がいる場合は、通常税務調査の前に税理士に連絡がいくことになります。調査後の日程調整や、調査当日の調査官とのやり取りを税理士の方が行うため、依頼者である納税者の負担は大きく減らすことができます。対応にかかる時間の削減だけでなく、納税者の個人の心理的な負担も軽くなります。 税理士を選ぶ際の3つの注意点とは ここまでは、税務調査を税理士に依頼するメリットをご紹介してきました。ここからは、税理士を選ぶ際の注意点を3つご紹介します。是非、参考にしてみてください。 税理士事務所の所在地 注意点の1つとして、依頼しようとしている税理士事務所の所在地の確認があります。税理士事務所が近所であれば、速やかに顔をあわせて相談することができます。顧問契約を結ぶ場合は、お互いのオフィスや、自宅から距離が近いと定期的に打合せをすることができるでしょう。 一方で、遠方の税理士事務所に依頼してしまうと、費用の相場の部分でも説明したように、税理士の方から現場に足を運んでもらった場合に、交通費や宿泊費等を負担しなければいけない場合があったり、納税者の方が税理士事務所に訪問することになったときにも、自身の交通費と宿泊費が発生する為、税理士事務所の選定には注意が必要です。 税理士の得意分野の見極め 税務調査で税理士を依頼しようと思っても、下調べなしに依頼することはとてもリスキーです。税理士にも得意・不得意な分野があります。どの税理士も税務調査に強いというわけではありません。しっかりと対応してもらうためには、税務調査に強く、実績のある税理士を選ぶ必要があります。 万一、税務調査の経験や実績がない税理士に依頼してしまうと、調査官とのやり取りがうまくいかなかったり、書類に不備があっても気づくことができない場合がありますので、事務所のホームページを見て、しっかりと見極めることが大切です。 納税者の立場になって対応ができるか 税務調査は、強制ではなく、納税者の任意に基づいて行われていることが多いです。ですが、実際のところ税務調査は断ることができないに等しいです。とはいえ、任意調査である以上、納税者の意思を無視して行うことはできません。 実際、調査官の中には威圧的な態度をとったり、税務調査に直接関係のないプライベートに関する資料の開示を求める方も少なくありません。 そのような調査官にあたった場合でも、納税者の立場になって意見・反論してくれる税理士であれば安心して調査を終えることができるでしょう。 税理士とのやり取りの段階で、この税理士は親身になってサポートしてくれるかを見極めることがポイントになってきます。 自身に合った顧問税理士を見つけよう このように、税務調査に対する税理士の依頼費用は、税理士によって異なります。ですが、人が動いているため決して安価なものではないので、しっかりと見積りをとって比較することをおすすめします。そのうえで、自身に合った税理士を見極めることが大切になります。 また、税務調査は物理的な負担と精神的な負担がとても大きいので、苦手意識のある方は、迷わず相談しましょう。ですが、税務調査を得意とする税理士のなかでも、しっかりと対応してくれる税理士を選ばないと、修正申告の対象となったり、追徴課税を作ってしまう場合もあるので、見積りの段階や、相談の際の税理士の人柄をきちんと見て、自身の希望に応えてくれる税理士を選びましょう。 税理士法人プロゲートは、税務調査相談や立会い、税務書類の作成・税務申告・相談を承っております。仙台市近辺の方や、宮城・山形県内の方でもご相談を受け付けております。 税務調査対策として記帳代行をお願いしたい方や、税務申告書のタックスプランニングをしてほしい方、初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。
【まとめ】会社設立に必要なこと!手順や書類について解説
会社設立を考える人の中には「何から始めたらいいの?」「手続きの方法は?」と悩まれている方も多いでしょう。まずは、設立に必要な基本的なステップを理解し、順番に進めることが大切です。 この記事では、「会社設立に必要なこと」をまとめていきます。法人化のメリット・デメリットについても紹介していますので、起業する際の参考にしてください。また、各種手続きには専門的な知識が必要ですので、わからない点があれば専門家に相談するのも良いでしょう。 関連記事:仙台市|会社設立をするなら専門家に依頼するべき?失敗しない方法や創業サポートについて 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 会社を設立する為にやるべきこと 会社を設立するには、準備が必要です。まず会社を設立するにあたって、「どのような目的で会社を設立するのか?」を決める必要があります。その後、目的を決めた上で、開業前に事業計画を作ることが重要です。 会社を設立する目的を決める 会社を設立するにあたって最も重要なことは、「会社を設立する目的」です。目的が定まっていないと、開業したとしても「何のために事業をするのか?」「目指すべき事業の道筋」などが明確にならないからです。目的が明確にならないと、今後の事業展開にも影響が出てきます。 また、定款を作成する際には、あらかじめ事業目的が決まっていないと作成できません。 これらの点からも、まず、会社設立の目的を考えることから始めてみてください。また、会社法は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社という4つの形態を認めています。いずれかを選ぶ必要がありますが、株式会社や合同会社が選ばれるケースが多いです。 事業計画書を作成する 会社を設立するにあたって事業計画書の作成は必須事項ではありませんが、事業展開を進めていく上で重要になってきます。また、金融機関からの融資を受ける際でも必要になります。金融機関の立場からすると、事業計画が曖昧な会社に融資しようとは思いません。 外部からの信頼を得るという点でも、自分自身の考えを整理するという点でも事業計画書の作成が望ましいのです。 会社設立を判断するポイント 会社を設立するには、それなりの手間と費用がかかります。個人事業主ではなく、法人化して会社を経営するには、いくつかのポイントがあります。これから紹介するポイントをよく考えて判断しましょう。 事業の拡大を検討 事業の拡大を考えている場合は、法人化し会社を設立すると良いでしょう。理由としては、法人化することで社会的信用を得やすくなるからです。このことは、今後の事業展開にも繋がります。 人材を雇用したい場合 事業拡大を図る際には、新たな人材(従業員)の雇用が必要です。人材を雇用する時にも、個人事業主より信頼性の高い法人の方が、採用活動を円滑に進められます。 資金調達を考えている 自己資金が足りないときや新たな事業を展開するには、外部から資金調達しなければなりません。個人事業主でも銀行融資を受けることは可能ですが、株式会社などの会社形態であれば、銀行融資以外にも投資家から出資を受けたりなど資金調達の幅が広がります。 会社設立をする6つのメリット 法人化することで、さまざまなメリットがあります。この項では、6つのメリットとして、以下に紹介していきます。 ①社会的な信用を得られる 前述の通り、会社を設立することで、社会的信用を得られます。また、取引する際にも、法人のほうが有利になるでしょう。企業によっては、法人以外とは取引しない場合もあります。さらに、人材を雇用する際にも、法人の方が信頼されるので有利です。 ②法人口座やクレジットカードが作れる 法人として口座を持つことで、会社の資金管理がしやすくなります。また、法人の方がクレジットカードの利用限度額が高く設定されていたり、金利面でも優遇措置などがあるので便利です。取引先からの支払いも専用の口座から行えるため、会社の資金管理が簡単になります。 ③資金調達で有利 法人として会社を設立することで、銀行や投資家からの信頼性も高まります。信頼性が高まることで、銀行や投資家から融資や投資など資金調達が期待できるでしょう。 ④決算月を設定できる 個人事業主の場合、事業年度は1月〜12月までと決まっています。一方で、法人の場合は自由に決算月を決めることが可能です。そのことで自社の繁忙期を避けたりもできるでしょう。 また、決算処理には税理士が関与することがほとんどなので、税理士の繁忙期を避けることで、税理士も決算処理に余裕をもち取り組んでくれるでしょう。 ⑤社会保険に加入できる 法人として会社を設立することで、社会保険への加入が可能です。健康保険や厚生年金、労災保険などの加入もできるので、福利厚生が充実します。福利厚生が充実することで、新たな人材の雇用の面でも有利になるでしょう。 ⑥節税面で有効 個人事業主と法人では、課税される税金の仕組みが違います。個人事業主は所得税、法人は法人税が課せられます。個人事業主の税率は累進課税なので、所得が増えると税金も高くなり最大45%の税率となります。 一方で法人の税率は、資本金1億円以下所得が800万円以上の税率が23.20%、800万円以下なら15%以下です。所得が増えても最大の税率に違いがあるので、会社設立による節税効果が期待できます。 会社を設立すると、給料は役員報酬として受け取るので、経費と見なされ法人税の対象外となります。さらに法人の場合は経費の幅も広く、青色申告書を提出することで赤字を10年間繰越できる点も、節税面で有効です。 国税庁|所得税の税率 国税庁|法人税の税率 会社設立をする3つのデメリット 前項で会社設立のメリットをご紹介しましたが、当然デメリットもございます。ここでは、会社を設立することによるデメリットを3つ挙げます。 ①会社設立には費用や手続きなどコストがかかる 会社設立には、さまざまな費用や手続きが必要です。認証手数料や定款に必要な収入印紙代、登記時に登録免許税など法定費用がかかります。会社設立にかかる費用は以下のようになります。 株式会社:245,800円~ 合同会社:103,500円~ ※書類定款認証の場合。 株式会社合同会社定款認証手数料約5万円(紙、電子同一)※資本金によって異なる。定款印紙代4万円(紙)※電子定款の場合0円4万円(紙)※電子定款の場合0円定款の謄本手数料約2,000円(紙、電子同一)登録免許税15万円~(※資本金額×0.7%、または15万円のどちらか高い方)6万円~(※資本金額×0.7%、または6万円のどちらか高い方)実印の作成費約3,000円~約3,000円~印鑑証明書300円×枚数登記事項証明書500円×枚数500円×枚数資本金1円~1円~専門家への費用約2~5万円約2~5万円 ②事務作業の負担が増える 会社を設立すると、個人事業主よりも会計や税務に関する作業が増えます。また、法人税の申告は確定申告とは違い複雑なので、専門家に委託するとなるとその費用も必要です。 ③赤字でも法人住民税がかかる 個人事業主の場合は、決算が赤字で所得が一定以下だと住民税は非課税です。しかし、法人の場合決算が赤字でも、最低7万円の法人住民税の納税が必要となります。 総務省|法人住民税 会社設立後押さえておくべき注意点 ここまでの内容で法人化すべきタイミングやメリット、デメリットについてはご理解頂けたかと思います。しかし、会社設立はゴールではありません。ここでは、設立後の注意点を紹介していきます。 会社と個人の資金を区別する 会社設立後は、会社の資金と個人の資金の区別を明確にしましょう。個人事業主の場合は、事業で得た収益は事業主の自由です。しかし、会社では私的な理由で会社のお金を使うことはできません。 会社経営ではお金の管理は重要です。会社の信用にも関わる問題なので、それぞれの資金を十分把握し、徹底した管理を行いましょう。 会社解散時にも費用が必要 会社設立には費用が必要ですが、会社を解散する際にも費用がかかります。具体的には、解散・清算人選任登記や清算終了登記になります。設立時点でここまで調べる人もいないと思いますが、知っておいて損は無いでしょう。 独立開業への主な流れと概要 実際に会社設立を行う場合は、どのような流れになるのでしょうか。会社設立にはさまざまな手続きや書類の準備が必要です。そのため、スケジュールを決めて計画的に取り組むことが重要です。会社設立の流れとしては、以下の6つのステップがあります。これからそれぞれについて説明しますので、参考にしてください。 ステップ① 会社の基本概要を決める ステップ② 会社用の印鑑を作成する ステップ③ 定款を作成する ステップ④ 公証役場で定款の認証をする ステップ⑤ 資本金の払い込みをする ステップ⑥ 登記申請をする ステップ① 会社の基本概要を決める 会社設立に必要な基礎情報として、以下の7項目があります。これらの項目について説明しますので、参考にしてください。 ・商号 ・事業目的 ・本店所在地 ・資本金 ・会社設立日 ・会計年度 ・役員・株主の構成 商号 商号とは会社の名称(名前)となり、会社名となります。設立後に会社名を変更することも可能ですが、変更登記の手続きが必要なので、その点には注意が必要です。 商号を決める際に注意する点として、「他社に似た会社名にしない」ようにしましょう。紛らわしい名称(名前)や類似した社名のケースでは、最悪の場合、損害賠償を求められることもあるので注意してください。 類似した会社名を避けるためにも、法務局や登記情報提供サービスなどで、事前によく確認することをおすすめします。また、会社名が商標登録されているケースもあるので、その点にも注意が必要です。 事業目的 会社がどのような事業をするのかを定めたものです。事業目的は、定款に記載される重要事項なので、定款に記載されていない事業は、原則として行えません。 事業目的を記載する際に、記載する数に制限はありません。しかし、あまりにも多くの事業を記載すると、何をしている会社かわからなくなります。 何をしている会社かわからないと、社会的信用にも影響が出てきます。その点をよく考えて、事業目的を決める必要があります。 本店所在地 会社やオフィスの所在地となる住所で、法人登記する際に必要です。本店所在地はどこにでも設定できますので、自宅でも問題ありません。ただし、移転などで所在地を変更する際には、変更登記が必要です。会社本拠地となる法的な拠点でもありますので、よく考えて決める必要があります。 本店所在地をどのような場所・物件にするかで、取引先や金融機関などの信頼にも関わるので、その点を十分考慮して決めましょう。近年では、バーチャルオフィスの住所も本店所在地として設定できるようです。 資本金 事業を運営していくための資金であり運転資金となります。資本金は1円からでも設定可能ですが、資本金は社会的信用にも影響があります。資本金が少ないと安定して事業を進められない場合もあるので、無理のない金額を設定する必要があります。 株式会社の場合は、株主や投資家などの出資者から調達した資金が資本金になりますが、創業時は出資者が居ないケースが多く出資を受けることが難しいでしょう。そのため、経営者(発起人)の個人資金から捻出されるので起業する際には、資本金準備も必要です。 会社設立日 会社設立の法人登記申請をした日です。希望の日付けにしたい場合は、法人登記申請する日から逆算して準備しましょう。 会計年度 会計期間は、決算書を作成する上で対象となる期間です。会計期間で計算した損益を元に、納める税を算出します。その区切りとして、会計年度があります。会計年度は自由に設定できますが、一般的には4月1日〜3月31日の期間を定めるケースが多いです。 役員・株主の構成 株式会社を設立する場合は、役員の人数や株主の構成を決めないといけません。また、株式会社では最低1名の取締役と監査役が必要とされています。ただし、中小企業などの株式譲渡制限会社や取締役会を設置しない場合、監査役は必要ありません。 ステップ② 会社用の印鑑を作成する 会社設立には、法務局で商業登記する必要があります。法人登記の際に実印が必要です。印鑑は重要な書類に押印する実印になるので、印鑑の管理には十分注意しなければなりません。また、実印の作成は、専門の業者に依頼し作成してもらいます。 ステップ③ 定款を作成する 定款とは、事業内容や本店の所在地などを記した書類です。定款は重要な書類なので、記載する内容や書式に細かなルールが決められており定款の作成は複雑な作業です。 定款の記載内容に不備があった場合は、定款が無効になってしまうので、司法書士に相談・依頼することをおすすめします。 関連記事:【会社設立】定款の事業目的の書き方を一覧で紹介! ステップ④ 公証役場で定款の認証する 株式会社の場合は、作成した定款を公証役場で認証を受けなければなりません。一方、合同会社設立の場合は、公証役場での定款の認証は必要ありません。 認証手続きは予約制になっているので、本店所在地の公証役場に連絡し、事前に日時を決める必要があります。定款の認証手続きに必要な書類は、以下の通りです。 ・定款3部 ・発起人全員の印鑑証明(3ヶ月以内に発行されたもの) ・発起人全員の実印 ・謄本代 ・収入印紙 ・実質的な支配者になる人の申告書 ・委任状(代理人が申請する場合) ステップ⑤ 資本金の払い込みをする 資本金の払い込みは、発起人個人の銀行口座です。発起人が複数名いる場合は、発起人総代の銀行口座に払い込みます。銀行口座の種類は、普通預金口座で問題ありません。 関連記事:会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説 ステップ⑥ 登記申請をする 会社設立に必要な書類を準備し、登記申請を行います。登記申請の方法と、登記申請に必要な書類について説明します。 登記申請の方法 提出場所は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。提出方法として、以下の方法があります。 窓口に持参 郵送 オンライン申請 法人設立ワンストップサービス 登記申請は、申請書類に不備がなければ10日程度で完了します。不備があった場合は、法務局から連絡がありますが、登記完了の連絡はないので注意してください。 会社設立時に必要な書類とは 株式会社と合同会社では、設立時に必要となる書類にいくつかの違いがあります。「必要な書類」と「場合により必要な書類」の一覧を以下表にまとめましたので参考にしてください。 株式会社合同会社必要な書類・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・設立時取締役就任承諾書・資本金の払込を証明する書面・印鑑届出書・本人確認証明書・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・資本金の払込を証明できる書面・印鑑届出書場合により必要な書類・発起人の同意書・設立時代表取締役就任承諾書・設立時監査役就任承諾書・設立時取締役・監査役の調査報告書・資本金額の計上に関する証明書委任状・代表社員の就任承諾書・登記事項証明書・職務執行者の選任の書面・職務執行者の就任承諾書・資本金に関する代表者社員の証明書委任状 必要な書類 登記申請書 法務局に登記申請する際に必要な書類です。内容に不備があった場合、登記拒否の対象にもなるので正確な情報を記入するよう注意してください。 登記事項を記載した書類 登記簿に記載されている内容を記載した書類です。データでも提出できるので、その場合はCD-RまたはDVD-Rにファイルを記録して提出します。オンライン申請の場合はデータを提出します。 定款 会社の基本的なルールを明記しています。「会社の憲法」とも呼ばれている会社を設立する上で重要な書類になります。定款がなければ会社を設立することができません。また、許認可が必要な事業を行う場合は、定款に記載されていない事業を行うことができません。 定款で記載する内容事項は大きく3つに分けられます。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」それぞれの内容をよく理解して定款を作成することが非常に重要です。 設立時取締役就任承諾書 取締役として選任された人が、取締役に就くことを承諾した意思を証明する書面となります。設立時取締役承諾書には、選任された日付、役職名、就任を承諾する旨、作成日、選任された人の氏名、住所が記載されます。 資本金の払込を証明できる書面 資本金の払込を証明する書面になります。金銭での出資の場合は銀行口座の名義人と、全ての払込の日付・金額が確認できる通帳のページを印刷・コピーして添付します。 印鑑届出書 会社で使用する印鑑は印鑑登録しないといけません。印鑑届出書は、会社で使用する印鑑を法務局に届け出る際に必要な書類です。法務局で登録することで、印鑑証明書の交付申請ができます。 本人確認証明書 住民票記載事項証明書(住民票の写し)、運転免許書などの本人確認証明書になります。 場合により必要な書類 発起人の同意書 定款に、発起人が割り当てられる株式数や払込む金額、株式発行や発行可能株式総数などが定められていない場合に必要です。 設立時代表取締役就任証明書 代表取締役を選任する場合に、代表取締役となる人が就任する事を承諾したことを証明する書類です。 設立時監査役就任証明書 監査役を置く場合に、就任する人が就任を承諾した事を証明する書類になります。 設立時取締役・監査役の調査報告書 現物出資がある場合には、特別な手続きが必要となります。現物出資とは、金銭以外の財産を出資することです。株式会社の場合、出資した金額に応じて公正・平等に株式を受け取ることになってます。現物出資の場合、金額がはっきりしないため、トラブルになる可能性があります。そのリスクを避けるためには、調査報告書が必要です。 資本金額の計上に関する証明書 資本金額が正しく計上されていることを証明するために、登記申請などの手続きの際に法務局に提出する書類です。資本準備金の計上や現物出資をする際に必要となります。 委任状 代理人による登記申請をする場合に、手続きの代行を委任する為の書類です。 代表社員の就任承諾書 定款に代表社員を明記しない場合などに必要になります。代表社員となる人が、代表に就任することに同意していることを証明する書類になります。代表社員を複数名置く場合には、その人数分を用意する必要があります。 登記事項証明書 代表社員が法人である場合に必要な書類になります。 職務執行者の選任の書面 代表社員が法人であった場合に、業務執行の決定期間で選任したことが証明された書類を添付すした書類です。 職務執行者の就任承諾書 代表社員が法人であった場合、就任を承諾したことを証明する書類です。 関連記事:合同会社の設立期間は?株式会社との比較や設立の手順も解説 会社設立後に必要な各所での手続き 税務署 会社を設立したら、税金を納めるために税務署に法人設立届出書を提出しなければなりません。法人設立届出書を提出することで、会社を設立したことを税務署に知らせられます。この書類は会社設立時に必ず提出する必要があるため、忘れないよう注意しましょう。下記で紹介するその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 青色申告の承認申請書 給与支払事務所等の開設届出書 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書 各都道府県税事務所・市町村役場 法人設立届出書は、税務署だけでなく、各都道府県の税事務所や市町村役場にも提出する必要があります。その他、以下の書類を必要に応じて提出しなければなりません。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 定款のコピー 登記事項証明書 年金事務所 健康保険や厚生年金などの社会保険に加入するためには、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を必ず提出しなければなりません。この届出は、1人だけの会社でも加入義務があるため、事実発生から5日以内に提出する必要がありますので注意してください。下記に記載のその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 <場合によって必要> 健康保険被扶養者(異動)届 労働基準監督署 従業員を雇う際には、労働保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 労働保険の保険関係成立届 労働保険の概算保険料申告書 就業規則(変更)届 適用事業報告書 ハローワーク 従業員を雇う際には、雇用保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格届 スムーズな会社設立には相談を! いかがでしたでしょうか。 ご自身で会社設立をされるという方に、本記事が参考になれば幸いです。 ただ、会社設立には、定款の作成や登記申請などさまざまな手続きが必要で「自分でやるには面倒」「自信がないので相談したい」と思われた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。当然、スムーズで不備のない会社設立を進めるには専門的な知識も必要です。 税理士法人プロゲートでは、仙台市内を中心に「会社設立支援200社以上の実績」がございます。それぞれの事業計画に沿った会社設立、税務サポートを行っておりますので、少しでも気になる方は、是非お気軽にご相談ください。 関連記事:サラリーマンが在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介!
【解説】社会保険はいつまでに手続きをしたらよいのか?
会社を設立してから多くの手続きがありますが、社会保険の加入手続きの作業もその内の1つです。 手続きをしない場合、本来よりも多くの社会保険料を払ってしまったり、罰金が発生してしまったり、会社の社会的信用を落としてしまう可能性もあります。 また、従業員を採用したときに行う手続きの中には期限が決められているものもあり、期限までに手続きを終えないと、社員の労働環境や生活に支障をきたす場合もあるので、より迅速な対応が求められます。 しかし、「原則手続きはどの時期に行えばいいのか」「何の手続きをしたらよいのか」「手続きには何が必要なのか」と思う方も多いでしょう。 この記事では、社会保険とは何なのか、加入する理由や加入する条件などの詳細を解説します。 社会保険は危機に備える公的な保険 社会保険とは、病気やケガ・失業など、生活する上での危機に備える公的な保険のことです。 以下の5種類はまとめて広義の社会保険と呼ばれることが多く、健康保険・厚生年金保険・介護保険を狭義の社会保険、雇用保険・労災保険は労働保険と呼びます。 健康保険(医療保険):民間企業に勤めている人、その民間企業に勤めている人の家族が加入する医療制度 厚生年金保険(年金保険):厚生年金保険が適用される企業の会社員や公務員が加入する公的な年金制度 介護保険:介護が必要な人が給付金やサービスを受けられる公的な社会保険 雇用保険:失業時や就労継続困難の際に給付金やサポートを受けられる保険 労災保険(労働者災害補償保険):業務や通勤中のけがや病気、死亡などに対して補償を受けられる保険 社会保険の加入義務がある事業所 社会保険の加入には、加入の義務がある強制適用事業所とそうでない事業所があります。 強制適用事業所に該当する事業所は、被保険者となる従業員を必ず社会保険に加入させなければなりません。 強制適用事業所にあたる事業所とは、被保険者が1人以上いる法人事業所、また常に5人以上を雇用している個人事業所です。ただし、5人以上の雇用をしている個人事業所でもサービス業の一部や農林水産業、畜産業などは強制適用事業所には含まれません。また、学校法人事業所の場合は、社会保険ではなく私立学校教職員共済制度に加入します。 強制適用事業所に当てはまらない事業所でも任意適用事業所として、社会保険に加入するという方法もあります。 社会保険の適用を除外されるのは、日雇い、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される人、所在地が安定しない勤務先に勤める人、4ヶ月以内の季節的業務に雇用される人、6ヶ月以内の臨時的事業に雇用される人などが該当します。 ただし、日雇いや2ヶ月以内の契約、季節的業務、臨時的事業に就いている人でも、継続して雇用される見込みがある場合には被保険者となります。 このように、一部の業種と短時間労働者を除き、継続的に事業所に雇われている人のほとんどは社会保険に強制加入になるといえるでしょう。 社会保険に加入しないとどうなるの? 社会保険に加入すべき事業所が加入しないまま放置していると、思わぬリスクを負うことになってしまうことも少なくはありません。 会社設立後には早急に社会保険への加入手続きをするべきですが、万が一、遅れた場合だと次のようなリスクが挙げられます。 ・国や地方自治体の助成金を受給できない場合がある・最大で過去2年分の保険料を追徴される・損害賠償を請求される可能性がある 国や地方自治体の助成金を受給できない場合がある 社会保険に加入していない場合、国や地方自治体の助成金を受給できない場合があります。 さらに、社会保険の適用事業者にもかかわらず、加入していない場合、健康保険法第208条によって罰金の支払いの義務が科される恐れがあります。このように関係法令を遵守していないと、助成金の申請条件を満たしません。 助成金の受給を検討しているのであれば、社会保険の加入手続きはきちんと済ませておきましょう。 最大で過去2年分の保険料を追徴される 社会保険の適用事業者なのに加入していない場合、年金事務所の調査によって未加入であると発覚することがあります。その場合、最大で過去2年分の社会保険料が追徴されます。 その間に退職した従業員がいれば、会社が全額負担しなければならなくなるので、本来よりも負担額が増えるでしょう。 また、健康保険法第208条によれば、加入義務があるにもかかわらず社会保険に加入していない場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されると記載されています。 これらのリスクを踏まえると、適用事業者であれば会社設立後は速やかに社会保険に加入すべきだと言えるでしょう。 損害賠償を請求される可能性がある 社会保険に未加入である場合、従業員から損害賠償を請求されるケースが見られます。 例えば、厚生年金保険料を支払っていなかったら、従業員が将来もらえる年金額は減少します。会社に社会保険への加入義務があった場合、会社側の過失となってもおかしくありません。 社会保険に未加入の状態は、従業員にとって不利に働くことも多々あります。損害賠償を請求されると、会社の社会的信用も危うくなってしまいます。 社会保険に加入するときの条件 従業員は、週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ1ヶ月の所定労働日数が常に雇用されている従業員の4分の3以上である場合は、社会保険に加入しなければいけません。 すべての法人の事業所は、国が法律で定めた保険に加入しなければならず、事業所ごとに保険が適用されます。 適用事業所という社会保険の適用対象となる事業所があり、強制適用事務所および任意適用事業所の2種類に分けられます。以下よりそれぞれ紹介していきます。 強制適用事業所 強制適用事業所とは、事業主や従業員の意志に関係なく、法律により加入が定められている事業所のことです。 強制適用事業所にあてはまる事業所は次の通りです。 ・常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(飲食店や理美容業、農林漁業などを除く)・常に従業員を1人以上使用する法人の事業所 任意適用事業所 任意適用事業所とは、強制適用事業所とならない事業所で厚生労働大臣の許可を得て、健康保険・厚生年金保険の適用となった事業所のことです。 事業所で働く半数以上の人が適用事業所になることに同意し、管轄の年金事務所か事務センターで事業主が申請を行います。 申請が受理され、厚生労働大臣の認可を受けると適用事業所になれ、加入義務がある従業員全員の健康保険・厚生年金保険への加入が必須になりますので、同意しなかった従業員も、加入義務がある場合は加入しなければならないことになります。 保険の給付や保険料は、強制適用事業所と同様です。 なお脱退する場合は、被保険者の4分の3以上の同意が必要です。同意を得て、事業主が脱退の申請を行い、厚生労働大臣の許可を受けることで適用事業所の脱退が可能になります。 社会保険の加入手続きは?? 事業所の社会保険への加入手続きは、日本年金機構の事務センターか年金事務所で手続き可能です。 以下の表は、事業所別に加入手続きの提出期日や提出書類、提出先をまとめたものです。 事業所提出期日提出書類提出先強制適用事業所会社を設立してから5日以内・健康保険、厚生年金保険、新規適用届・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届・健康保険、被扶養者(異動)届・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書・その他各種添付書類事務センター管轄の年金事務所任意適用事業所半数以上の従業員の同意を得た後・健康保険、厚生年金保険、任意適用申請書、同意書・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届・健康保険、被扶養者(異動)届・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書・その他各種添付書類事務センター管轄の年金事務所 参考:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧」 社会保険の手続きは事務センターか管轄の年金事務所に提出する形が一般的ですが、近年は電子化により、電子申請での加入手続きも可能になっています。 なお、2020年4月より、資本金等の額が1億円を超える特定の法人・相互会社・投資法人・特定目的会社は、電子申請での手続きが義務づけられているので注意しましょう。 加入に必要な書類 社会保険に加入するには、次の書類の作成が必要です。 強制適用事業所の場合に必要な書類 健康保険・厚生年金保険、新規適用届 健康保険・厚生年金保険、被保険者資格取得届 健康保険・被扶養者(異動)届 健康保険・厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書 その他各種添付書類 任意適用事務所の場合に必要な書類 健康保険・厚生年金保険、任意適用申請書、同意書 健康保険・厚生年金保険、被保険者資格取得届 健康保険・被扶養者(異動)届 健康保険・厚生年金保険の保険料口座振替納付申出書 その他各種添付書類 また、事業所によって添付書類の内容は異なりますので、当てはまる事業所にあわせて書類の用意をしましょう。 健康保険・厚生年金保険新規適用届には次の書類も必要です。 事業所添付書類法人事業所・法人(商業)登記簿謄本法務局のホームページから交付請求が可能事業主が以下である場合・国・地方公共団体・法人・法人番号指定通知書のコピー国税庁法人番号公表サイトで確認した法人情報のコピーでも〇強制適用事業所にあてはまる個人事業所・事業主の世帯全員の住民票(原本) 参考:日本年金機構「新規適用の手続き」 加入手続き期限と提出先 前述の通り、社会保険への加入手続きの期限は、会社設立してから5日以内に行わなければなりません。 手続きは、必要書類を年金事務所に提出すると完了になり、次の3つの方法で行えます。 ・電子申請→提出先欄で事業所の所在地を管轄する年金事務所を選択・郵送→事業所の所在地を管轄する年金事務所・事務センター・窓口→事業所の所在地を管轄する年金事務所 マイナンバーの取り扱いについて 従業員の社会保険や労働保険などの各種保険や税金の手続きを行うために、マイナンバーを提供してもらう場合があります。 近年は入社する際にマイナンバーを提出する会社も増えていますが、マイナンバーは特定個人情報にあたるため取り扱いには注意が必要です。 なお、扶養家族がいる従業員の場合は、本人以外に扶養家族のマイナンバーも必要です。従業員からマイナンバーを提供してもらう際は、利用目的を明らかにすることが法律で定められています。 マイナンバーを提供してもらう方法 マイナンバーを提供してもらう方法は、口頭や番号を転記したメモでの提供は認められず、個人番号確認と本人確認が求められます。 個人番号が確認できる書類は、以下の通りです。 ・個人番号カード・個人番号通知カード・住民票 個人番号カードは本人確認書類としても利用できるため、個人番号カードのみで提出が可能です。 個人番号通知カードと住民票の場合は、本人確認として、運転免許証やパスポートなどの身分証明書の提出が必要です。 マイナンバーは特定個人情報にあたるため、情報管理には注意が必要で、マイナンバーの取扱者が個人番号を盗用、第三者へ提供した場合、最大4年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。 社内のマイナンバー取扱者の限定や、管理システムの導入、活用など、情報漏洩が起こらないよう適切な管理を行いましょう。 社会保険に加入しなくてよい場合 会社を設立すると、必ず社会保険に加入しなければならないというイメージがありますが、例外もあります。 以下の2つの場合は社会保険への加入は不要です。 ・従業員がいない1人社長で役員報酬がゼロの場合・パートやアルバイトを雇用する場合 従業員がいない1人社長で役員報酬がゼロの場合 会社を設立し、1人社長で会社から役員報酬を受け取らない場合、社会保険に加入しなくても構いません。 なぜなら無報酬の役員しかいない法人は、社会保険の適用事業所の要件を満たさないためです。報酬がゼロの場合、給与から天引きできないので、年金事務所から加入を断られる場合もあります。 その場合、国民健康保険と国民年金に加入することになります。 パートやアルバイトを雇用する場合 パートやアルバイトの従業員は、社会保険に加入しなくてよい場合があります。 被保険者数が101人未満の企業で働いていて、以下の条件のどれかに該当するパートやアルバイトの従業員です。 ・週の所定労働時間が30時間未満・月額賃金が8.8万円を超えない・雇用期間が2ヶ月以内の見込み・学生 ただし、2024年10月以降は被保険者数の条件が厳しくなる予定なので、今後の制度改正に注意しておきましょう。 よくある質問|5つご紹介します 会社設立後の社会保険に関するよくある質問を5つ紹介します。 会社設立後に社会保険の適用事業所になった日から5日過ぎた場合はどうなりますか? 会社設立後に社会保険に加入しました。保険証はいつ届きますか? 社員の入社手続きに必要な書類は? 社会保険に加入する人の条件は? アルバイト・パートでどれぐらい出勤したら社会保険の対象となる? 会社設立後に社会保険の適用事業所になった日から5日過ぎた場合はどうなりますか? 会社設立から5日経過していても遡って加入できます。 必要書類を揃えるのに準備が必要なので、年金事務所に問い合わせて早急に手続きを済ませましょう。 会社設立後に社会保険に加入しました。保険証はいつ届きますか? 協会けんぽの場合、社会保険の手続きが完了してから2週間ほどで保険証が事業主に発送されます。ただし、3月・4月の繁忙期には3週間ほどかかる場合もあります。 保険証が届く前に医療機関で受診する場合は、いったん全額を支払わなければなりません。 あとで申請すれば、自己負担分を除いた医療費が払い戻されます。 社員の入社手続きに必要な書類は? 従業員の入社前に用意しておく書類には以下のようなものがあります。 雇用契約書・労働条件通知書 扶養控除等申告書 健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届 採用通知書(内定通知書) 入社誓約書 これらの書類は返信用封筒を添えて郵送し、署名・捺印後、返送してもらいましょう。 社会保険に加入する人の条件は? 社会保険に加入する対象者は、以下のとおりです。 正社員や会社の代表者や役員など75歳未満の人 70歳未満の以下に該当する人 週の労働時間、1ヶ月の労働日数が同様の業務に従事している 所定労働時間・所定労働日数が正社員の4分の3以上である 以下に該当する短時間労働者 従業員101人以上の企業(特定適用事業所)に勤務している※2024年10月から51人以上の企業に変更予定 1週間の所定労働時間が20時間以上 フルタイムと同様に2ヶ月を超える雇用の見込みがある者 夜間学生、通信制は除く学生ではない者 月額の賃金が8.8万円を超える アルバイト・パートでどれぐらい出勤したら社会保険の対象となる? アルバイト・パートは、月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上である時に社会保険の対象となります。 また、月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上でなくても、次にあてはまる場合は社会保険の加入が必要です。 従業員101人以上の企業(特定適用事業所)に勤務している場合は、1週間の所定労働時間が20時間以上 フルタイムと同様に2ヶ月を超える雇用の見込みがあり、学生ではない(夜間学生、通信制は除く) 月額の賃金が8.8万円を超える 社会保険の手続きはお任せください! 今回の記事では、社会保険の手続きをする理由や加入しないとどうなるのか、社会保険の手続きの条件やポイントをまとめました。 2024年10月には社会保険の適用範囲の拡大も予定されており、特にはじめて会社を設立すると分からないことがよりいっそう増えてくるのではないでしょうか。その際は、状況や必要に応じて顧問税理士に相談してください。社会保険労務士法人プロゲートでは、社会保険労務士以外にも、税理士、行政書士などのプロフェッショナルが在籍しており、ワンストップでご相談に対応させていただきます。また、その他の専門家とのネットワークも広く、当社で対応が難しい場合であっても、適切な専門家をご紹介させていただきます。