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合同会社の設立には、代表社員が2名でも大丈夫?
会社を設立しようと考えている方の中には、初期費用を抑えることや会社の運営に自由度を高めたいという理由から、合同会社を選ぶ方が多いのではないでしょうか。 合同会社は、代表社員が1名でも設立可能ですが、2名でも設立することができます。 会社設立する前に代表社員を1名にするか複数名にするかは、会社の経営方針を左右するため、慎重に検討する必要があります。 この記事では、合同会社を2名以上の代表社員で設立する場合のメリット・デメリット、設立の手続きの流れ、そして注意すべき点について詳しく解説していきます。 合同会社を代表社員2名以上で設立する時の特徴 まずは、合同会社の概要を確認していきましょう。 合同会社は、2006年の会社法改正によって新たに設けられた会社形態です。 合同会社は、株式会社と違い設立が容易で、経営の自由度が高いという特徴を持つ会社形態です。中小企業や個人事業主の方にとって、魅力的な選択肢といえます。 2名以上で合同会社を設立するときの特徴は以下の通りです。 1.所有と経営が分離していない 2.1人1票制度 3.簡単に社員を除名できない 4.出資の払い戻し手続きが大変 社員同士でのトラブルが生じたときに、これらの特徴が原因で解決が困難となる場合があります。それぞれの特徴を紹介していきます。 所有と経営が分離していない 株式会社のように、株主と経営者(社長)が完全に分離していません。合同会社では、出資者がそのまま経営者となるのが一般的です。 合同会社においては、代表社員となるためには、出資をしなければならない仕組みです。 出資者がそのまま経営に参画するため、意思決定が迅速に行え、柔軟な経営が可能になります。 出資者と経営者を分ける構造にしたい場合は、合同会社よりも株式会社や有限会社が適しています。 1人1票制度 合同会社では、基本的に1人の社員が1つの議決権を持ちます。 出資額の多い少ないにかかわらず、意思決定においては、全員が平等な権利を行使できます。 合同会社が定款変更をするときや代表社員の追加、組織変更などの重要な事項を行うときに、社員全員の同意が必要とされる場合が少なくありません。 出資額にかかわらず、社員全員の同意ですので、社員全員がそれぞれが平等な権利を持っています。 定款に別段の定めを置くことで、出資額に応じた議決権を付与する設計が必要と感じるのであれば、株式会社の方がシンプルです。 簡単に社員を除名できない 合同会社では、社員の除名は、全員の同意が必要で簡単ではありません。株式会社のように、株主総会のように株式総会で決議すれば簡単に除名できるのとは対照的です。それほど合同会社では経営者の責任は重く、簡単に除名できないのです。 出資の払い戻し手続きが大変 合同会社から出資を払い戻すには、他の社員の同意が必要となる場合が多く、手続きが複雑になることがあります。 代表社員を2名(複数)で運営するメリットとデメリット ここでは、合同会社を運営する上で代表社員が複数名いることでのメリットとデメリットを紹介していきます。 会社の中での社員同士の信頼関係や業務内容、取引先との関係性、人柄などそれぞれの代表社員が持つ能力や経験を十分に考慮して選択する必要があります。メリットとデメリットを把握した上で、決めていきましょう。 メリット 複数名の代表社員がいる場合のメリットは以下の内容です。 ・出資金額に関係なく、代表社員それぞれが平等な立場 ・権限を明確にしておくことで、スピーディーに意思決定が行える ・代表社員が複数名の場合、各代表社員が契約できる 出資金額に関係なく、代表社員それぞれが平等な立場 複数の代表社員はそれぞれが平等な権利を持ち、意思決定ができます。代表社員が複数名いると、各出資者のノウハウや経験、経営能力を活かすために、事業領域や業務区分ごとに代表社員を設けるというケースも可能です。 権限を明確にしておくことで、スピーディーに意思決定が行える 複数名の代表社員がいることで、意思決定から行動までのプロセスが非常に速くなり、自由な会社経営が可能です。 代表社員が複数名の場合、各代表社員が契約できる 代表社員が複数名いる場合、1人が長期不在の場合でも、他の代表社員が契約を結ぶことができます。他にも日本と海外などのように複数の拠点を設置する場合には、各地の拠点に代表社員を配置することで、現地での契約業務をサポートし、迅速な対応や意思決定を可能にします。 デメリット 複数名の代表社員がいる場合に注意しなければいけない点は、以下の内容です。 ・取引先に誰が会社を代表する人か混乱を招く恐れがある ・代表社員ごとに法人実印がある場合は、勝手に契約される可能性がある 取引先に誰が会社を代表する人か混乱を招く恐れがある 代表社員それぞれが代表者を名乗ることで、取引相手に誰が代表者なのかわからなくなってしまうと不信感を与えてしまいます。ビジネスとは関係ない部分の情報で不信感を与えてしまい、取引がうまく進まないことも考えられます。 代表社員が複数名の場合は、勝手に契約される可能性がある 代表社員が複数名の場合には、代表者ごとに法人実印を登録できるため、勝手に契約される可能性があります。他の社員の同意を得ずに結んだ契約でも有効になるため、注意が必要です。 代表社員を2名以上にする場合の注意点 次に、合同会社を代表社員を2名(複数)で設立する場合の知っておきたい注意点があります。 2人の関係が悪くなる場合や一方と連絡が取れなくなったりすると、会社の経営自体に支障が生じます。そうならないために、信頼できる相手との設立が必須です。 問題が起こる可能性は否定できないため、リスク回避の行動が必要です。 定款を作成する際 前もって想定できるリスクに対しての対策などを定款に盛り込むことも、大切なリスク回避の1つです。 定款は、会社を運営するための基本的ルールです。定款に必要事項だけでなく、会社の形態や現状に合わせた条項を前もって記載することで、将来的に発生する可能性のあるトラブルへの対策ができます。 リスク回避の1つとして、前もって定款に記載することで後から起きる問題への対策が可能になります。 法人の実印を登録する際 代表社員が2名(複数)いる場合、法人実印はそれぞれ別に用意する必要があります。 合同会社を設立する際に、代表社員が法務局に届け出る法人実印です。この法人実印は、1本の印鑑を複数名で共有することは認められておらず、代表社員1名に1つの印鑑とされています。 代表社員が2名(複数)いる場合は、1名で登録するか、複数名で登録するかを選ぶことができます。 どちらも登録する場合は、それぞれの名前で印鑑登録を行うために、別々の印鑑が必要です。 合同会社設立の流れ|5step 最後に、合同会社を設立するための手続きや流れを紹介します。 5つの手順にわけて解説していきます。手続きや書類作成時の参考にしてみてください。 関連記事:合同会社の設立期間は?株式会社との比較や設立の手順も解説 step1 会社の概要を決める 定款を作るために必要な基礎項目の社名や所在地、業務目的、社員構成などを決めます。 社名(商号) 社名(商号)は、会社の顔となる大切なものです。さまざまな決め方がありますが、社名の前後には、必ず合同会社という法人格を入れます。 社名を考えるときには、類似する名前がないか、本店所在地を管轄する法務局で商号調査を行いましょう。個人事業主から法人化する場合は、以前使用していた屋号を引き続き使用することもできます。 公共機関や有名企業などの特定の団体を連想させる名称を使用すると、不正競争防止法により賠償責任を求められる可能性があります。関連のない社名にしましょう。 本店の所在地 本店の所在地は法律上の住所のため、実際の業務活動地とは異なっても問題はありません。 自宅やレンタルオフィスでも可能ですが、後で事務所を移転すると、登記の変更手続きと登録免許税がかかります。不要な費用をかけないために、長期で業務を行える場所を選ぶことがおすすめです。 資本金 資本金が1円からでも設立できますが、資本金が極端に少ない場合は、会社の資本力がないと判断され、融資が受けにくくなる可能性があります。 金融機関の融資を受ける際には、売上のほかに資本金も確認されます。会社を設立した直後で決算書がない場合には、信用度を測る判断材料として資本金の額が確認されます。 決算期 法律で会社は一定期間の収支を整理し、決算書を作成することが義務付けられています。会計年度(事業年度)は、決算書を作成するために区切る年度のことです。 定めるには決算期をいつにするかを決めることが必要で、1年を越えなければ自由に決めることができます。 設立日 会社の設立日とは、法務局に設立を登記申請した日のことで、自由に決められます。設立日にしたい希望日が決まっている場合は、逆算して準備することが必要です。 法務局に郵送で書類を送る場合は、日付指定をしても業務外の日や、書類に不備があると受領してもらえません。このように、指定した日を設立日にできない場合があるので注意が必要です。 業務目的 業務目的では、どんな業務を行うのか会社の事業内容を明確にしましょう。この後で作成する定款で、取引先や金融機関に会社の業務内容を明確に正確に伝えることが目的で記載するため、できるだけ具体的で過不足のないようにしっかり内容を考えましょう。 将来に計画している事業を書くことも大切ですが、あまりにも違う種類の事業ばかり書くことは避けましょう。「この会社は何をやりたいのか」と混乱してしまい、信用できないと判断される可能性もあるため、書き方には注意しましょう。 後から事業目的を変更する場合には、定款と登記の変更手続きが必要になるため、登録免許税として3万円かかります。 社員構成 合同会社を設立する時、代表社員の人数や誰を代表社員として選任するのかといった社員構成を決めます。 代表社員1名から設立できて、株式会社の代表取締役と合同会社の代表社員は同じ役割です。 会社を設立する際には、社員(出資者)全員の印鑑証明書が必要です。 step2 定款の作成 会社の概要が決まったら、会社の規則となる定款を作成します。定款の作成は、会社の将来を左右する重要な作業です。自由度が高い合同会社だからこそ、設立する会社の実情に合わせてしっかり検討し、適切な定款を作成することが大切です。 定款には、必ず記載しなければならない記載事項があります。1つでも記載がないと定款そのものが無効となるので、注意しましょう。 その絶対記載事項は以下の通りです。 ・目的 ・社名(商号) ・本店の所在地 ・社員の氏名または名称、および住所 ・社員全員が有限責任社員であること ・社員の出資目的、価格、評価の基準 上記以外でも定款に定めておけば効力が発生するため、会社独自の事柄や必要なことがあれば、後のトラブルを防ぐためにも記載することがおすすめです。 記載例は以下の通りです。 ・社員の中で業務執行社員、代表社員を定める場合 ・損益配分の比率 ・事業年度 ・社員総会の開催に関する事項 ・社員を除名する方法 定款を作成したら、会社保管用と登記申請用の2部用意します。会社保管用には4万円の収入印紙を貼って会社で保管し、登記申請用は法務局へ登記申請所と合わせて提出するためです。 電子定款で作成する場合、紙媒体ではないため収入印紙代の4万円は不要です。 step3 出資(金銭・現物出資)の履行 合同会社の場合は、定款の認証は必要はありません。定款の作成後は資本金の払い込みを行います。現物出資の場合は、その財産の全部または一部の給付の履行を行います。 出資金は、出資者の預金口座に振り込む際には、まとめて振り込まず、振り込んだ人と金額が明確になるよう振り込む必要があるので注意しましょう。出資者が複数名いる場合には、出資金をまとめる代表者の口座を決め、出資者が1名ずつ出資金を振り込む必要があります。 全ての出資金の払い込みが完了したら、払込証明書を作成します。振り込み先の通帳の表紙や支店名、払い込みがあった明細のコピーなどの裏付け資料が必要です。払込証明書と一緒にまとめたり、全てのページの境目に法人実印で割印が必要です。 step4 設立登記 定款と払込証明書が用意できたら、合同会社設立登記申請書を作成します。登記申請に必要な書類一式と収入印紙6万円(登録免許税は資本金の0.7%の金額で、最低金額が6万円)をそろえて法務局に提出することが必要です。 法務局に登記申請をした日が合同会社の設立となるため、希望日がある場合は平日かどうか確認しておきましょう。法務局は土日祝日と年末年始がお休みなので、平日しか申請できません。 郵送で法務局に書類を送る場合は、日時指定をしても業務外の日や、書類に不備があると受理されません。指定した日が設立日にならないことがあるので気を付けましょう。 step5 設立後に必要な手続き 法務局での登記が完了したら、法人の設立に際して各種届出が必要です。税務署・都道府県税事務所・市区町村役場・年金事務所・ハローワーク・労働基準監督署などへの届出を行いましょう。 税務署・都道府県税事務所・市町村役場 税務署や都道府県税事務所、市町村役場には、法人設立届の提出が必要です。税務署では、青色申告の承認申請書や給与支払事務所などの開設届書などを届け出ることによってメリットがある書類もあります。この手続きを忘れると再度提出に行く必要があるので、一緒に提出しましょう。 年金事務所 年金事務所では、社会保険の加入手続きが必要です。全ての法人会社は、設立と同時に健康保険と厚生年金保険の新規適用事業者です。 必要書類は、新規適用届や登記簿謄本などがあり、この届出には役員報酬や従業員の給料額も記載します。 ハローワーク・労働基準監督署 ハローワークや労働基準監督署は、従業員を雇用するときに必要です。役員のみで構成されている場合には、労働保険へ加入はできません。 従業員を雇入れる場合には、労働保険に加入が必要になります。労働保険は労働災害補償保険(労災)と雇用保険の2つからなり、事業者が一部負担します。 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 合同会社の設立はお任せください! 今回の記事では、合同会社を代表社員2名以上で設立する場合の流れや1名との違い、注意点などをまとめました。 合同会社をはじめて設立すると専門的な内容やわからないことも多いことでしょう。 その際は、信頼できる専門家に相談しましょう。 税理士法人プロゲートは、仙台市を中心に200社以上の会社設立支援実績がございます。会社設立や税金に関してお悩みの方は、メールやお電話でお気軽にご相談ください。無料相談も行っていますので、どうぞお役立てください。経験豊富な税理士が、お客様の状況に合わせた適切なアドバイスを提供いたします。 関連記事:サラリーマンが在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 関連記事:合同会社の代表社員を変更したい!手続きと必要書類を解説 関連記事:会社設立の際の費用は経費にできるの?その流れや仕訳方法について解説
合同会社から株式会社に組織変更するには?費用や手順を紹介!
合同会社として起業したが、会社の規模が大きくなってきたなどの理由で株式会社に組織変更しようと考えている方もいらっしゃるかと思います。 しかし、「合同会社と株式会社の具体的な違い」「組織変更はどうやって行うのか」など疑問を持たれている方も多いかと思います。 この記事では、合同会社と株式会社の違いや組織変更の流れ、費用などを紹介します。 合同会社と株式会社の違い 合同会社と株式会社はそれぞれ法律で定められた法人の形態です。 合同会社は、2006年に会社法が改正された時に新しくできた法人形態で、設立時の出資者が出資金額の範囲内で責任を負う形式なのが特徴です。株式会社の設立に比べると手続きが簡単で、費用も株式会社を設立するより安くできます。また、株主総会の開催や取締役会の設置などの法定の手続きが必要ない分、運営がしやすく、小規模な運営に適しています。 一方で株式会社は株主総会・取締役会・監査役など、明確な組織体制と運営規定が定められており、合同会社に比べると、細かい会計基準に基づく処理が求められるため、専門的な会計知識やサポートが必要になります。 関連記事:【会社設立を考えている方!】株式会社と合同会社って何が違う?メリット・デメリットを比較 合同会社から株式会社に変更するメリット 次に、合同会社から株式会社に組織変更するメリットとデメリットを紹介していきます。 まずは、メリットですが、大きく下記の3つが挙げられます。 ・資金調達の幅が広がる ・社会的信用度が増す ・初めから株式会社にするよりも低コスト 資金調達の幅が広がる 合同会社は運営がしやすい一方で、資金調達の方法が限られており、株式を発行して投資家から資金を集めることはできません。 外部から資金調達を行うには融資や社債を発行するなど限られた方法しかないため、事業拡大や大規模なプロジェクトの際の資金調達をするハードルとなります。 一方で、株式会社に変更することで資金調達の幅が広がります。株式会社は株式を発行することで資金を調達でき、会社の成長過程に合わせた増資によっても資金調達が可能です。特に大規模な事業展開や設備投資に向けた資金が必要な場合、株式会社に組織変更するメリットは大きいといえるでしょう。 社会的信用度が増す 合同会社は比較的新しい組織なだけに、耳慣れない人も多い会社組織ですので、社会的信用度という意味合いでは、どうしても株式会社に及びません。そのため、合同会社が株式会社に組織変更すると取引先や金融機関からの信頼度も増し、取引の幅が広がるだけでなく融資も受けやすくなります。 初めから株式会社にするよりも低コスト 初めから株式会社として設立する場合、最低でも約20万円の費用が必要になります。一方、合同会社から株式会社に組織変更する場合には、合同会社の設立費用と変更にかかる法定費用のみで済むため5万円ほどコスト削減できます。 合同会社を株式会社に変更するデメリット ここまでは、株式会社に組織変更するメリットをお伝えしましたが、当然デメリットもございます。以下にまとめていきますので参考にしてください。 ・役員変更登記が定期的に必要になる ・決算公告の義務が生じる 役員変更登記が定期的に必要になる 変更する株式会社の定款の作り方によりますが、2年ごとに取締役を選定しなおし、(但し、10年に延長することも可)登記しないといけません。登記の手数料である登録免許税は1万円です。また、この登記を怠ると数万円の罰金が発生します。 決算公告の義務が生じる 毎年、定款で定められた方法で決算公告を行う義務が生じます。 自社のホームページがあればそこに貸借対照表を掲載すれば済みますが、官報で決算公告を行うと費用は5〜6万円になります。この決算公告を怠ると、会社法976条第2号によって100万円以下の罰金が科せられています。しかし、この決算公告の義務は多くの中小企業にとって費用も手間も大きな負担となることから、義務を遂行している企業が少ないのが実情です。 組織変更には2~3ヶ月の期間が必要 合同会社から株式会社への変更を開始してから完了まで、基本的には2〜3ヶ月の期間が必要です。手続きには書類の作成だけでなく、さまざまな手続きや同意が必要なので計画的に進行、対応しなければなりません。 以下より、組織変更する流れを解説していきます。 ①組織変更計画書の作成 まず、最初に行うことは、組織変更計画書の作成です。組織変更計画書には株式会社として組織を変更した際の会社構成を記載します。 具体的には、以下のような項目です。 ・事業内容 ・会社名(商号) ・本店所在地 ・発行可能株式総数 ・定款 ・取締役氏名 ・株式会社変更後の発行株式数 ・合同会社の社員役職割り当て ・効力発生日 ②株式会社としての人事を決定 次に、組織変更にあたって、新たな株式会社の役員や取締役会の構成を決定する必要があります。この中には取締役の選出や代表取締役の決定、必要に応じて監査役の設置などが含まれます。合同会社の代表の社員が代表取締役になるのか、代表社員以外の社員の誰を役員に就任させるかなど、今後の会社経営に大きく影響する決断をすることになります。 ③全社員から組織変更計画書の同意を得る 組織変更計画書が完成したら、全社員から作成した組織変更計画書の内容に同意を得る必要があります。同意は、組織変更計画書に記載されている期日の前日までに全社員から得ておきましょう。 ④債権者保護手続きを行う 会社として事業を営んでいると、さまざまな企業と取引します。その中には債権者という売掛債権を持っている取引先や、融資債権を持っている金融機関などが存在します。債権者としての権利を保護するために、債権者に内密に会社組織を変更することはできず、事前に債権者に対して組織変更を通知し承諾を得る必要があります。 この債権者保護の手続きは2つあります。 1つは債権者に個別に催告する方法で、もう1つは官報に掲載する方法です。 もし、債権者がいない場合には、個別に催告する方法は省けますが、官報への掲載は必須です。その後、債権者から異議申し立てがない場合には組織変更ができます。 ⑤合同会社の解散と株式会社の登記申請を行う 組織変更が行われたら、合同会社の解散と株式会社の登記を行いましょう。 合同会社の解散決議を行った後に法務局に解散登記を提出し、同時に新しい株式会社の設立決議と登記申請を行います。 登記には1週間〜10日の期間がかかります。 合同会社を株式会社に変更する場合の費用 合同会社から株式会社への変更に必要な大まかな費用の目安は20万円弱で、内訳は次の通りです。 ・登記にともなう費用 ・官報公告への掲載料 ・専門家への報酬 登記にともなう費用|6万円 変更に際しては、法務局への登記申請が必須で、その際に登録免許税という費用が発生します。合同会社の解散登記にも株式会社の設立登記にもそれぞれ登録免許税が必要です。 合同会社の解散には3万円、株式会社設立にも3万円の登録免除税が発生するので、合計で6万円の費用がかかります。 官報公告への掲載料|35,000円程度 先述の通り、合同会社の解散に必要な手続きの一つに、官報公告への掲載があります。官報公告はオンラインでの申し込みをするか、官報公告販売所への申し込みすることで行えます。 官報公告への掲載料は掲載される文字数によって変化しますが、35,000円程度です。 専門家への報酬|数万円~10万円程度 法律的な手続きを正確に行う目的で、税理士などの専門家にアドバイスを依頼する場合があります。専門家への報酬は、その業務の内容や複雑さによって大きく異なりますが、総合的に見て数万円〜10万円程度を見込んでおくのが妥当です。 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 会社の組織変更についてはお任せください 今回の記事では、合同会社と株式会社の違いや組織変更の流れと費用を解説しました。 会社を設立するにもさまざまな手続きが必要でしたが、組織変更する際にも多くの手続きが必要になります。普段の業務と並行して手続きをすることになるので、手間と時間もかかることでしょう。「あまり理解ができない」「めんどくさい」と感じられた際は、必要に応じて顧問税理士に相談してください。 税理士法人プロゲートでは、宮城県仙台市を中心に会社設立や会計サポートを行っております。今回ご紹介したような組織変更のご相談も承っておりますので、気になる方は下記フォームよりお気軽にご連絡下さい。 関連記事:持株比率とは?比率ごとの株主権利と創業時に注意するポイント 関連記事:合同会社の代表社員を変更したい!手続きと必要書類を解説
【まとめ】会社設立に必要なこと!手順や書類について解説
会社設立を考える人の中には「何から始めたらいいの?」「手続きの方法は?」と悩まれている方も多いでしょう。まずは、設立に必要な基本的なステップを理解し、順番に進めることが大切です。 この記事では、「会社設立に必要なこと」をまとめていきます。法人化のメリット・デメリットについても紹介していますので、起業する際の参考にしてください。また、各種手続きには専門的な知識が必要ですので、わからない点があれば専門家に相談するのも良いでしょう。 関連記事:仙台市|会社設立をするなら専門家に依頼するべき?失敗しない方法や創業サポートについて 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 会社を設立する為にやるべきこと 会社を設立するには、準備が必要です。まず会社を設立するにあたって、「どのような目的で会社を設立するのか?」を決める必要があります。その後、目的を決めた上で、開業前に事業計画を作ることが重要です。 会社を設立する目的を決める 会社を設立するにあたって最も重要なことは、「会社を設立する目的」です。目的が定まっていないと、開業したとしても「何のために事業をするのか?」「目指すべき事業の道筋」などが明確にならないからです。目的が明確にならないと、今後の事業展開にも影響が出てきます。 また、定款を作成する際には、あらかじめ事業目的が決まっていないと作成できません。 これらの点からも、まず、会社設立の目的を考えることから始めてみてください。また、会社法は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社という4つの形態を認めています。いずれかを選ぶ必要がありますが、株式会社や合同会社が選ばれるケースが多いです。 事業計画書を作成する 会社を設立するにあたって事業計画書の作成は必須事項ではありませんが、事業展開を進めていく上で重要になってきます。また、金融機関からの融資を受ける際でも必要になります。金融機関の立場からすると、事業計画が曖昧な会社に融資しようとは思いません。 外部からの信頼を得るという点でも、自分自身の考えを整理するという点でも事業計画書の作成が望ましいのです。 会社設立を判断するポイント 会社を設立するには、それなりの手間と費用がかかります。個人事業主ではなく、法人化して会社を経営するには、いくつかのポイントがあります。これから紹介するポイントをよく考えて判断しましょう。 事業の拡大を検討 事業の拡大を考えている場合は、法人化し会社を設立すると良いでしょう。理由としては、法人化することで社会的信用を得やすくなるからです。このことは、今後の事業展開にも繋がります。 人材を雇用したい場合 事業拡大を図る際には、新たな人材(従業員)の雇用が必要です。人材を雇用する時にも、個人事業主より信頼性の高い法人の方が、採用活動を円滑に進められます。 資金調達を考えている 自己資金が足りないときや新たな事業を展開するには、外部から資金調達しなければなりません。個人事業主でも銀行融資を受けることは可能ですが、株式会社などの会社形態であれば、銀行融資以外にも投資家から出資を受けたりなど資金調達の幅が広がります。 会社設立をする6つのメリット 法人化することで、さまざまなメリットがあります。この項では、6つのメリットとして、以下に紹介していきます。 ①社会的な信用を得られる 前述の通り、会社を設立することで、社会的信用を得られます。また、取引する際にも、法人のほうが有利になるでしょう。企業によっては、法人以外とは取引しない場合もあります。さらに、人材を雇用する際にも、法人の方が信頼されるので有利です。 ②法人口座やクレジットカードが作れる 法人として口座を持つことで、会社の資金管理がしやすくなります。また、法人の方がクレジットカードの利用限度額が高く設定されていたり、金利面でも優遇措置などがあるので便利です。取引先からの支払いも専用の口座から行えるため、会社の資金管理が簡単になります。 ③資金調達で有利 法人として会社を設立することで、銀行や投資家からの信頼性も高まります。信頼性が高まることで、銀行や投資家から融資や投資など資金調達が期待できるでしょう。 ④決算月を設定できる 個人事業主の場合、事業年度は1月〜12月までと決まっています。一方で、法人の場合は自由に決算月を決めることが可能です。そのことで自社の繁忙期を避けたりもできるでしょう。 また、決算処理には税理士が関与することがほとんどなので、税理士の繁忙期を避けることで、税理士も決算処理に余裕をもち取り組んでくれるでしょう。 ⑤社会保険に加入できる 法人として会社を設立することで、社会保険への加入が可能です。健康保険や厚生年金、労災保険などの加入もできるので、福利厚生が充実します。福利厚生が充実することで、新たな人材の雇用の面でも有利になるでしょう。 ⑥節税面で有効 個人事業主と法人では、課税される税金の仕組みが違います。個人事業主は所得税、法人は法人税が課せられます。個人事業主の税率は累進課税なので、所得が増えると税金も高くなり最大45%の税率となります。 一方で法人の税率は、資本金1億円以下所得が800万円以上の税率が23.20%、800万円以下なら15%以下です。所得が増えても最大の税率に違いがあるので、会社設立による節税効果が期待できます。 会社を設立すると、給料は役員報酬として受け取るので、経費と見なされ法人税の対象外となります。さらに法人の場合は経費の幅も広く、青色申告書を提出することで赤字を10年間繰越できる点も、節税面で有効です。 国税庁|所得税の税率 国税庁|法人税の税率 会社設立をする3つのデメリット 前項で会社設立のメリットをご紹介しましたが、当然デメリットもございます。ここでは、会社を設立することによるデメリットを3つ挙げます。 ①会社設立には費用や手続きなどコストがかかる 会社設立には、さまざまな費用や手続きが必要です。認証手数料や定款に必要な収入印紙代、登記時に登録免許税など法定費用がかかります。会社設立にかかる費用は以下のようになります。 株式会社:245,800円~ 合同会社:103,500円~ ※書類定款認証の場合。 株式会社合同会社定款認証手数料約5万円(紙、電子同一)※資本金によって異なる。定款印紙代4万円(紙)※電子定款の場合0円4万円(紙)※電子定款の場合0円定款の謄本手数料約2,000円(紙、電子同一)登録免許税15万円~(※資本金額×0.7%、または15万円のどちらか高い方)6万円~(※資本金額×0.7%、または6万円のどちらか高い方)実印の作成費約3,000円~約3,000円~印鑑証明書300円×枚数登記事項証明書500円×枚数500円×枚数資本金1円~1円~専門家への費用約2~5万円約2~5万円 ②事務作業の負担が増える 会社を設立すると、個人事業主よりも会計や税務に関する作業が増えます。また、法人税の申告は確定申告とは違い複雑なので、専門家に委託するとなるとその費用も必要です。 ③赤字でも法人住民税がかかる 個人事業主の場合は、決算が赤字で所得が一定以下だと住民税は非課税です。しかし、法人の場合決算が赤字でも、最低7万円の法人住民税の納税が必要となります。 総務省|法人住民税 会社設立後押さえておくべき注意点 ここまでの内容で法人化すべきタイミングやメリット、デメリットについてはご理解頂けたかと思います。しかし、会社設立はゴールではありません。ここでは、設立後の注意点を紹介していきます。 会社と個人の資金を区別する 会社設立後は、会社の資金と個人の資金の区別を明確にしましょう。個人事業主の場合は、事業で得た収益は事業主の自由です。しかし、会社では私的な理由で会社のお金を使うことはできません。 会社経営ではお金の管理は重要です。会社の信用にも関わる問題なので、それぞれの資金を十分把握し、徹底した管理を行いましょう。 会社解散時にも費用が必要 会社設立には費用が必要ですが、会社を解散する際にも費用がかかります。具体的には、解散・清算人選任登記や清算終了登記になります。設立時点でここまで調べる人もいないと思いますが、知っておいて損は無いでしょう。 独立開業への主な流れと概要 実際に会社設立を行う場合は、どのような流れになるのでしょうか。会社設立にはさまざまな手続きや書類の準備が必要です。そのため、スケジュールを決めて計画的に取り組むことが重要です。会社設立の流れとしては、以下の6つのステップがあります。これからそれぞれについて説明しますので、参考にしてください。 ステップ① 会社の基本概要を決める ステップ② 会社用の印鑑を作成する ステップ③ 定款を作成する ステップ④ 公証役場で定款の認証をする ステップ⑤ 資本金の払い込みをする ステップ⑥ 登記申請をする ステップ① 会社の基本概要を決める 会社設立に必要な基礎情報として、以下の7項目があります。これらの項目について説明しますので、参考にしてください。 ・商号 ・事業目的 ・本店所在地 ・資本金 ・会社設立日 ・会計年度 ・役員・株主の構成 商号 商号とは会社の名称(名前)となり、会社名となります。設立後に会社名を変更することも可能ですが、変更登記の手続きが必要なので、その点には注意が必要です。 商号を決める際に注意する点として、「他社に似た会社名にしない」ようにしましょう。紛らわしい名称(名前)や類似した社名のケースでは、最悪の場合、損害賠償を求められることもあるので注意してください。 類似した会社名を避けるためにも、法務局や登記情報提供サービスなどで、事前によく確認することをおすすめします。また、会社名が商標登録されているケースもあるので、その点にも注意が必要です。 事業目的 会社がどのような事業をするのかを定めたものです。事業目的は、定款に記載される重要事項なので、定款に記載されていない事業は、原則として行えません。 事業目的を記載する際に、記載する数に制限はありません。しかし、あまりにも多くの事業を記載すると、何をしている会社かわからなくなります。 何をしている会社かわからないと、社会的信用にも影響が出てきます。その点をよく考えて、事業目的を決める必要があります。 本店所在地 会社やオフィスの所在地となる住所で、法人登記する際に必要です。本店所在地はどこにでも設定できますので、自宅でも問題ありません。ただし、移転などで所在地を変更する際には、変更登記が必要です。会社本拠地となる法的な拠点でもありますので、よく考えて決める必要があります。 本店所在地をどのような場所・物件にするかで、取引先や金融機関などの信頼にも関わるので、その点を十分考慮して決めましょう。近年では、バーチャルオフィスの住所も本店所在地として設定できるようです。 資本金 事業を運営していくための資金であり運転資金となります。資本金は1円からでも設定可能ですが、資本金は社会的信用にも影響があります。資本金が少ないと安定して事業を進められない場合もあるので、無理のない金額を設定する必要があります。 株式会社の場合は、株主や投資家などの出資者から調達した資金が資本金になりますが、創業時は出資者が居ないケースが多く出資を受けることが難しいでしょう。そのため、経営者(発起人)の個人資金から捻出されるので起業する際には、資本金準備も必要です。 会社設立日 会社設立の法人登記申請をした日です。希望の日付けにしたい場合は、法人登記申請する日から逆算して準備しましょう。 会計年度 会計期間は、決算書を作成する上で対象となる期間です。会計期間で計算した損益を元に、納める税を算出します。その区切りとして、会計年度があります。会計年度は自由に設定できますが、一般的には4月1日〜3月31日の期間を定めるケースが多いです。 役員・株主の構成 株式会社を設立する場合は、役員の人数や株主の構成を決めないといけません。また、株式会社では最低1名の取締役と監査役が必要とされています。ただし、中小企業などの株式譲渡制限会社や取締役会を設置しない場合、監査役は必要ありません。 ステップ② 会社用の印鑑を作成する 会社設立には、法務局で商業登記する必要があります。法人登記の際に実印が必要です。印鑑は重要な書類に押印する実印になるので、印鑑の管理には十分注意しなければなりません。また、実印の作成は、専門の業者に依頼し作成してもらいます。 ステップ③ 定款を作成する 定款とは、事業内容や本店の所在地などを記した書類です。定款は重要な書類なので、記載する内容や書式に細かなルールが決められており定款の作成は複雑な作業です。 定款の記載内容に不備があった場合は、定款が無効になってしまうので、司法書士に相談・依頼することをおすすめします。 関連記事:【会社設立】定款の事業目的の書き方を一覧で紹介! ステップ④ 公証役場で定款の認証する 株式会社の場合は、作成した定款を公証役場で認証を受けなければなりません。一方、合同会社設立の場合は、公証役場での定款の認証は必要ありません。 認証手続きは予約制になっているので、本店所在地の公証役場に連絡し、事前に日時を決める必要があります。定款の認証手続きに必要な書類は、以下の通りです。 ・定款3部 ・発起人全員の印鑑証明(3ヶ月以内に発行されたもの) ・発起人全員の実印 ・謄本代 ・収入印紙 ・実質的な支配者になる人の申告書 ・委任状(代理人が申請する場合) ステップ⑤ 資本金の払い込みをする 資本金の払い込みは、発起人個人の銀行口座です。発起人が複数名いる場合は、発起人総代の銀行口座に払い込みます。銀行口座の種類は、普通預金口座で問題ありません。 関連記事:会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説 ステップ⑥ 登記申請をする 会社設立に必要な書類を準備し、登記申請を行います。登記申請の方法と、登記申請に必要な書類について説明します。 登記申請の方法 提出場所は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。提出方法として、以下の方法があります。 窓口に持参 郵送 オンライン申請 法人設立ワンストップサービス 登記申請は、申請書類に不備がなければ10日程度で完了します。不備があった場合は、法務局から連絡がありますが、登記完了の連絡はないので注意してください。 会社設立時に必要な書類とは 株式会社と合同会社では、設立時に必要となる書類にいくつかの違いがあります。「必要な書類」と「場合により必要な書類」の一覧を以下表にまとめましたので参考にしてください。 株式会社合同会社必要な書類・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・設立時取締役就任承諾書・資本金の払込を証明する書面・印鑑届出書・本人確認証明書・登記申請書登記事項を記載した書類・定款・資本金の払込を証明できる書面・印鑑届出書場合により必要な書類・発起人の同意書・設立時代表取締役就任承諾書・設立時監査役就任承諾書・設立時取締役・監査役の調査報告書・資本金額の計上に関する証明書委任状・代表社員の就任承諾書・登記事項証明書・職務執行者の選任の書面・職務執行者の就任承諾書・資本金に関する代表者社員の証明書委任状 必要な書類 登記申請書 法務局に登記申請する際に必要な書類です。内容に不備があった場合、登記拒否の対象にもなるので正確な情報を記入するよう注意してください。 登記事項を記載した書類 登記簿に記載されている内容を記載した書類です。データでも提出できるので、その場合はCD-RまたはDVD-Rにファイルを記録して提出します。オンライン申請の場合はデータを提出します。 定款 会社の基本的なルールを明記しています。「会社の憲法」とも呼ばれている会社を設立する上で重要な書類になります。定款がなければ会社を設立することができません。また、許認可が必要な事業を行う場合は、定款に記載されていない事業を行うことができません。 定款で記載する内容事項は大きく3つに分けられます。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」それぞれの内容をよく理解して定款を作成することが非常に重要です。 設立時取締役就任承諾書 取締役として選任された人が、取締役に就くことを承諾した意思を証明する書面となります。設立時取締役承諾書には、選任された日付、役職名、就任を承諾する旨、作成日、選任された人の氏名、住所が記載されます。 資本金の払込を証明できる書面 資本金の払込を証明する書面になります。金銭での出資の場合は銀行口座の名義人と、全ての払込の日付・金額が確認できる通帳のページを印刷・コピーして添付します。 印鑑届出書 会社で使用する印鑑は印鑑登録しないといけません。印鑑届出書は、会社で使用する印鑑を法務局に届け出る際に必要な書類です。法務局で登録することで、印鑑証明書の交付申請ができます。 本人確認証明書 住民票記載事項証明書(住民票の写し)、運転免許書などの本人確認証明書になります。 場合により必要な書類 発起人の同意書 定款に、発起人が割り当てられる株式数や払込む金額、株式発行や発行可能株式総数などが定められていない場合に必要です。 設立時代表取締役就任証明書 代表取締役を選任する場合に、代表取締役となる人が就任する事を承諾したことを証明する書類です。 設立時監査役就任証明書 監査役を置く場合に、就任する人が就任を承諾した事を証明する書類になります。 設立時取締役・監査役の調査報告書 現物出資がある場合には、特別な手続きが必要となります。現物出資とは、金銭以外の財産を出資することです。株式会社の場合、出資した金額に応じて公正・平等に株式を受け取ることになってます。現物出資の場合、金額がはっきりしないため、トラブルになる可能性があります。そのリスクを避けるためには、調査報告書が必要です。 資本金額の計上に関する証明書 資本金額が正しく計上されていることを証明するために、登記申請などの手続きの際に法務局に提出する書類です。資本準備金の計上や現物出資をする際に必要となります。 委任状 代理人による登記申請をする場合に、手続きの代行を委任する為の書類です。 代表社員の就任承諾書 定款に代表社員を明記しない場合などに必要になります。代表社員となる人が、代表に就任することに同意していることを証明する書類になります。代表社員を複数名置く場合には、その人数分を用意する必要があります。 登記事項証明書 代表社員が法人である場合に必要な書類になります。 職務執行者の選任の書面 代表社員が法人であった場合に、業務執行の決定期間で選任したことが証明された書類を添付すした書類です。 職務執行者の就任承諾書 代表社員が法人であった場合、就任を承諾したことを証明する書類です。 関連記事:合同会社の設立期間は?株式会社との比較や設立の手順も解説 会社設立後に必要な各所での手続き 税務署 会社を設立したら、税金を納めるために税務署に法人設立届出書を提出しなければなりません。法人設立届出書を提出することで、会社を設立したことを税務署に知らせられます。この書類は会社設立時に必ず提出する必要があるため、忘れないよう注意しましょう。下記で紹介するその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 青色申告の承認申請書 給与支払事務所等の開設届出書 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書 各都道府県税事務所・市町村役場 法人設立届出書は、税務署だけでなく、各都道府県の税事務所や市町村役場にも提出する必要があります。その他、以下の書類を必要に応じて提出しなければなりません。 <必須> 法人設立届出書 <場合によって必要> 定款のコピー 登記事項証明書 年金事務所 健康保険や厚生年金などの社会保険に加入するためには、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を必ず提出しなければなりません。この届出は、1人だけの会社でも加入義務があるため、事実発生から5日以内に提出する必要がありますので注意してください。下記に記載のその他の書類は、必要に応じて提出が求められます。 <必須> 健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 <場合によって必要> 健康保険被扶養者(異動)届 労働基準監督署 従業員を雇う際には、労働保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 労働保険の保険関係成立届 労働保険の概算保険料申告書 就業規則(変更)届 適用事業報告書 ハローワーク 従業員を雇う際には、雇用保険の加入手続きが必要です。必要に応じて、これらの書類の提出が必要となります。 <場合によって必要> 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格届 スムーズな会社設立には相談を! いかがでしたでしょうか。 ご自身で会社設立をされるという方に、本記事が参考になれば幸いです。 ただ、会社設立には、定款の作成や登記申請などさまざまな手続きが必要で「自分でやるには面倒」「自信がないので相談したい」と思われた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。当然、スムーズで不備のない会社設立を進めるには専門的な知識も必要です。 税理士法人プロゲートでは、仙台市内を中心に「会社設立支援200社以上の実績」がございます。それぞれの事業計画に沿った会社設立、税務サポートを行っておりますので、少しでも気になる方は、是非お気軽にご相談ください。 関連記事:サラリーマンが在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 関連記事:個人事業主が法人化するベストタイミングは?メリット・デメリットについて解説
会社設立時に発生する税金は?設立後についても解説
開業して会社を設立する時や設立した後は、さまざまな税金を納めていくことになります。会社設立の際にもまとまった費用が必要であるため、金銭的に大きな負担となることもあるでしょう。 これから会社経営をしていこうと考えられている方であれば、どのような税金がかかるのかを把握し、正しい知識を持ってあらかじめ準備や対策をしておく必要があります。 本記事では、はじめて会社設立をされる方に向けて、設立する際にかかる税金とその対策についてご紹介していきます。是非、こちらの記事を参考にご覧ください。 会社を設立する際に発生する税金は? 会社設立の際には、定款の印紙税と登録免許税といわれる2種類の税金を納める必要があります。下記にそれぞれ説明していきます。 1,定款の印紙税 会社設立をするためには「定款」が必要です。定款とは、会社の基本的なルールや取り決めのようなことを意味します。定款を書面で作成した場合、印紙税法上、課税文書として扱われるため、4万円の印紙税が必要になります。しかし、この印紙税は書面で作成した場合のみに課税されるため、行政書士などの専門家に依頼して電子定款を作成した場合、印紙税を支払う必要はありません。 2,登録免許税 会社を設立した際には必ず会社設立登記をしなければなりません。その際、法務局での登記手続きで課税されるのが「登録免許税」です。この登録免許税は、設立する会社の形態によって違いがあります。 ・株式会社の場合 15万円もしくは資本金の0.7%のどちらか大きい方 ・合同会社の場合 6万円もしくは資本金の0.7%のどちらか大きい方 会社設立後に発生する税金は? 会社を設立した後も税金は発生してきます。この税金の種類は、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税・固定資産税・源泉所得税というものが挙げられます。それぞれの内容について一覧で解説していきます。 1,法人税 法人税とは、事業を営むことで得た利益に課税される税金のことです。個人事業主の場合で言う所得税の部分です。この法人税は、売上から原価や販促費などの費用を差し引いた所得に対して課税されます。 法人税の税率は、中小企業かそれ以外の企業かで変わります。資本金1億円以下の中小企業は、課税所得800万円以下だと15%となり、課税所得が800万円以上だと23.2%となります。また、中小企業以外の場合、課税所得は関係なく23.2%となります。 国税庁|法人税の税率 2,法人事業税 法人事業税とは、事業を営むことに対して都道府県が課税する税金のことです。事業内容によって納めるものの内容が変わってきます。税率についても、各都道府県により異なっていますので、会社の所在する自治体に確認する必要があります。 また、公共事業に関する所得に対しては課税対象ではありません。 3,法人住民税 法人住民税とは、会社がある自治体に納める税金で、個人で言う住民税と同じです。法人が公共サービスを受けるために課税されるもので、納税義務があります。法人住民税は均等割で算出された金額と法人税割で算出された金額を合計した金額を納める必要があります。法人住民税は、個人の住民税と同じように都道府県民税と市町村税の2つがあり、各自治体によって税率も異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。 ※上記で説明した法人税・法人事業税・法人住民税の3つをまとめて「法人税」と呼ばれることが多いです。 4,消費税 消費税は、法人が商品を購入したり、サービスを受けたり等の消費活動をした際に課税される税金のことです。こちらも個人で物を購入した際に納めている消費税と同様であると考えてよいです。ただし、要件に当てはまる場合、消費税が免除となります。その要件は下記のとおりです。 ・資本金が1,000万円未満の場合:原則として設立2期目まで消費税の納税義務が免除されますが、一定の場合1期目から消費税の納税義務者となることもあります。 ・2期前(基準期間)の課税売上高が1,000万円未満の場合:法人設立から2期目までは基準期間がありませんので、消費税が原則として2年間免除されます。但し、一定の場合は2期目から消費税が課税されることとなりますので、注意が必要です。 ※2期目は以下のいずれかのケースに当てはまる場合、免税されます。 ①資本金が1,000万円未満で、会社設立から6ヶ月間の課税売上が1,000万円以下 ②資本金が1,000万円未満で、会社設立から6ヶ月間の給与支払額が1,000万円以下 ※ただし、2023年10月より開始されたインボイス制度によって、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高にかかわらず、納税義務は免除されません。 国税庁|納税義務免除の特例 5,固定資産税 固定資産税とは、会社を設立した時に固定資産として登録されたものに対して課税される税金のことです。(主に建物、土地など)固定資産の計算方法は、固定資産の評価額に1.4%をかけた金額となります。固定資産の評価額は、市町村などの各自治体が算出し、年に4回に分けて支払います。また、地域によっては0.3%以下の都市計画税が課される場所もあります。 6,源泉徴収税 源泉徴収税とは、従業員の代わりに法人が国に納める所得税のことです。源泉徴収とは、従業員へ給与を支払う前に所得税を算出して差し引くことを言います。所得税を個人が一括で支払うとなれば負担が大きくなってしまうため、あらかじめ会社が給与から差し引いて納めることで負担を軽減することができます。 会社設立時や会社運営上の税金対策 前項でご紹介したように、法人にすることで発生する税金がいくつかあります。事業がうまくいき、所得が増えることで納める税金も増えてしまうため、節税を考える必要があるでしょう。そこで、ここでは税金対策をいくつかご紹介します。 役員報酬を計上することで節税 売上金額から費用を差し引きした金額が法人の所得となるので、費用を多く計上することで所得金額を抑えることができます。所得金額が低いと支払う税金も少なくなるので、税金対策となるでしょう。役員報酬は会社が報酬を支払うことになるため、費用として計上することができます。役員報酬は給与所得控除が適用されるので、所得税課税の時に給与所得控除分が差し引きされてから税率が課せられます。 法人の所得を抑えられる点と、役員報酬にすることで給与所得控除が適用される点で節税に繋がると言えるでしょう。 但し、役員報酬の額がいくらが最適なのかは状況によって異なりますので顧問税理士などの専門家に相談してみてください。 消費税の納税義務の免除による節税 前項で消費税について説明しましたが、1,000万円未満の資本金で会社を設立した場合には、一定の要件に該当する場合には、消費税は課税されません。 家族を役員にして所得を分散させ節税 配偶者や子供を役員にすることで節税することが可能です。家族が役員になることで、役員報酬を支払い、その分が費用として計上されるためです。役員になった家族にそのほかの収入がない場合、所得税も抑えることができます。所得が多くなればなるだけ所得税の税率も上がってしまうので、家族を役員にして所得を分散させ所得税率を抑えることで、節税ができます。但し、家族であっても役員として従事する必要があります。 退職金を支給し節税 会社に5年以上勤めた役員や従業員に対して退職金を支給した場合、退職金を支給することにより会社の所得が減るため、節税に繋がります。 また、税法上で退職金は退職所得となるため、退職所得控除が受けられます。これにより退職金に課せられる所得税も控除により節税することができます。 保険を活用することでの節税 保険に加入することでも節税をすることができます。 保険の商品によっては保険料の一部を損金処理することが可能です。費用にすることで会社の所得が減るため法人税を抑えることができます。しかし、解約返戻金のある保険では、解約時や満期時に課税されてしまうため、注意が必要です。そのため、解約返戻金を経営者や役員の退職金などに充てることで節税効果が高まるので、このような工夫をしている法人も少なくありません。 関連記事:会社設立のときにかかる費用は経費にできるの?その流れや仕訳方法について解説 注意すべき税金対策時のポイント 節税対策をいくつかご紹介しましたが、税金対策のことだけに着目し、会社設立を行うのは得策とは言えません。これから会社を設立しようと考えている方は、設立のタイミングに注意が必要です。では、会社を設立するのに適したタイミングはどんな時でしょうか。 納税義務が発生するようになった時 副業で事業活動をしている場合、課税売上高が1,000万円以上になり消費税の納税義務が発生した際は、会社を設立するタイミングとして最適です。個人事業主から法人にすることで売上がリセットされるので、消費税を納税する義務が生じた時点で会社設立することで、2年間の免税期間を得ることができます。しかし、資本金を1,000万円以上で会社を設立してしまうと、初年度より課税事業者として該当するため、資本金の設定には注意が必要です。 会社を設立することで節税ができたとしても、会社を設立したことで支出が多くなってしまえば本末転倒です。設立にかかる費用や会社を運営していく上でかかるコストを考慮して、会社を設立するかどうかの検討をしましょう。 関連記事:サラリーマンが在籍中に会社設立するメリットやリスクを解説 税金の支払いが滞った場合は? 税金の支払いが滞ってしまった場合、税務署から督促状が送られてきます。それでも期限までに対応せずに無視し続けていた場合、電話や書面などで催促の連絡が来ると同時に、身の回りの情報や資産についての調査をされます。催促を無視し続け滞納の期間が長くなると、預金や財産の差し押さえをされることになるので、滞納しないよう十分注意する必要があります。 また、差し押さえで失った財産のほかに、会社や個人の信用情報にも記録が残ってしまいます。社会的信用が下がることで、以降の融資を受けることができなくなるので、滞納することは会社にも個人にも大きなデメリットとなります。 会社設立前に税金を理解しよう 会社を設立する際や事業を行う上でかかる税金は少なくありません。納税義務の対象になるのかの条件や税率も、拠点としている自治体や業務形態によって異なる部分もあるため、あなたの会社はどれくらい課税されるのかを事前に把握しておくことが大切です。税金を滞納してしまうと会社にとってデメリットが大きいため、会社設立の前にどのような税金が存在するのかをしっかりと自分で理解しておくことで、そのようなリスクを避けることができるでしょう。 創業してすぐは、税金や会計について分からないことが多いでしょう。しかし、規模やタイミングによっては法人化することで得られるメリットも多くあります。 税理士法人プロゲートでは、仙台市を中心に200社以上の会社設立支援実績がございます。会社設立や税金に関してお悩みの方は、下記お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。皆様のビジネスが成功するよう、税務全般のサポートをいたします。また、本記事の他にも経営者の皆様に役立つようなコラムを連載しておりますので、是非ほかの記事も併せてご覧になってください。 関連記事:【必見】起業の準備でやること12選!リスト化して紹介 関連記事:会社設立は税理士に相談すべき?費用や相談するメリットなどを紹介! 関連記事:会社設立は自分でする?専門家に依頼?費用と手続きについて解説 関連記事:会社設立時の「見せ金」はNG!正しい資本金の計上方法を解説
【会社設立】定款の事業目的の書き方を一覧で紹介!
会社設立時の定款(ていかん)に、記載しなければならない項目の1つに、事業目的があります。 事業目的を記載するにあたり、明確なイメージはあってもどのように書けば良いのか分からない方も多いと思います。 事業目的は記載個数に制限はありません。ですが、たくさん書くと信用度が下がったり、融資が受けられないなどの不具合が生じる場合があります。 そこでこの記事では、定款の事業目的の書き方についてご紹介します。 具体的にどのようなことを記載するのか事業別の一覧にまとめました。書き方のポイントや、注意点もあわせて記載しましたので、ぜひご覧いただき、ご活用ください。 定款とは「会社の憲法」とも呼ばれる 定款とは、会社設立時に発起人全員の同意のもとで定める企業の基本原則が記載された書類のことです。「会社の憲法」とも呼ばれています。会社の名前や住所などの情報に加え、事業内容や会社の指針となるさまざまな規則を記載する必要があります。 事業目的とは?ポイントも解説 事業目的は、定款への記載が必須である事項の1つです。会社を設立するにあたり、定款に必ず記載する必要があることから、絶対的記載事項の一つに定められています。 具体的には、設立する会社で何を事業とするのかを具体的に提示するものです。 定款に記載する事業目的は、取引先や金融機関が会社をチェックする際に、最初に確認する部分になります。 なるべく明確で具体的な事業内容の記載が求められます。会社がどのような事業を行っているのかをしっかり伝えられる内容でなければなりません。 事業目的を設定するには、以下の3つのポイントを抑えることが重要です。 ①適法性|法律に違反していないか 適法性とは、「法律に違反した事業内容ではないか」を判断するものです。 当然ですが、違法行為に該当する活動は事業目的としては決して認められません。具体的には「麻薬の売買」「裏カジノの運営」などが挙げられます。 また、明確な違法行為でなくても、公序良俗違反とされる事業内容や、業務独占資格が必要にも関わらず資格を持っていない場合なども適性法の観点から、登記申請が受理されません。 ②営利性|利潤を追求する内容であるか 営利性とは、「対外的な活動によって利潤を追求する内容であるか」を指します。 原則として、企業は利益の創出を目的としているため、利益性のない事業目的を記載している場合は申請が受理されない場合がありますので、注意が必要です。 例えば、ボランティア活動や寄付活動のみを事業目的とする場合は、利益の創出という企業の本質に反しています。 近年ではCSR(企業の会社的責任)の一環として上記の活動を推奨している会社もありますが、事業目的そのものにはなりません。 ③明確性|誰が見ても理解できる言葉で記載されているか 明確性とは、書き方のポイントでも説明したように「誰が見ても理解できる、一般的に使われている言葉で記載されているか」を指します。 ビジネスを立ち上げる際は、その業界でしか使われない専門用語や略語に多く触れることがあります。しかし、業界に無関係の一般の方が理解できない言葉が使われていると、明確性の観点から登記できない可能性があります。そのため、業界の専門用語などは避けて事業目的の作成を行いましょう。 判断が難しい場合は、「現代用語の基礎知識」などの信頼性のある情報源で確認することをおすすめします。 この3つのポイントを抑えることで、事業目的を設定する最も大きな目的でもある「取引の安全性」を確保し、取引先や融資先からの信頼を得ることができます。 たくさんの方の目に入る重要な部分になりますので、法律を守った分かりやすい事業目的を、記載するよう心がけましょう。 事業目的の書き方のポイント 事業内容は、会社を設立するにあたり、必ず設定・記載する必要がある事項の一つです。特に、許認可が必要な事業に関しては、詳細に条件が指定されていることもあるため、それを意識した事業目的を考えて記載する必要があります。 事業内容を明確にイメージする 最初に、会社設立時にどういった事業目的が許認可や届出が必要かを認識して、どんな事業を展開していくかをイメージしてみてください。どのような事業が許認可や届出が必要なのかが分からなければ、法務局や関連の行政機関、会社設立の専門家に事前に確認してみるのも手段の一つです。 事業のイメージがまとまったら、メイン業種の事業目的を中心に、明確に分かりやすく記載していきます。 明確な事業目的を記載するために最も重要なことは、会社設立をする事業者本人が、自分の事業に対してどれほど明確なビジョンを持っているかということです。 明確なビジョンがあれば、さかのぼって必要な手続きに関する情報を収集することができます。将来を見越して、明確でしっかりとした事業目的を作成する頃を心がけましょう。 事業目的を記載しすぎない 事業目的は、分かりやすい内容が求められます。しかし、一度にたくさんの事業目的の記載は、取引先や融資を行う金融機関の信頼度を下げてしまう場合があります。融資の担当者が事業目的を見て、どんな事業をやっていくのかを判断しやすくするためにも、目的の数は多くても10個程に抑え、かつメイン業及び5年程で行いたい事業目的のピックアップを行いましょう。 「前各号に付帯関連する一切の事業」と書き加える 最初の事業目的作成では、多く書きすぎるのはおすすめしないとの事でしたが、それでも将来の事業に幅を持たせるためにたくさん書いておきたいと思う方は、「前各号に付帯する一切の事業」と各目的の最後に書くことをおすすめします。 書き加えることにより、定款に記載していない事業でも、最初に記載した事業と関連している事業であれば行うことができるようになります。 許認可に適合した「目的」を書く 許認可が必要な事業の場合は、許認可を得るために意識した事業目的を記載する必要があります。 事業目的として、その内容が記載されていないと許認可が受けられない場合があります。 許認可が必要な主な業種は以下のとおりです。 ・有料職業紹介事業 ・労働者派遣事業 ・古物の売買業 ・旅行業 ・建設業 ・不動産業 ・美容業 このような事業では、行政機関からの許認可が得られないと、そもそも事業をスタートすることができません。許認可の要件をしっかりと満たした事業目的を記載しておかなければなりません。 自分の展開していきたい事業には、どんな許認可が必要かを、作成前の段階でしっかりと見極める必要があります。 同業他社の定款を参考にする 初めて会社設立をする際、会社の事業目的をどのように記載していけばよいか迷いが出てしまうこともあるでしょう。その場合、同業他社を参考にすることがあります。 全国各地にある会社の登記事項証明書は、全国のどの法務局でも取得ができます。所定の手数料(登記簿謄本:600円、登記事項要約書:450円)を払えば同業他社の書き方をチェックすることができます。 ただし、事業目的の記載は法に触れる内容など一部の場合を除き、記載者が自由に表現ができます。他社の事業目的を参考にするとしても、自分流の言葉などを入れ込みながら作成すると良いでしょう。 (業種別)事業目的一覧 こちらでは、各事業で記載される事業目的の一般的な例をまとめました。 事業目的の作成でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。 物販 各種商品の企画・製造・販売及び輸出入 通販 通信販売業 輸入貿易 総合輸出入貿易業務 各種商品の企画、製造及び販売 営業代行 営業代行業 営業業務代行業 Web系全般 ウェブサイト ウェブコンテンツ インターネットを利用した各種企画・制作・販売・配信・運営及び管理等サービス 広告系 広告業及び広告代理店業 飲食系 飲食店の経営 酒類の販売及び輸出入 労働者派遣 (労働者派遣法に基づく)労働者派遣事業 職業紹介 職業安定法に基づく有料職業紹介事業 保険 損害保険代理店業 生命保険の募集に関する業務 少額短期保険事業 古物 古物営業法に基づく古物商 自動車(中古車)の販売 各種自動車の販売、整備、板金、塗装、修理、解体及び輸出入 古物営業法に基づく古物商及び競りあっせん業 一般廃棄物及び産業廃棄物の収集運搬業 一般廃棄物及び産業廃棄物の処分業 ネットオークション 通信販売業 古物営業法に基づく古物商及び競りあっせん業 不動産 不動産の売買、賃貸、開発、仲介、媒介、及び管理業 不動産鑑定 不動産鑑定評価業務 建設業 建築工事 土木工事 大工工事 左官工事 とび工事 土工工事 解体工事 コンクリート工事 石工事 屋根工事 電気工事 管工事 タイル工事 レンガ工事 ブロック工事 鋼構造物工事 鉄筋工事 舗装工事 しゅんせつ工事 板金工事 ガラス工事 塗装工事 防水工事 内装仕上工事 機械器具設置工事 熱絶縁工事 電気通信工事 造園工事 建具工事 さく井工事 清掃施設工事 水道施設工事及び消防施設工事の請負、設計、施工 工事監理並びにそれらの仲介、斡旋 産廃 一般廃棄物及び産業廃棄物の処分業 一般廃棄物及び産業廃棄物の収集運搬業 太陽光発電 太陽光発電システムの企画、設計、施工 工事監理並びにそれらの仲介、斡旋 清掃業 清掃 内装仕上工事の請負、設計、施工 工事監理並びにそれらの仲介、斡旋 介護、看護 介護保険法に基づく居宅サービス事業 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